第118回 PUSH KINGS / PUSH KINGS

1.NINE STRAIGHT LINES / 2.POP PHENOMENON / 3.FLORIDA / 4.STAY WITH HER / 5. D.J. / 6.MRS. McKEAN / 7.LOVE IN MY HEART / 8.RAINCOST RENEGADE / 9.EUROPEAN DREAMS / 10.SONGS OF EMPIRE / 11.JENNY G / 12.LET'S FACE IT / 13.NUMBER ONES / 14.BE KIND, BE STILL, BE NEAR

今回紹介するのは、アメリカのインディー・ポップ・バンドのプッシュ・キングスです。60年代のポップ・ロックをルーツにした音楽を奏でる彼らですが、まるでどこかのハイスクール・バンドかカレッジ・バンドみたいなルックスをしています。(と思ってたら、どうやら、このアルバムが出た1997年当時、彼らはみんなハーバード大学の学生だったようですね。失礼!)キャラの割り振りにしても、ピート・ハム風の線の細めの優等生、ポール・マッカートニー的雰囲気のなんでも器用にこなしそうな行動派、無口で地味な男、スポーツ・サークル所属の人の良さそうな好青年、と、ほぼ完璧なのですね、これが。(何がやねん。>自分)

で、音のほうなのですが、最初にちょこっと書いたように60年代のアメリカン・ポップ(+ビートルズ)を基調とした、ナチュラルなポップ・ロックなのです。M1は、ビートルズの影響の窺えるポップ・ナンバーで、間奏のピアノがいい雰囲気を醸し出しています。ヴォーカルの線の細さも、甘酸っぱいメロディーとうまくマッチして、瑞々しさを感じさせてくれます。M2は、まるで「レディー・ステディー・ゴー」なんかで流れたら似合いそうな、懐かしい感じのするポップ・ロックです。ヴォーカル・メロディーの崩し方も、どことなく青さを感じさせてくれます。

M3は、ギターのミュートが効いている曲で、伸び伸びと爽やかに唄われていきます。サビでは、アメリカン・ポップの王道のパターンを挟んで、曲想に変化をつけていますね。間奏のギター・ソロも60年代風の奏法で徹底しています。ドラムの音も、リンゴ・スターみたいでいい感じです。(^^)M4は、バックにブラスを入れて変化をつけています。

M5は、ストリングスとブラスを導入した、ミッド・テンポのナンバーです。メロディーの作り方は、ホントに「王道ポップス」って感じですよね。ファズ・トーンを前面に出したたどたどしいギター・ソロも、今聴くには新鮮な感じがしますけどね。M6は、カントリー風味のポップ・ナンバーです。どことなくチープ・トリックの楽曲を彷彿させるサビも楽しいですね。

M7は、少しカリプソっぽいビートで変化をつけています。ところが、ミドル8になると、突然に、ビートの効いたロックン・ロールに変身するのです。ヴォーカルも目一杯にシャウトして、まるでピート・ハムのような唄い方です。バンド・アレンジもこの部分だけはバッドフィンガー風になっています。この部分は、凄くカッコいいですよ。

M8は、60年代風のロックン・ロールですが、メロディーとリズムには80年代のニュー・ウェーヴっぽいところもあります。(間奏は、まるでスクイーズのペイトン・プレイスですしね。(^^;)M9は、軽いリズムと50年代風のコーラスが印象的な曲ですね。

M10は、一風変わった曲になっています。マイナー調のアコギのカッティングと、軽快なリズムで、まるでクリス・レアかダイアー・ストレイツ(と言うか、スニッフ&ティアーズみたいな感じなんだけど、それじゃマイナーすぎて伝わらないよね。)という趣です。M11は、ビートを効かせたロックン・ロールですね。モータウン風のドラムスと、ブラスがアクセントになっています。M12は、ちょっぴりレゲエビートを絡めてアレンジした曲です。バックのギター・リフはレヴォリューションみたいですけどね。

M13は、軽快なギター・カッティングにのっかって唄われるポップ・チューンです。伸び伸びとしたヴォーカルもいいできだし、途中の転調やコーラスもキマっていますね。ラストのM14は、まるでマイ・ガールみたいなベースラインで始まります。でも、ハードなギターを絡めたりして、アクセントをつけながら淡々と唄われていきますね。最後は、ラストの曲にふさわしく、全員がコーラスを決めて曲が終わるのです。

全体を通してみると、やはり線の細さは否定できません。演奏もそこそこ上手いのだけど、楽曲的にも、プロのバンドとして長くやって行くのはどうかな?という感じですね。でも、確かに大学では大人気だったであろうことは、簡単に想像できます。ここには、10代の時にしかできないような瑞々しさがあり、ありふれた言葉だけど「青春の記録」というのがぴったりの、あの時期ならではの音楽があるのです。そういう意味では、今の若い人達よりも、自分が若い時期に胸に持っていた何かを忘れてしまった大人達に聴いてもらいたいアルバムと言えるかも知れませんね。

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