第150回 FOR THE RIGHTS OF ALL MAN / DUNCAN FAURE'S FIRST WORLD BAND

 1.CRY OUT LOVE / 2.DAD'S TOWN / 3.I'M GONNA MAKE IT / 4.TEAR IN HER EYE / 5.TONIGHT I PRAY FOR A MIRACLE / 6.BALL AND CHAIN / 7.SHINING STAR / 8.YOU GAVE ME LOVE / 9.OH YOU MAKE ME BLUE / 10.BROTHER / 11.MAN OF A 1000 DREAMS / 12.NELSON HOTEL / 13.EVERYDAY / 14.ONLY LOVE CAN / 15.IN A HUNDRED YEARS / 16.NEVER SEEN YOUR FACE BEFORE / 17.FOR THE RIGHTS OF ALL MAN / 18.AROUND THE CORNER

という経緯で(注:前回から繋がっています)、僕は96年発売のこのアルバムも入手したのです。注文したら「サイン入りのと普通のと同じ値段であるけど、どっちがいい?」と訊かれましたが、そりゃ、サイン入りのを頼むに決まってるよね。(^^)

で、CDが届くやいなやトレーに入れました。すると、またここにも凄くポップな楽曲群が収められていたのです。

最初に書いておきますが、こっちのアルバムはインディーズ・リリースだけあって、楽曲の完成度、録音の良さ、サウンドの洗練度、どれをとっても前回書いた最新作のほうが上だと思います。でも、肝心要のポップ度では、こちらのアルバムに軍配が上がるでしょう。

メジャー(それもキャピトルみたいな大メジャー)でリリースするには、それなりの完成されたサウンドが必要なわけで、そのためにはある程度のメイク・アップされたサウンド・プロダクションにならざるを得ません。このアルバムには、その段階で整理されるはずの「something」がふんだんに残っています。(^^)(誤解のないように書いておきますが、それは、どちらが優れているかという問題ではありませんけれども。)

客観的に書けば、売れ筋アメリカン・ポップに仕上げられた最新作よりも、こっちのアルバムのほうがブリティッシュ・ポップ色をモロに出していると言えます。そういう意味では、このアルバムのほうが、うちのHPの常連さんには向いていると思いますし、今回レビューした2枚のどちらかひとつを選べと言われたら、僕は間違いなくこっちを選ぶと思います。

では聴いていきましょうか。バンドのメンバーはダンカンの他に、レイモンド・ミラー、キャシー・シャーマン、フランコ・デル・メイ、ローリー・マクレインです。見覚え聞き覚えはないので、南アフリカのミュージシャンなんでしょうね。

しゃくり上がってくるような(思わず裏打ちの手拍子入れたくなります)リズムのM1は、とてもポップな曲です。曲自体にはポール・マッカートニーの影響が見えますが、ギターとキーボード群のコンビネーションが抜群の曲です。オープニングとしては最高じゃないでしょうか。続くM2は、クイーン風のギター・オーケストレーションがみられる曲です。(最近数作の松尾清憲さんのアルバムを聴いたことがあるなら、感じがつかめると思いますけどね。)ミッド・テンポで歌われる、ポップなバラードです。こっちにはジョン・レノンの影響が見えますね。ブリティッシュ・ポップ・ファンにはたまらない曲じゃないでしょうか。

M3は、ボードヴィルの風味もある曲です。こういう曲を入れるセンスはポールと通じるものがあると思いますね。楽しい曲です。M4は、リリカルなピアノから始まるバラード・ナンバーです。ここでも、メロディーにはジョン・レノンが見えてきます。ストリングスを中心としたアレンジも見事です。(ホント、松尾さんに聴いてもらいたいくらいですよ。)

M5もクラシカルなアレンジですね。メロディーもファンタジックでポップでいい感じです。M6は、アップテンポのビートの利いたナンバーです。ダンカン流のロックン・ロールというところでしょうか。(曲もアレンジもポップなんですけどね。)

M7はまたミッド・テンポの曲です。オーソドックスなヴァースから一転して10CC風にドラマティックなサビと、構成も見事です。コーラスがちょっと粗いのはご愛嬌かな?逆回転音からキーボードのイントロが始まるM8は、バッキングのピアノが印象的な、ビートの利いたミッド・テンポ・ナンバーですね。

ファンタスティックなピアノとギターで始まるM9は、ゆったりとしたナンバーです。マイナー調のメロディーは、日本人受けするでしょうね。地味ながらも静かな盛り上がりを見せる曲です。M10は、前の曲とは対照的に軽快なアコギの刻みが印象的ですね。でも、間奏のキャシーとダンカンのソロの関係で、アルバム中では一番長い曲になっています。

M11は、イントロのアコギのアルペジオが印象的です。ボンゴとかも入って、軽快にポップな曲をキメてくれてますね。M12は、ベースのレイモンドの曲で、おそらくヴォーカルも彼です。楽曲や歌唱的には少し落ちるかもしれないけど、これもポップな曲ですね。レイモンドは、ジャケの写真でもヴァイオリン・ベースを抱えていますし、やっぱりビートルズが好きなんだと思います。

鳥の声のSEから始まるM13は、ちょっぴりハードな雰囲気の曲です。ポップさにはもうひとひねりほしいところですが、(特にミドル8が)ライヴ受けしそうなカッコいい曲ですね。間奏のギターの入り方はウォルラスですね、はい。(^^)M14は、またまたミッド・テンポのナンバーです。ポップさは薄いものの、耳に残る印象的なメロディーですね。ここにもビートル・ジョンの匂いが見え隠れしています。

M15は、クラシカルなキーボードのオーケストレーションからマイナー調のメロディーが流れてくるドラマティックな曲です。厚いコーラスもからみ、ちょっとプログレっぽい展開ですね。僕は、イ・プーの(ライヴの)音を思い出してしまいました。M16は、軽快なポップ・ナンバーです。ちょっとヴォーカルが弱いのだけど、メリハリの効いたアレンジは、それを感じさせてくれません。

タイトル・チューンのM17は、ちょっと面白いヴォーカル・コラボレーションで始まります。メロディーよりもリズムを全面に出し、その狭間を縫うようにヴォーカルとコーラスで埋めていくって感じですね。ラストのM18は、キーボードを前面に出した曲です。バラードなんですが、メロディーもコーラスも、ドラマティックなアレンジもいい感じですね。10CCあたりを彷彿させる、ラストにふさわしいクオリティの曲だと思います。

ということで、凄く良くできたポップ・アルバムだと思います。ブリティッシュ・ポップ・フリークなら、ナミダもの間違いなしですよ。(^^)唯一の欠点をあげるとすれば、曲が多すぎるということでしょうか。(一度に聴くと、ちょっと疲れるかもしれませんからね。)でも、本当に密度の濃いアルバムだと思います。

ダンカンのアルバムですが、このふたつの間にも何枚かリリースされています。でも、今回はそれを入手することができませんでした。レビューした2枚を聴く限りは、ちょっと「期待大」なので、残念なんですけどね。まあ、そのうちの1枚はアマゾンでなんとかなりそうなので、トライしてみようかな。

では、また次回に。

< FOR THE RIGHTS OF ALL MAN / DUNCAN FAURE'S FIRST WORLD BAND / S.A. / TOP RECORD / TOP-001 >


ご感想とかご意見とかがありましたら、どしどしメールくださいね。