第49回 カイル・ヴィンセント来日同行記その2

前回から少し間があいてしまいました。今回は、広島でのライヴのお話です。

ライヴの用意を調えている(はずの)カイルを迎えにホテルに行き、ほぼ予定の時刻にカイルと合流することができました。ライヴイベントの会場の楽座さんには開演の2時間前に入る予定でしたので、カイルと話をしながら車を走らせます。前日の夕食の時にも出てきていたのですが、ニュー・アルバムの話(「Groove News」というタイトルを思いついているそうですが)とか、(ハワイのFMインタビューで公表されたので情報解禁しますが)キャンディの25周年記念にCDをリイシューできないかと交渉しようとしている話とか、いろいろ面白い話もありました。

会場まであと3分くらいの信号を通り過ぎたとき、カイルが言いました。「いけない、カラオケCDとプレゼント用CDをホテルに忘れてきた!」......。「カイルといると何かが起こる」というマーフィーの法則に基づいて、僕は車をUターンさせてホテルに向かいました。

結局、会場に着いたのは、開演まで1時間ちょっとというところでした。「A Sakura Christmas」の組み立ては他のスタッフにまかせて、大急ぎでセッティングと音出しです。カイルがエレピとヴォーカルの調整をしている間に、僕はギターを出してチューニングします。

音づくりが終わった頃には、開場5分前になりました。広島が最初の会場ですので、どの曲もリハーサルをしていません。(どころが、僕がいつどの曲で呼び出されるのかも教えてもらっていません。(^^;)とりあえず、ギター1本で日本語で歌う「Sakura Lullaby」のリハーサルです。まずキーをCに決めて、(ちなみにCDではBb。(^^;)僕がCDのピアノから拾ったコードを弾いていき、カイルが修正するというパターンです。まあ、サビのところのコードに若干の修正をするだけで済みましたけれども。

そうこするうちに開場時間を10分も過ぎていました。開演までも20分ということで、リハーサルは1曲だけで打ち切って、お客さんに入ってもらいました。

ここで、カイルは楽座のマスターの石澤さんにプレゼントのCDRを渡します。実は、石澤さんはカイルの「Until Love Comes Again」が大好きで、この曲がCDになっていないのを残念に思っておられました。そのことをカイルに話したら、「CDに入れることのできるクオリティの録音がまだないんだけど、デモの音源をCDRにしてプレゼントしよう」ということになり、石澤さんにも内緒のままでこの日にプレゼントすることになっていたのです。(そんな大事なCDを忘れて来るなよぉ(^^;>カイル。)とにもかくにも、世界でたった1枚だけのCDRです。石澤さんはとても喜んでくださったに違いありません。

つかの間の時間に、カイルは僕の娘と写真を撮ったり、娘が披露した歌「きらきら星(英語)」を聞いたり、ファンの人に話しかけたりして、心を和ませ、開演を待ちました。

ショーの始まりです。僕の紹介でカイルが出てきて、エレピの前に座ります。

オープニングは「Going Down (Japanese Intro)」曲の冒頭部の歌詞を日本語で歌いました。この歌詞も、僕がカイルに聞かれて、大急ぎで日本語をハメたものですけどね。

そしてすかさず「Where You Are」に続きます。今回のライヴイベントのサブタイトルにも使った曲ですね。1年ぶりのカイルの伸びやかな歌声は、相変わらずの甘酸っぱさを持っていました。(^^)

続いて「Emily Standing」です。ニューアルバムの中でも印象的なバラードですね。CDではギターの印象が強かったのですが、ピアノだけのアレンジもまたしっとりとしていいと思いました。

カイルがギターに持ち替えて「Wake Me Up」です。去年は僕が一緒に出てギターのリフやソロを弾いたのですが、(去年のことををカイルが忘れたのか、はたまた僕が戦力外通知を受けたのかは知りませんが(爆)、)今回はカイルの弾き語りとなり、ソロはカイルの歌による演奏となりました。このソロは後にサウンドを変えるのですが、それはまた別のお話。(笑)

続いて「Sierra」です。前の曲のストロークでギターのチューニングが狂ってしまったので、カイルは僕のギターに持ち替えました。(当然、僕が楽屋に戻ってカイルのギターのチューニングを直しましたけどね。)ソリッド・ボディのエレアコを弾くカイルの姿というのは広島限定でしたので、この日に来られた人は珍しいものを見れたことになりますね。(笑)

続いて「Young Again」です。マイナー調の物静かな佳曲ですが、結果的に、この曲は広島だけの登場となりました。しっとりとした、いい演奏だったと思います。

チューニングが終わったギターをカイルに渡そうとしたのですが、次はカイルがピアノに移動しての「It's Gonna Be A Great Day」でした。(^^; ニュー・アルバムの冒頭の曲ですし、去年も歌っているので、堂々としたものですね。

続いて初期の曲になる「Changing The World」です。ちょっと地味な選曲かも知れませんが、ピアノの弾き語りですので、曲の良さがよくわかりますね。

「次の曲はマスターから特別にリクエストされた曲だ」と前置きをした後で、「Until Love Comes Again」が歌われます。ロン・ダンテとの絡みで作られた名曲です。哀愁のメロディーと歌唱に、会場は引きこまれていきます。曲が終わったところで、石澤さんのThank You!!のかけ声が大きく響きます。(^^)

