第152回 SOLITARY ROAD / KYLE VINCENT

 1.INTRO / 2.YOU WILL DANCE AGAIN / 3.EVERYTHING / 4.LET ME LET GO / 5.LOVIN' EVERYTHING YOU DO / 6.I SING FOR YOU / 7.MAGICALLY / 8.IT'S TOO LATE / 9.AWAY / 10.OUR SONG / 11.REMEMBER ME / 12.BRIDGE / 13.SIERRA / 14.IF I HAD ANYTHING / 15.OUTRO

さて、2003年の最初のアップになりますね。今回は、昨年末にリリースされた、カイル・ヴィンセントのニュー・アルバムです。

1997年にリリースされたカイルのファースト・アルバムは、ここでも絶賛したとおり、パワーポップの結晶体とも言うべき素晴らしいアルバムでした。(まだ聴いていない人がいれば、探し出してでも、絶対に聴いてみてね〜。(^^))

彼のセカンド・アルバムのリリースは1999年のことで、作品は、ファーストの流れを踏襲しながらも、渋めにこじんまりとまとまったアルバムになっていました。(その他にも、コンピレーション盤への参加や、未発表曲などを集めた彼名義の編集アルバムが2枚あります。)

そして今回のアルバムです。クレジットを見ると、ファーストやセカンドに関与していたトミー・ダンパー(ルビナーズ!)やパーセノン・ハックスリーの名前がありません。そういう意味では、等身大の彼自身のサウンドがここにあると言えるのではないでしょうか。

では、聴いていきましょう。M1は、オープニングのセリフのみです。女性の声で「1973年7月21日に録音しました。今のヒットソングをお送りしましょう。」とあって、M2に続きます。(ところで、この日付は何の日でしょうか?→2006.1.22追記:カイルとチャットしていて、あれは女の子じゃなくて、カイル自身の声だということがわかりました。カイル、ゴメンよぉ。本当にクリアーな声だったんだもの。(爆)ちなみに、声を録音した日付だそうです。)

M2はオープニングにあたる曲ですね。リリカルなピアノに導かれて、カイルらしい伸びやかなメロディーが唄われていきます。ファーストだったらもっとギターを効かせて派手にアレンジされていたであろうと思われますが、ここでは唄そのものの良さを引き出してくれるロマンチックなアレンジになっています。ホント、カイルの瑞々しさが甘酸っぱいメロディーに乗っかって伝わってくるような曲ですね。いい曲です。

M3はエレピのコードから始まる、ミッド・テンポの落ち着いた曲です。サビのせりあがっていくようなメロディーが印象的ですし、僕には、まるでデビッド・キャシディーの(ベル時代後期の)ソロみたいに聞こえてきます。(^^)これもいい曲ですね。

M4はピアノの弾き語りで始まるバラード・ナンバーです。途中からストリングスが入り、パーカッションが入り、アレンジもファンタジックになっていきます。美しい曲ですね。M5は、ゆったりとしたメロディーの地味な曲ですが、打ち込みのリズムがアクセントをつけていますね。よく聴くと、ベースはかなり凝っていますね。

M6も、バラード・ナンバーです。イントロのハープからピアノにつながれてハミングが入ってくる部分で、すでにゾクゾクしてきます。で、ここでもカイルのせつなくて甘酸っぱいメロディーが流れてきます。クラシカルなアレンジと共に、曲自体の美しさが印象的です。後半は、リズム隊も入ってきて、ちょっと活発になりますよ。(^^)

M7もまた、ピアノの弾き語り風に切ないメロディーが紡がれていきます。ここでもクラシカルなアレンジと切々としたヴォーカルが印象的ですね。M8は、曲名でピンとくるでしょうけど、キャロル・キングのカバーです。ちょっぴりジャジーにいい感じで仕上げていますね。

M9は、ギターを前面に出したアレンジですね。さわやかなメロディーと時折入ってくる打ち込みのリズムがいい感じですね。サビのファルセットがキマっています。

M10は、ピアノの弾き語り風に歌い上げられるナンバーです。この曲には間違いなくエリック・カルメンの遺伝子が感じられますね。お叱りを受けることは承知のうえで、カイル版の「スターティング・オーヴァー」とでも言っておきましょうか。(^^;

M11も、せつせつと唄われるバラード・ナンバーです。これも美しい曲ですね。

M12は、アコギのカッティングと打ち込みリズムがいい感じの曲ですね。サビではちょっとした「テンポ」を感じさせてくれるのも、このアルバムの中ではいいアクセントになっています。コーラスとか、まるでアメリカの楽曲を思い起こさせてくれますね。M13も、アコギのカッティングがベースになっています。サビの哀愁味溢れる必殺のメロディーもいいし、アップテンポの展開もさわやかです。これもアメリカの楽曲を彷彿させてくれます。それにしても(この曲だけじゃないけど)さりげなく入っている管楽器や弦楽器が活きていますよね、ホント。

M14は、一応、ラスト・ナンバーにあたる曲ですね。それにふさわしく、ハープやオーボエを活かして、ロマンティックなアレンジで語りかけるように聴かせてくれます。M15は、タイトル通りのアウトロです。「消えないでくれ」と繰り返すコーラスが消えゆくようにアルバムは終わりを告げます。

ひと通り聴き終えて、最初に思い浮かんだ言葉は「瑞々しさ」でした。まるで、今回のアルバムがカイルのファーストではないかと思えるほど、楽曲とサウンドには瑞々しさが溢れています。ファースト・アルバムでは、煌びやかなサウンドの向こうに見え隠れしていてとらえにくかったのですが、ここでは、サウンドが落ち着いていて「バラード・アルバム」の側面さえ見せているぶんだけ、それをくっきりと感じることができます。

リズミックな曲が極めて少ないぶん「ポップ」度ではファーストより落ちるのは否めませんが、彼の楽曲の魅力がこれほどストレートに感じられることに、このアルバムの意味と価値があります。もうベテランと言ってもいいミュージシャンのアルバムから、これほどまでの瑞々しさを感じることができるなんて、ある意味驚きであり、感動的でもあります。 地味なアルバムではありますが、ぜひ聴いてみてくださいね。

では、また次回に。

追伸:ビートの効いたポップ・ナンバーが好きな人、すみませんが今回はベクトル違いですので、ファーストの方を聴いてみてくださいね。きっと気に入っていただけると思いますので。

<補足2003.7.25>このアルバムですが、初回盤は完売になったそうです。現在リリースされている新ヴァージョンのCDでは、曲順も変えたうえで1曲差し替えられていますが、困ったことにCD番号は変わっていません。まあ、曲順を見れば区別できるのですが、それ以外でも、リリース年が初回盤は2002年、新ヴァージョンは2003年になっているので、気をつけてくださいね。ちなみに、差し替えで収められた I SHOULD UNDERSTAND ですが、これまた本当にいい曲なので、ここはぜひ2種類とも揃えてくださいね。

< SOLITARY ROAD / KYLE VINCENT / US / SONGTREE / STR 73379 24162-2 >


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