第4回  MIZUKIさんのレビュー その2 

 さて、今回もMIZUKIさんのレビューになります。連載2回目ということで、順番通りセカンド・アルバムの「WOW & FLUTTER」です。僕のHPではこのセカンドはレビューしていないので、初登場いうことになりますね。

このセカンドですが、初回盤と日本盤と再発盤で収録曲が違います。そのへんのところは第1回を見ていただくといいのですが、MIZUKIさんのレビューは、再発盤の曲目に基づいています。(現在入手できるのはこの再発盤ですので、初回盤しか持っていない人は、要チェックですよ。)

前置きはこれくらいにして、MIZUKIさんの「熱い」レビューをお楽しみくださいませ。そうそう、またマークさんのゲスト出演もありますよ〜。(^^)

<アルバムについて>

アルバム「Kyle Vincent」で、とてつもない衝撃を受けたところに、まだその余韻も冷めやらぬ内にこれを聴いて更に大きなショックを受けた。まさしく彼はメロディの宝庫。それも単なるいいメロディではない。人生観すら揺さぶられる最高の名曲ばかりなのだ。しかもそのレベルの楽曲が、次から次へと出てきて、いい意味での緊張感で息苦しくなるほどだ。全曲圧倒的に魅力的で感動的な曲を書ける男。それがカイル・ヴィンセントといえる。凄い!これは本当に凄い才能だ。私は生まれてきた以上、折角なら最高の才能に沢山出会いたいものだといつも思っている。そして、彼こそがその人物に他ならないと思えるのだ。特にこのアルバムは、アレンジのセンスも群を抜いており最高のサウンドだ。Rock、Pops、Jazz、Classicと、オール・ジャンルを見渡しても、これほど魅力的なアルバムはそうはないといえる。特にカイル・ヴィンセント一世一代渾身の名曲ともいえる「The First Thing On My Mind」だけは、どんなことをしても絶対に聴いたほうがいい。この曲を知らずして人生を終える人は、ほとんど人生の意味すらなかったといってもいいほどだ。(2003.4) 

<楽曲レビュー>

Somewhere Between Hello & Goodbye

しかし。。。彼の才能は一体どうなっているのだろう? ここまで名曲のオンパレードで、ため息をついていたところ、その名曲群をいとも簡単に軽く凌駕するような更に抜群にいい曲が出てくるのだ。この曲は、現在全米1位の曲よりも間違いなく100倍はいいだろう。可哀相だが、何も知らずにHMVあたりで全米チャートのCDを買っている人は、ゴミのような音楽を買っているのだ。そして、この曲を知らなかった私も間違いなくバカだったといえる。(でも、もうバカじゃないにゃん。。。)特にこの曲、カイルの甘く弾む声がもっともマッチしている曲といってもいい。実に魅力的で印象的な歌い方で、声の魅力に参ってしまった。全体のサウンドは、アコースティック・ギターが色彩を決めているので、ちょっとジョージ・マイケルの「フェイス」を思い起こさせるが、メロディは遥かにこっちのほうが魅力的だ。こんなにPOPでカッコいい曲を書ける人は今いないんじゃないかな。さよならエリック。君はもうお呼びじゃない。好きなだけ休んでいていいよ(笑)。

She Only Loves Me When She's High

ミディアムテンポのハードなロックだが、この演奏におけるスケールのあるバンド・サウンドは彼のレパートリー中最もハードかもしれない。だがこのスケールに匹敵するバンドはすぐには思い浮かばない。それほど迫力がある。といっても当然メロディは抜群なのでうるさいとかもたれるという感じはしない。やはりとてもいい曲だ。それにしても大迫力だ。

Taking Over Me

これは郷愁を誘う60年代のメロディだ。しかも最高最良な。子供の頃ラジオで聴いていた洋楽の思い出が部屋の中に充満してくるようだ。1番ビートルズのメロディに近いかもしれない。「アンド・アイラブ・ハー」に通じる哀愁のある素敵な空気とメロディだ。昔全米1位になった「シーズン・イン・ザ・サン」という曲を思い出した。聴けば聴くほどに輝きを増す魔法のような曲だ。

The First Thing On My Mind

しかし、いい曲だ。。。たとえこの1曲に数億円払ったとしても惜しくはない。。懐かしいギターの音色に独特の硬いドラムスの音。そしてカイルのイカした「カモン!」の掛け声を合図に哀愁のあるコーラス被る。そして深い情念を押し留めたように歌うカイルの切ない歌唱に引き込まれてしまう。本当に古きあの時代を懐かしみ、しみじみと聴いてしまう。そして、このメロディと郷愁感漂うハーモニーに涙が溢れそうになるのを、ぐっと堪えるしかない。わからない言葉の歌を聴いてここまで感無量に浸れるのは、やはりエリックとこのカイルのメロディでしか成し得ない奇跡だ。このPOPなのに痛みさえ感じさせるメロディは間違いなくエリック・カルメンのあの蒼き切ない痛みと同種のものだ。まあサウンドとコーラスを含めると「フレシュ」の頃のラズベリーズ。ヴォーカルをエリックに差し替えれば、サウンド、コーラス、メロディと完璧にラズベリーズになる。彼は5人目のラズベリーズ。あるいは、たった一人のラズベリーズとキャッチ・コピーを付けたくなるほど歌い方、声もエリックを意識している感じだ。そして当然、最高に泣かせるの珠玉の名曲といえる。それにしても泣かせるメロディだ。今は無き人に思いを馳せているような彼のボーカルも胸をえぐられるほど感動的だ。カイル。。頼むから、もうこれ以上私を泣かせないで欲しい。


