第153回 BUSTER 2 / BUSTER

 SIDE A : 1.DON'T STOP THE MUSIC / 2.DANCE WITH ME / 3.NO GIRL / 4.JUDY / 5.LOVEBREAKER / 6.CERTAIN KIND OF FEELING

SIDE B : 1.GOODBYE PARADISE / 2.LIKE A LOVER / 3.TOO GOOD TO LAST / 4.THE MILL / 5.IF IT'S LOVE / 6.BUT IF IT HAPPENS

さて、今回はリクエストにお応えしてのアップです。最近、ALTERNATIVE RADIOのアルバムについて書いたのですが、パティオやメールで「バスターのアルバムについて書いてください」と、複数のリクエストをいただいたんです。で、今回選んだのが彼らのセカンド・アルバムです。前にも触れたことがあるのですが、僕は個人的にポップな名盤だと思っていましたしね。

70年代後半、バスターは、ポストBCRのバンドの中のひとつとして取り上げられていました。デビュー曲の「すてきなサンデー」も大ヒットを収め、セカンド・シングルの「恋はOK」もスマッシュ・ヒット、そしてこのアルバムにも収められている「夢見るダンス」がまた大ヒットと、この頃のバスターは乗りに乗っていた時期です。(まあ、当時のBCRファミリーの凄まじい人気と比べてはいけませんけれども。)77年には来日公演を行い、TVにも出演して、ちゃんとした生演奏を見せてくれました。その時の彼らの演奏を見ると、アイドルではないミュージシャンとしての何かを感じたものです。

念のために書いておくと、メンバーは、ロブ・フェンナ(ギター&ヴォーカル)、ピート・リー(ギター&ヴォーカル、ところによりドラムス)、レス・ブライアンズ(ドラムス、ところによりヴォーカル)、ケヴィン・ロバーツ(ベース&ヴォーカル)の4人です。

ではアルバムに針を落としましょう。12曲中、メンバーのペンによる曲が5曲、残りはプロデューサー(マネージャーもしていたんだそうですが)のスコット=ウォルフのコンビが書いています。

A1のイントロでびっくりさせられます。ギターの低音弦のフレーズですが、ノーマル音とエフェクト音のユニゾンで聴き手の耳を掴みます。コーラスも甘酸っぱく美しくキメてありますし、バスター独特のしっとりとした味わいをうまく活かした曲ですね。アルバム中でも屈指の佳曲だと思います。

シングルヒットしたA2は、バスターの代表曲のひとつです。カリプソの風のカッティングを取り入れ、本当に楽しいポップな曲です。来日時のTVでもこの曲を演奏してくれたものですが、ギターのロブがテレキャスターでイントロのフレーズを弾きながら唄う姿が印象的でした。名曲ですね。

A3は、高音でのコーラスと低音のパートの対比がおもしろい曲です。メロディー的には少し落ちるものの、ユニークな曲です。A4は、アコギのつま弾きもエレピの響きもロマンティックな曲です。ヴォーカルもちょっとファンタスティックな感じがしますね。落ち着いたバラード・ナンバーです。

A5はアコギのカッティングが爽やかな曲です。コーラスのもいい感じですね。この曲あたりは、サイモンとガーファンクルのような趣があります。そんなフォーク調の味わいは、当時の他のライバル・バンドには見られなかったものです。演奏のたどたどしさも、かえって曲想に合っています。隠れた名曲のひとつでしょうね。A6はロブのペンになる曲です。コード進行の美しい曲ですね。メロディーもコーラスも良いできですし、ロブのファンにはたまらないようなバラードです。

B1はハーモニー・ギターのイントロが印象的ですね。半音の進行をうまく使ったメロディーも面白いです。間奏のギターからはバッドフィンガーの影響も伺えます。B2はまたソフトなバラード路線の曲ですね。地味ながらもなかなかいい感じに仕上がっています。

B3はミッド・テンポのロック・ナンバーです。ラズベリーズの「パーティーズ・オーヴァー」風のギター・リフ(というかコード進行だけど)にオーヴァー・ドライヴ・ギターのフレーズが絡んできます。(歪んだギターに最適のアンプ・トレブル「0」のトーンですね。)個人的にはもっと派手に弾いてもらいたいのですが、それはライヴの時のお楽しみというところでしょうか。

