第120回 1301 HIGHLAND AVENUE / KEN SHARP

1.BREAK DOWN THE WALLS / 2.FOR THE FIRST TIME / 3.UNDERGROUND / 4.BELIEVE / 5.IN MY DREAMS TONIGHT / 6.BEATING HEART / 7.MAGIC / 8.IF YOU EVER CHANGE YOUR MIND / 9.TONIGHT (ALL I WANT) / 10.LAZY DAY / 11.SITTING ON A PORCH IN L.A. / 12.LIKE EVERYONE / 13.NOT AFRAID OF LOVE / 14.KAREN LOVE ME / 15.WASH MY TEARS AWAY // 16.THE KING OF GIRLS / 17.SO SINCERE

「さて、今回はあのケン・シャープのCDです!しかも、ゲストでルビナーズの面々が参加しているのです!!」と書いたら、ポップ・マニアにはそれ以上の解説は必要ないでしょう。今回のアルバムは、そんな極めつけの1枚なのです。(^^)

とはいえ、ケン・シャープを知らない人もいるかもしれませんので、ここで簡単に彼の紹介をしておきたいと思います。彼は、「ゴールドマイン」「ローリング・ストーン」「レコード・コレクター(イギリスの雑誌です。日本のは「レコード・コレクターズ」)」などの音楽誌で、いろんなポップアーティストのインタビューを手がけてきました。その一部を列挙すると、ビートルズの各メンバー、ビーチボーイズ、フー、キンクス、ラズベリーズ、ルビナーズ、ロジャー・マッギン、スクイーズ、ロイ・ウッド等々、錚々たるアーティストが顔を連ねます。僕はラズベリーズのファンでもあるのでラズベリーズのストーリー本も持っているのですが、その著者も彼です。その本のラストの方には、ラズベリーズのメンバーに囲まれて、ホントに嬉しそうに笑っている彼の写真がありました。その写真を見るだけで、彼がいかにポップ・ミュージックを愛しているのかがはっきりとわかります。

そんな彼が、自分の感性を最大限に発揮して作ったのがこのアルバムなのです。ですから、ポップ・フリークにとっては、正真正銘の宝物アルバムであることは、当然すぎるほど当然なのです、うん。(^^)ということで、全17曲(うちボーナス・トラックが2曲だけど)捨て曲無し、煌めくばかりのポップ・チューンが詰まったアルバムと言えるでしょう。

CDをかけて最初に驚いたのが、彼の声のトーンの高さです。そんじょそこらの女性ヴォーカリストよりもトーンが高いんじゃないかなぁ。(笑)一緒に唄ってみると、聴こえるほどは、高い音を唄っているわけではないのですけどね。

楽曲については、何も言うことがありません。ホントにいい曲ばかりなのですから。オープニングにふさわしい極めつけのポップ・チューンのM1、しゃくり上げる唄い方が印象的なM2、モータウン・ビートのM3、落ち着いた感じのバラードM4、ラズベリーズ風ポップ・ナンバーのM5、アコースティック・ギターの響きが美しいM6、スライド・ギターが心地よいルビナーズ風のM7、瑞々しさに溢れる必殺のバラードのM8.....どれをとっても素晴らしい曲ばかりです.....と、実は、最初はこう書いていました。

でも、この回をアップした途端、「ケン・シャープには興味があるので、曲目の解説もしてください」というメールを2件もいただいちゃいました。さすがケン・シャープ、注目度も違います。仕方ない、そうまで言われちゃ書くしかないじゃないですかぁ(^^;.....ということで、改めて曲目の解説に移ります。

M1は、オープニングにふさわしい、弾けるようなポップ・ナンバーです。サビのメロディーを流用したキャッチーなイントロから曲に引き込まれていきますね。ルビナーズの面々も、さすがのハーモニーを聴かせてくれてます。ラストに小さく入ってくるハンド・クラッピングも目立たないんだけどいい効果をあげています。

M2は、ギターのカッティングから70年代アメリカンポップ風の展開を見せる曲です。しゃくり上げるような唄い方が印象的ですね。ミドル8の甘くてせつないメロディーの、ケンの歌声がファルセットに変わるあたりが最高ですね。(^^)

イントロからモータウンのリズムが飛び出してくるM3は、ケンの高いトーンの歌声と合っていて、雰囲気もモータウンのガール・グループのようです。コーラス入ってくると、サウンド的にはスタイル・カウンシルみたいでもあります。

M4ではちょっと落ち着いた雰囲気になりました。サビのところのメロディーは、(もうひと展開欲しい気もするのだけど、)バックのオーケストレーションと絡まっていい感じです。

M5は、ちょっとフォーク・ロックっぽくなりそうなところを少し歪んだギターの音色が救っています。サビの部分の12弦ギターのアルペジオが凄くいい感じですね。

アルバム中はじめてのアコースティック・ナンバーのM6は、サビの半音を活かしたメロディーが効いていますね。

M7は、イントロのさわやかなスライドギターといい、唄に入る直前のベースのリズムといい、いかにもルビナーズ風なのです。(でも、クレジット見ると参加してないのかぁ。(^^;)サビのファルセットに被さってくるギターの感じが、どことなく(EMI時代の)アメリカっぽくていいですね。

そして、「必殺のバラード」M8です。シンプルなピアノをバックに淡々と唄われていAメロがサビに入ると、ストリングス(キーボードですけどね)が絡み、そして、最高に切ないメロディーが、それにぴったりのケンのファルセットで唄われます。この一瞬だけでも、このアルバムの価値の半分はありますね。(^^)ラストはちょっと凝ったコーラスアレンジで終わるのです。

前曲の雰囲気とは一変して、M9はギターのミュートと手拍子を活かした、ニュー・ウェーヴ風味のポップ・チューンです。「TONIGHT」と繰り返すサビも印象的ですね。

ちょっと不思議な雰囲気を持ったM10は、スペーシーなアコギのカッティングが印象的です。

アコギのアルペジオとストリングス(ここでは生)で紡がれるM11は、切なくも美しい小品です。こんな曲にこそその人の持つセンスが現れてくるものなのですが、そういう意味でも見事な曲ですね。

M12は、アコギの刻みと軽快なベースラインが印象的な曲です。

軽快なファルセットでのスキャットが耳に残るM13は、AOR風の雰囲気の曲です。ちょっと低いトーンのパートもあるので、なんか、誰かとデュエットしてるように聞こえてしまいます。(^^;

さわやかなフォーク・ロック・ナンバーのM14ですが、タイトルを連呼するサビが心地よいですね。(^^)思わず一緒にくちずさんでしまいそうです。

一応、アルバムのラスト・ナンバーになるM15は、ピアノのコードにのったオーソドックスなバラード・ナンバーです。ファルセットで唄われるサビの美しいメロディーが凄くいいですね。

ここからはボーナス・トラックの扱いになりますが、M16は、いかにもリッケンバッカーの音で迫るイントロがいいですねえ。(^^)ちょっとたどたどしさもあるのですが、それが彼らしくて似合っています。M17は、キャッチーなギター・リフと手拍子を使いながら、ポップなコーラスも絡めた60年代風の曲です。ボーナストラックの2曲は、82年に録音された曲ですので、サウンドも多少軽めになっていますけどね。(^^)

とにかく、ポップ・フリークなら聴くしかない1枚ですね、これは。もう廃盤で、中古屋さんで探すしかないのだろうけれど、それだけの価値のあるアルバムですよ。(^^)

< 1310 HIGHLAND AVENUE / KEN SHARP / JP / M&M / MMCD-0004 >


ご感想とかご意見とかがありましたら、どしどしメールくださいね。