第35回 ROSE BUD DAYS / 伊豆田洋之

SIDE A : 1.エロチカ〜灼きついたセクシー・ヴィーナス〜 / 2.ネオンの海でI LOVE YOU / 3.ROSE BUD DAYS / 4.愛は君自身 / 5.カリフォルニア・ブルー

SIDE B : 1.NO-GOOD-BYE / 2.あの日のマリー・バラード / 3.君は僕のリアリティ / 4.きまぐれエアメール / 5.HOLD ME TIGHT

 さて、今日は偶然見つけてしまった((^^;)伊豆田さんのデビュー・アルバムです。伊豆田さんと言えば、今はピカデリーサーカスのメンバーとしての活動が有名ですね。バンドではキーボードに向かい、ひたすらポール・マッカートニーしてる彼ですが、エピックから何枚も出ているソロ・アルバムは、結構シティ・ポップス(これまた死語かな?)風の音創りになっていました。ただし、珠玉のメロディーのバラード・ナンバーが、彼の一番の「売り」であることは、今でも変わりはありませんけどね。

 伊豆田さんのアルバムで、どうしてこのファーストを選んだのかと思う人もいるでしょうね。このアルバムは、楽曲で見ても、アルバムとしての完成度にしても、たとえば「IN YOUR EYES」や「LOVE LIFE」には遠く及びません。また、まだ伊豆田さんのスタイルも確立しているとは言えず、全体としては散漫な印象さえ受けるのですから。

 その理由は、アルバムのラストを飾る名曲のB5が、あまりにも素晴らしいからなのです。後のアルバム「IN YOUR EYES」でセルフ・リメイク・ヴァージョンも発表しているのですが、このオリジナル・ヴァージョンの持つ瑞々しさは、何よりも素晴らしいと感じるのです。(確かに、リメイクのほうが音もいいし、唄もうまいのだけれども。)この曲を聴いていると、まるでエリック・カルメンのファースト・ソロを聴いた時のような甘酸っぱい瑞々しさが湧きあがってきます。このフィーリングは、デビューしたばかりのアーティストならではです。「1枚のレコードに刻み込まれた青春の証」この曲からは、そういう香りが溢れだしてきます。

 他の曲にも、いろんな音楽の影響が窺えます。典型的なニュー・ミュージック風ながら、キーボードがどことなくスティーヴィー・ワンダーしてるA1(伊豆田さんの曲ではないのだけど)、典型的なアメリカン・ポップ・ロック・サウンドのA2やB3(伊藤銀次さんの曲)、SEを効果的に使ったタイトル曲のA3、のびのびとしたメロディーのミッド・テンポのA5、いかにも日本的なマイナー・メロディーとディスコ・ビートに乗って、間奏のチェンバロの音が印象的なB1と、いろんなタイプの曲が入っています。ただ、まだ自分のスタイルを模索しているなって感じは受けますけどね。そんな中で、どことなくレオ・セイヤーみたいなB4も心を和ませてくれる曲です。

 このアルバムがどれくらい売れたのかはわかりませんし、中古屋でも見つけるのは簡単ではないと思います。でも、B5だけは、みんなにも聴いてもらいたいなって思うのです。伊豆田さんも大好きだというエリック・カルメンの香りに満ちたこの曲だけは....。

 < ローズ・バッド・デイズ / 伊豆田洋之 / JPN / ディスコメイト / DSF-8018 >


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