第59回 C-Sides

 さて、今日はカイルのニュー・アルバムのことです。ニュー・アルバムと言っても、新録ではなくて、レア&アンリリースドの第3集となります。

僕がカイルからこのアルバムの話を聞いたのは、昨年夏の広島でのイベントの時です。「今度のアルバムはレア&アンリリースドの第3弾になるんだ。タイトルは『C-Sides』で、ジャケットは千葉の海の写真だ。」

実際にジャケット写真を見たのは随分後になるのですが、これはカイルの初来日時に、招聘の中心人物だったマークさんの実家にカイルが泊まった時に近くの海(九十九里浜)で撮った写真になります。

カイルの話はさらに続きました。「アルバム・タイトルにはふたつの意味があるんだ。A面B面ときてのC面(C-side)と、海のほとり(sea-side)だよ。」カイルが笑いながらそう言うので、僕もつい「君がそう決めたの?(Did you decide it? = Did you D-side it?)」と返してしまいました。もちろん、すぐに二人で大笑いでしたけどね。(笑)

アルバムには全部で17曲が収められました。去年の夏の時点では入れるかもねと言っていた「Until Love Comes Again」が漏れたのはとても残念ですが、なかなか面白い曲が揃ったと思います。カイルもライナーや自分のHPのフォーラムでいろんな種明かしをしていますので、一度見てみてくださいね。

1.Draggin' The Line
 この曲はカバーなんですけど、普段のカイルの楽曲とはイメージがかなり違うので一瞬驚きました。なんでも、カイルはこの曲があまり好きではなかったけど、自分で歌ったこのテイクで好きになったんだそうです。う〜ん、ナルシスト?(笑)

2.You Bring Out the Best in Me
 この曲もカバーですね。1曲目よりはカイルのイメージに合う曲だと思います。70年代ポップス風の展開がカイルの趣味にも声にも合っているように思えますね。

3.Who Are We Fooling
 この曲は、本当にメロディーの美しいバラードですね。カイル節全開で、甘酸っぱい香りでいっぱいになる曲です。カイルのファンじゃなくても気に入るんじゃないかと思いますね。

4.She’s Top 40
 カイルのセカンドのアウトテイクです。でも、オリジナル・アルバムに収められたのとは随分と違ったサウンドです。ソフトで、甘くて、柔らかで、ビートリッシュな感じも強くて...個人的にはこっちのテイクの方が好きですね。(^^)ポール・マッカートニーみたいなベースラインも光っています。

5.Name
 この曲もカバーですね。カイル風エレポップと言うところでしょうか。カイル自身も認めているようにOMD(オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク:『エノラ・ゲイの悲劇』が代表曲)みたいなサウンドです。(笑)

6.Who Knew
 この曲も非常に美しいバラードです。カイルとパーセノンの共作ですね。バックのペダル・スティールが効いています。ちょっぴりカーペンターズ風のフレーズににやりとします。(笑)

7.I’m Somebody (Coffee House Dues)
 この曲は、ライヴでは有名だった曲です。日本でのライヴ・イベントでも何回も歌われている曲ですが、ようやくCDとして正式ヴァージョンのリリースとなりました。やっぱりいい曲ですね。

8.What Am I Gonna Do
 「Trust」の曲のデモ・ヴァージョンです。カイル自身でも本当に気に入っている曲のひとつなんだそうですよ。オリジナルよりは大人し目のサウンドかな?改めて聞くと、結構渋い曲だなぁって思いますね。

9.Next Time We’ll Go Crazy
 ファーストに収められていた名曲のデモ・ヴァージョンです。でも、サウンドは随分と違います。オリジナルがピアノヴァージョンなら、こちらはギター・ヴァージョンとでもいいましょうか。ギターのコードが耳に残るサウンドです。間奏のギター・ソロも印象的です。オリジナルの完成度の高さと緊張感はないかもしれませんが、こっちのテイクのほうが甘くてロマンチックだと思います。甲乙つけがたいですが、僕としてはこちらのテイクの方がお気に入りですね。(^^)

10.Arianne
 カイルの最大の代表曲のデモ・ヴァージョンです。オリジナルよりも生ギターの音が効いていますね。カイル本人の弁では、これが一番お気に入りのテイクなんだそうです。サウンドもそうなんですが、コーラスも少し違っていて面白いです。個人的には、カイルと二人で歌ったライヴでのハーモニーの付け方は、オリジナルよりもこのヴァージョンに近いように思います。まあ、この曲に関しては、やっぱりオリジナル・テイクが一番だと思いますけどね。(^^)

11.Manana
 曲名を見た時にはおやっと思ったんですが(爆)、カイルのオリジナルでBCRとは同名異曲です。スペイン語のバラードですね。ですから「マニャニャ」じゃなくて「マニャーナ」でしょう。本当に美しい曲です。僕はリッカルド・フォッリ(イタリアですけど)を思い出しました。

12.I Will Believe
 「Trust」の何曲かをプロデュースしたクリフ・マグネスとの共作です。ドラマチックでハードな曲ですね。80年代後期から90年代初期のアメリカン・ハードの香りがします。(本人も書いている通り、ボン・ジョビとかね。(笑))カッコいい曲だと思いますよ。

13.There’d Be Nothing
 オーソドックスながらも美しいバラードです。でも、(共作だからという訳ではないでしょうが、)メロディーにカイル独特の煌めきが足りないと感じるのは僕だけでしょうか?

14.Don’t Change
 再びエレポップ(ユーロビート)です。(笑)カイル自身も認めているとおり、ペット・ショップ・ボーイズですね、これじゃ。(^^)

15.Be For Her
 トミー・ダンバーとの共作です。90年代初期のアメリカンAORの香りがしますね。サウンド的にも構成的にもよく錬られた曲だと思います。ドラムの音が人工的すぎるのが少し残念ですけどね。

16.The Girl I Love
 ここからの2曲はボーナス・トラック扱いです。まず、この曲はキャンディのデモだそうです。でも、ハードな面は少なくて、甘いポップ・ソングとなっています。メロディーを聴くと、確かにキャンディそのものなんですけどね。もう少しハードなアレンジで聴いてみたい曲です。

17.No Matter What Will Be
 セカンドの曲のデモ・テイクです。カイル自身も気に入っているテイクだそうですが、シンプルな分だけ楽曲の良さが光っていると思います。

ということで、これまでの「レア&アンリリースド集」の中では一番サブタイトル通りのアルバムだと思います。これまでの2枚には「なんでこんないい曲がお蔵入りしてたの?」という曲がちらほらあったのですが、今回は少なめだと感じました。(そういう意味でも「Until Love Comes Again」が漏れたのは重ね重ね残念です。まあ、あの曲に関してカイルは前々から「まだ満足のいくスタジオ・テイクがないんだ」と言っていましたので、そのせいなんでしょうね、きっと。)

最も、既発表の曲のデモテイクに面白いものや出来のいい物が多いように思えます。特にM4とM9は涙モノですよ。(^^)

ということで、カイルのファンの皆さんなら、超マスト・アイテムの1枚ですね。

では、また次回に。


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