第106回 THROUGH THE FIRE / RENAISSANCE ILLUSION

1.ONE MORE TURN OF THE WHEEL / 2.GOOD HEART / 3.GLORIOUS ONE / 4.THROUGH THE FIRE / 5.BLOWING AWAY / 6.MYSTERY OF BEING / 7.BEAT OF THE EARTH / 8.BEYOND THE DAY / 9.MY OLD FRIEND / 10.THROUGH THE FIRE(REPRISE)

遅ればせながら、9月最初のアップになります。(いつもいつもごぶさたばかりでゴメン。(^^;)今回紹介するアルバムは、イリュージョンの4枚目のアルバムになるものです。そうそう、イリュージョンというバンドはいくつかありますが、これは、ジム・マッカーティーの率いるバンドのイリュージョンですよ。

バンドの歴史を紐解くと、話は有名なヤードバーズまで遡らないといけません。ヤードバーズのメンバーだったジム・マッカーティーとキース・レルフがヤードバーズ脱退後に妹のジェーン・レルフたちと結成したのがルネッサンスです。ルネッサンスは、オリジナルメンバーでアルバムを2枚制作したのですが、うまくいきませんでして。で、メンバーを総替えして再出発した後に売れて、メジャーになっています。(ですから、今、「ルネッサンス」として有名なのは2代目のバンドということになりますね。)

キース・レルフはその後もバンドを結成したりしたのですが、商業的にはうまくいかず、もう一度オリジナル・ルネッサンス風のバンド「ナウ」を再結成しようとしていた矢先に、事故で感電死してしまいました。でも、残されたジム・マッカーティーが、彼の意志を引き継いで結成したのが「イリュージョン」(これは、ルネッサンスのセカンド・アルバムのタイトルでした)です。

イリュージョンのメンバーは、ジム・マッカーティー(G,Vo)とジェーン・レルフ(Vo)の他に、僚友ジョン・ホウケン(K)、ルイス・セナモ(B)、若手のジョン・ナイトブリッジ(G)、エディー・マックニール(Dr)という面々でした。このバンドでアルバムを2枚リリースします。商業的には恵まれなかったものの、1枚目のアルバムは楽曲も粒ぞろいで、なによりメロディーの美しさは至高のものでした。(いずれこのコーナーでも紹介したいと思いますけどね。)イリュージョンが解散した後、CDの時代になって未発表曲を集めたアルバムが発売されましたが、これは楽曲のクオリティーも標準に達しているとは言えないものでした。

そして2001年、イリュージョンは再結成されたのです。バンド名を「ルネッサンス・イリュージョン」としていますし、今までの自分たちの音楽の集大成という意味があるのかもしれませんね。メンバーは、ジム・マッカーティー、ジェーン・レルフ、ジョン・ホウケン、ルイス・セナモの4人です。イリュージョンから若手の二人が抜けたラインナップですが、ドラムはジムがたたけるからいいとして、イリュージョンの2枚のアルバムで印象的なリード・ギターを聴かせてくれていたジョン・ナイトブリッジがいないのは少し残念でしたけどね。でも、間違いなくイリュージョンは復活したのです。

アルバムは、幻想的なベース・ソロで静かに幕を開けます。ちょっと中東風でクラシカルな趣の曲ですね。ジムのヴォーカルは決して上手くはないのですが、曲の雰囲気には合っています。そして盛り上がりらしい盛り上がりもなく、序曲的な役割を持ったM1は終わります。

続くM2は、事実上のオープニング曲と言えるでしょう。ジョンのリリカルなピアノに叙情的なギターのフレーズが絡み、美しいメロディーのヴォーカルが入ってくるという、イリュージョンお得意のパターンの曲です。アルバムを通してジョンはドラムとヴォーカルに専念し、ギターはスタジオ・ミュージシャンにまかせています。この曲も悪い曲ではないのですが、やや盛り上がりには欠ける曲ですね。M3はアコギの刻みを前面に出した、ちょっとリズミックな曲です。でも、ジョンのピアノはあくまでリリカルに流れていますし、まとまったコーラス・ハーモニーは彼らならではの味わいですね。

タイトル・トラックのM4は、やはり気合の入った曲です。曲想は、やっぱりイリュージョン得意のパターンから逸脱してはいませんけれど、ジョンのピアノのフレーズの味のある華やかさ(う〜ん、うまくニュアンスが伝わるかなぁ?)はなかなかのものです。間奏の転調からアコギのソロにかけてもいい感じですね。(^^)M5は再びクラシカル&リリカルな曲です。さりげなく流れているチェロの音が効いていますね。

M6はちょっとフォーク=民族音楽っぽい曲ですね。メロディー自体はまるでショッキング・ブルーの曲のようですが、アコギのリズムとジョンのピアノのフレーズが曲を引き締めています。個人的には、アルバム中で一番のお気に入りです。(^^)M7は、トラッドな雰囲気もしてくる曲です。ジムのヴォーカルも、他の曲に比べるとずいぶん伸びのある声で唄われています。これも前曲に負けない仕上がりですね。

M8は、静かに唄われる曲で、ジムとジェーンのハーモニーを前面に出した曲です。でも、楽曲的には、メロディーが落ちるかなと思います。M9ですが、タイトルから察するに、おそらくキースのことを唄った曲でしょうね。ピアノもジムが弾き、それにジェーンたちのコーラスがかぶさってくるという曲です。シンプルな演奏だけに、メロディーが心にしみてきます。

M10は、「余韻」という役目しか持っていないように思える曲です。時間も短く、事実上はM9がアルバムのラストだと思えばいいのでしょうね。

全体を通してみると、ジェーンのヴォーカルが目立たないのが気になるところではありますが、イリュージョンの音楽を知る人にとっては安心して聴ける楽曲が詰まっていると言えるでしょう。ジョンのクラシカル&リリカルなピアノは、決して派手さはないものの、イリュージョンの音楽性を決定づけていますよね。ただ、どうしても曲の美しさだけが前面に出て、曲のメリハリ感が乏しくなるのは、このバンドの宿命なのかもしれません。それがこのバンドの良さでもあるのですから、仕方のないことなのかも知れませんけどね。

ということで、さすがにイリュージョンのファーストほどの仕上がりは望めないものの、嬉しい1枚であることには変わりありません。ということで、今回の話を締めさせていただくことにしましょう。

では、また次回に。

< THROUGH THE FIRE / RENAISSANCE ILLUSION / UK / SPIRAL / SCD-923>


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