第123回 THE FRATERNAL ORDER OF THE ALL -GREETINGS FROM PLANET LOVE- / THE ALL

1.GREETINGS FROM PLANET LOVE / 2.RAINBOW PEOPLE / 3.LOVE TONIGHT / 4.CHASING MY TAIL / 5.SWIRL / 6.TUBA RYE AND WILL'S SON - BALLOON IN THE SKY / 7.KING OF SHOWBIZ / 8.WHIRL / 9.FREELOVE BABY / 10.GROOVY PARTY AT JIMMY'S MAGIC PAD / 11.IT'S BEAUTIFUL / 12.WINK OF THE THIRD EYE / 13.IT HAS NO EYES BUT SIGHT / 14.TWIRL / 15.SPACE AND TIME / 16.TIME IS STANDING STILL / 17.RIDE THE SNAKE / 18.MR. PLASTIC BUSINESS MAN / 19.CCOSMICC CCARNIVALL / 20.TOMORROW DROP DEAD

今回紹介するCDは、97年に発売されたものです。僕はこのバンドについて何も知らなかったのですが、クレジットを見ると、1967年から68年にアンドリュー・ゴールドのプロデュースでレコーディングされたものですね。バンドのメンバーのほうは聞き覚えがない(不勉強でゴメンなさい)のですが、ゲストで1曲ほどグラハム・グールドマンが参加しています。

で、音のほうですが、サイケデリック・ポップの極地になっています。もちろんビートルズやビーチ・ボーイズの影響も窺えます。演奏のほうにはあまりアメリカンな雰囲気はないのですが、コーラスがビーチボーイズ風なので、サイケデリックな雰囲気に拍車をかけていますね。

アルバムの構成としては、アルバム全部でひとつというトータル・アルバムの感じがしますが、それぞれの楽曲はなかなか良くできています。クレジットを見ると、ほとんどの曲をアンドリュー・ゴールドが書いています。

オープニングのSE的なM1に続いて、ホワイト・アルバムのビートルズを彷彿させるM2が続きます。M3は複雑で計算しつくされたコーラス・ワークの素晴らしい曲ですね。ビーチボーイズみたいですね。

3拍子で幻想的なインターリュードに続き、見事なアカペラ・コーラスで始まるM6は、泣きたくなる位のメロディーをもった曲です。M7はグラハムとアンドリューの共作で、プロデュースも二人でしているのですが、これがまた10cc風の曲でカッコイイのですよ。(^^)

シタールとオルガンがカッコイイリボルバー風のインターリュードに続いて、ポップなロック・ナンバーのM9が始まります。この何でもありの世界は、ビートルズのホワイトアルバムの精神を受け継いでいるようですね。曲はそのままサイケ・インストのM10に続きます。

M11は幻想的なコーラスの小品で、すぐにジョン・レノン風のM12に繋がれます。M13は、語りと現代音楽風のインターリュードで、弦楽によるインターリュードのM14に続きます。そして、爽やかなバーズ風のポップ・チューンのM15へと、場面は移ります。ジョン風のリード・ヴォーカルですが、サウンドは完全にバースを意識していますね。曲のタイトルにもバーズへのオマージュを感じてしまいます。

M16は、ミュージック・コンクレート風から、美しいバラード・ナンバーへと展開していきます。ヴォーカルの微妙な節回しと声質が凄くいい感じです。ホント、いい曲ですねぇ。個人的にはイチオシです。(^^)

逆回転のエフェクトを経て、ドアーズ風の小品のM17になりました。これも完全にドアーズを意識していますね。続くM18は、ビートルズへのオマージュが感じられる曲ですね。

M19は弦楽のチューニングという趣のインターリュードで、そのままラストのM20に続きます。M20は、アップテンポのサイケデリック・ナンバーで、リボルバーの影響がモロに窺えます。SEはトゥモロー・ネバー・ノウズですしね。でも、ラストの曲にふさわしい、彼らの集大成の音だと思いますよ。

ということで、モロに「サイケど真ん中」という音ですね。前に「THE PILLBUGS」という素晴らしいアルバムのことを紹介したのですが、今回のTHE ALLの音からも、そのTHE PILLBUGS(の、ビートのない曲)を連想してしまいました。(^^;

でも、聴き終えてみると、凄く違和感があるのです。これって、ホントに67〜68年の作品なんでしょうか?当時のアーティストへのオマージュもモロに感じられますし、当時、こんなにモロに音を作るってことは、ちと信じられません。それに、60年代の録音にしては音が良すぎます。いったい???

と、ここまで書いたところであるクレジットに気付きました.....「Actually The All is Andrew Gold」....えっ??....。そうです、The Allとは、アンドリュー・ゴールドの一人プロジェクトなのです。つまり、The Allというバンドの5人のメンバー(クレジットによると、ひとりはマラカスのみの担当です。(^^;)も架空のもので、すべてはアンドリュー・ゴールドのプロジェクトだということなのですね。

謎はすべて解けました。(^^)このアルバムは、アンドリュー・ゴールドが60年代のバンドを装って作った作品なのです。バンドのクレジットも録音のクレジットもデタラメで、実際は97年に、アンドリュー・ゴールドが僚友グラハム・グールドマンらの力を借りて作り上げた、60年代サイケへのトリビュート的アルバムだったということですね。それならば、曲の感じも、録音の感じも、僕の感じた違和感にすべて説明がつきます。いやあ、完全に騙されちゃったなぁ.....。(笑わないでね、たむら君。(爆))

ということで、ちょっと変なジャケット(ちなみに、アンドリュー・ゴールドが書いたそうです)ですけど、どこかで見かけたら手にとってくださいませ。

<THE FRATERNAL ORDER OF THE ALL -GREETINGS FROM PLANET LOVE- / THE ALL(Andrew Gold) / US / J.BIRD / 6 1746 80146-2>


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