さて、僕の出番です。となれば、曲は「Arianne」ですね。去年も演った曲とはいえ、リハーサルなしのぶっつけ本番の合わせです。自由に歌うカイルと違って、僕はちょっと緊張気味でしたね。まあ、間奏が2コーラスまわされるのは、今年は想定内でした。(笑)

そしてBCRのカバーの「You Made Me Believe In Magic」です。これまたリハなしのぶっつけ本番です。カイルが出だしを間違えたものの、ポップ・クラッシックと言ってもいいくらいの曲ですから、コーラスもいい感じで流れます。アドリブによる間奏は、(カイルもこのとき初めて聴いたのですが、)ギター1本なので、コード中心にリフ風のソロにしました。エンディングは決めてなかったので、カイルの顔を見ながらその場で合わせました。カイルの唄に合わせて元歌と違うコード進行を弾いたのだけど、何事もなくアドリブで唄うカイルはさすがでしたね。

そして、今回のライヴのハイライト企画で、日本語の曲「夢見草の詩(Sakura Lullaby)」です。僕のギター1本だけだし、1番は僕が歌うし、リハもちょっぴりの状態だし、僕はかなり緊張してましたね、ホント。声も上ずっていて、もしかしたらカイルの日本語のほうが上手かったかもしれません。(^^; でも、いい曲にいい歌詞だったでしょ。カイルの日本語は、本当に流暢でした。

カラオケ・カイルのお時間です。まずは、「In Another Life」。アップテンポのポップ・チューンですね。広島では、この曲は極めて普通に歌われました。

続いて「Satellite」です。「この曲は、誰かのために歌わなくちゃいけないね」と言ったカイルは、僕の娘(3才)を呼び、ステージに連れて行きました。カイル屈指の名バラードが流れる中、娘はダンスを踊ります。娘ながら、度胸のあるヤツです。(笑)
終わってから(後日会った人にも)いろんな人に「あれは練習したんですか?」と訊かれたんですが、正真正銘のアドリブだったんですよ。この動画は、カイルのFacebookにも少しだけアップされてましたので、見た人もいるんじゃないかな?

当初のセットリストにはこの後にもう1曲カラオケの「On My Ride」が入っていたのですが、カイルはキーボードに向かいます。(残念!)そして、カイルはお父さんのことを日本語(当然、これも直前に僕が訳してカンペをカイルに渡しましたけどね(笑))で語ります。始まったのは「Remember Me」です。これまたカイル屈指の名バラードですね。うん、名曲だぁ。

再び僕が呼ばれまして、「Whatever Happend To Fun」です。カイルが髪の毛を80年代風にして、MCで85年のことを通訳して紹介して、カイルの次の言葉を待っていると、唐突にカイルが曲を始めるじゃないですかぁ。(笑)すかさず追いついて、曲に入ります。ラストのパートのカイルの歌詞割りと、繰り返しの長さが去年と違っていたのは、気づかれたでしょうか?

カイルが髪を戻して(笑)、日本語で曲を紹介します。雰囲気も変わり、平和への願いを込めた「Petals Of Peace」が始まります。昨年もそうだったんですが、広島の地でのこの歌は、やはり独特の雰囲気がありますね。昨年同様、(自分で言うのもおこがましいのですが)いい演奏になったと思います。カイルと僕がお互いにお礼を言いながら、曲が終わります。

アンコールの拍手が鳴り響く中、カラオケ・カイルで、カーペンターズのカバー「Marry Xmas Darling」が歌われます。名曲の名カバーですね。そして、余韻を残したまま、この日のライヴは終わりました。ライヴの後は、恒例のサイン会&写真撮影会ですね。カイルはみなさんにサービスしていました。

一段落したところで、荷物をまとめて車に積み込むと、カイルはスタッフと一緒に食事に向かいます。昨年と同じく同じく、広島名所「お好み村」の有名店に行きました。そして、昨年同様の「カイル・スペシャル」を注文。昨年と違うのは、うどん入りがそば入りに変わったところです。でも、カイルはそば入りのお好み焼きをえらく気に入りまして、「カイル・スペシャル」という名前は、今回のツアーが終わるまで、彼のマイ・ブームになっていましたね。

食事を終え、カイルをホテルに送るために車に移動します。途中、若いストリート・ミュージシャンが唄っていたんですが、カイルは立ち止まって彼の唄を聴きました。「いい声してるね。そう思わないか?」と訊くので「そうだね、すごくいい声だ」と答えたら、カイルは彼の写真を撮りたいと言いました。一言断ってから写真を撮らせてもらい、彼にメッセージを残して移動します。

スタッフのひとりが車を停めたパーキングがわからないと言い出したので、みんなで彼女の車を探し(笑)に行きました。僕のアイデアで、ラズベリーズの「Nobody Knows」を替え歌で唄いながら。(笑)

彼女の車を発見した後、僕はカイルをホテルに送り届けました。明日は倉敷です。早く寝なくちゃね。

では、また次回に。


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