B4は(おそらく)ロブのソロでしょう。フォーク=ブルーグラスの影響も強いギター・ソロ・チューンです。そしてそのままB5に続きます。この曲では、アフリカン・パーカッションでリズムにメリハリをつけ、ケヴィンのベースはディスコ調に唸っています。リッケンバッカー特有のゴリゴリした音ですね。このへんの音造りは、初期のマーティン・ターナーの影響が感じられますね。(^^) 間奏のギターのオクターバーとスキャットも効果的ですね。(これはきっとウイッシュボーン・アッシュのVAS DISへのオマージュでしょう。)ちょっとぎこちないながらもカッコいいです。個人的には、バスターの曲の中で一番のお気に入りの曲です。ちなみに、この2曲はロブの曲です。

アルバムのラストのB6は、ピート作のバラードです。ヴァースの部分のディミニッシュの響きを活かしたユニークかつ美しいメロディーが見事ですね。サビところは普通のコード進行なのですが、ここもせつなき感じがよく出ています。見かけは一番ワイルドなピートですが、ロマンティックな面を見せてくれました。エンディングで「結論がどうしても言えずに未完のまま繰り返さえて消えてゆく」というプロットは、10代の少年ならではのものでしょう。

ということで、歌やサウンドから漂ってくる「やわらかさ」がこの頃のバスターの味でした。ヴォーカルパートの「弱さ」もソフトな彼らの個性の一部としてしっくりきていますし、時折垣間見れる演奏の拙さも、自分たちのサウンドを自分たちで作っていることの証に思えて好感が持てました。

最も、後のライヴ・アルバムや日本公演ではっきりするのですが、ライヴでの彼らは、激しいロック・バンドとしての側面も持っていて、それがまた魅力のひとつになっています。なんせ、ドラム・ソロやベース・ソロもあるし、ウイッシュボーン・アッシュ(僕のHPの一番のメインになっているアーティストですが)の「キング・ウィル・カム」を(さすがにテクニックも音の厚さもオリジナルには及びませんが)演ってのけるくらいですからね。(^^)当時からしっかりとした演奏力もあったということです。余談ですが、ウイッシュボーン・アッシュはケヴィンの一番のお気に入りのバンドだということで、僕は当時からケヴィンに一番親近感を持っていました。(笑)

バスターはアルバム4枚(ベスト盤を入れて)とシングル5枚を残してシーンから消えていきました。ヴォーカルが弱かったということもあったのかも知れませんが、強烈な印象のフロント・マンがいなかったのも一因かもしれません。でも、今聴くことのできる彼らの音楽には、10代ならではの勢いと粗さの中にも良質のポップ・センスが詰まっていると思います。レコードは、中古屋さんでは本当に安く売っていると思うので、もし見かけたら手にとって聴いてみてくださいね。

それにしても、バスターのCDがリリースされていないのは困りものですね。僕の知る限りでは、コンピレーションに4曲入っているだけです。実は、一度ベスト盤の発売の予定があって、CD番号と曲目まで決まっていました。今回のアルバムのB4−B5も収められ、納得のいく選曲だったのですが、何故かリリース中止になったようです。(僕は、新譜案内を見てしっかり予約を入れていたのですが、結局入荷しませんでした。)どこかにテスト・プレス盤でも流出しないかなぁ。(笑)

なお、前に書いたように、ロブは自分のバンドで素敵なアルバムをリリースしていますし、こうして未だに「ミュージシャン」として活動しているというところにも、当時のライバル・バンドとの違いが見えてくるのではないでしょうか。

では、また次回に。

「2008.2 追補」とうとうCDリリースが決まりました!!このアルバムを含め、ファーストとライヴの3枚がボーナストラック付で4月にリリースされます!!!リリースされたら、ライヴあたりをレビューしますね。(^^)
とりあえず、情報はこちらまで。

< BUSTER 2 / BUSTER / JPN / RVC / RVP-6225 >


ご感想とかご意見とかがありましたら、どしどしメールくださいね。