「今でも君は、ボクの心の一番大事な部分を占めている。いつでも心を突き上げてくる。。・・・・誰でもいいから教えてほしい。去られてしまった方がまだましだなんてことが、どうやったら理解できるのか。ボクが一番気になるのは君のことなんだ」(「The First Thing On My Mind」より)

《マーク談》
ずっと「あなたのことが一番」という単純なラヴソングかと思っていました。しかし、ちゃんと歌詞を見てみると、恋人がいながら、かつて別れた彼女のことが忘れられない葛藤を歌ったものでした。あのメロディー、アレンジ、歌唱にこの歌詞がついているとは、さすがカイル、なかなかやりますね。

No Matter What Will Be

「The First Thing On My Mind」は1度聴き出したら最後、1日50回は聴き返しカイル・ジャンキーになってしまう恐ろしい曲だ。はっきり言って史上最高にいい曲といっていい。そして次のこの曲を聴くと、「あれっ!」である。またしても同じくらい泣かせる歴史的な名曲の登場となる。まったく。。。カイルという男はどうなっているのやら。。。才能には際限がないということを嫌というほど教えてくれるのだ。このカイル・ヴィンセントという男は。。。この曲に琴線を鷲掴みにされ涙が溢れ出ない人は私には必要のない人間だろう。このメランコリックなピアノと素朴なメロディは、なぜか幼児期、母親に初めて動物園に連れていってもらった情景を思い出す。そんな情景の連続に涙してしまうのだ。奥行きのあるメロディ展開に、ストリングスが奏でる世界はとてもドラマ的な世界だ。メランコリックな楽器の選別、アレンジの巧みさを割り引いても、ここまで幼少時の世界に引き戻されるのは、すべて彼の優しい歌声とメロディの成せる業だ。奇跡を簡単に起こせる男。それが本物アーティストといえる。そしてそれがカイル・ヴィンセントだ。

The Day The World Changed

もう〜、いいかげんにしないと。こんなに次々、どの曲もいいと何と表現していいかわからない。凄すぎる。この曲も、またしてもアコギ・リズミックサウンドで夢心地に酔わしてくれる。ヒット性たっぷりの、誰もが心ときめく最高にキャッチーなメロディだ。彼はこのタイプの曲は相当得意のようだ。で、こういうリズミックな曲は彼のナイーブで甘い声が胸キュンで最高にマッチする。

Invisible Man

豪快なドラムスが印象的な大迫力のロック・サウンドだが、スケール、ドライブ感が抜群でカッコいい。同時に泣かせるカイルの歌声、メロディと、切ないコーラスにはとても引き込まれる。オールド・タイプのギター・ソロもいい感じで懐かしさ呼起こす。コーラスも哀愁のムードたっぷりでいい。再び大迫力サウンドがフェード・インしてきて終わる。ビートルズ全盛期に一歩も引けを取らないメロディの素晴らしさはお見事の一言。


She's Top40

Top40のDJのコメントがところどころ入る楽しい曲だ。美しい音色のギターで幕を開けるこの曲は、またしても60年代後期の懐かしくも愛らしいメロディだ。各楽器の多彩なフレーズ、コーラスも甘く優しい。カイルの甘い歌声がとても魅力的だ。


Before The Winter Comes

悲劇的なドラマを見ているような彼にしては珍しい哀歌だ。文学的で格調高いヨーロッパの演劇を見ているような世界だ。彼の歌いかたも情感たっぷりだが、短い曲であっという間に終わる。


Leave It Alone

これまた始まった瞬間、この世に何曲もない歴史的な名曲だということがわかる。オルゴールのような響きのアコギとマンドリン。多層的に織り込まれる美しいハーモニー。これはとても落ち着いた牧歌的な世界だ。それにある種童話的なサウンドでもある。哀愁のあるシタールのような音。静かに仔馬に乗っていくような風景。中間の縦笛のような音色のソロといい、なぜか思春期に見た素敵な映画のワンシーンが次々と蘇ってくる。こういう思いを想起される曲ってほとんどない。だからこれは歴史的名曲に思える。

Jennifer

出だしのギターの音色、フレーズ共にあまりにもカッコいい。アクセントのドラムスも最高だ。曲調はなんとなくスタレビの「瞳の中の天国」によく似ている感じ。だから当然いい曲です。オーソドックスな名曲で何度も繰り返し聴きたくなる。イントロのギターや全体のサウンドはラズベリーズやフォトメイカーの最良な部分を醸成して練りこんだような感じでとても魅力的だ。素晴らしいコーラスとノスタルジックなムードは本当に引き込まれる。大好きな女性のことを歌った曲なのでしょうね。本当にいいムードが伝わってきます。この曲も今後の人生で忘れることができないものになるでしょう。

Everyday Thing

ハッスルのリズムで始まるサルサ風でもあり、カリプソっぽいなんとも形容しがたいラテンサウンドだがとても懐かしいメロディ。後半のトランペットのソロは昔の米ドラマのテーマのようで懐かしい感じもする。ところどころJazz的な要素も入っており好き嫌いは別れるかもしれないが、多彩なドラマ的世界が広がっていく。しかし彼のボーカルは非常に巧みではまっており、こういうタイプの曲を歌っても本当にうまい。

Van Gogh Sunset

■やさしいファンタジックなアコースティックなギターの響きが全体を彩っている。そこに、しなやかで優しいカイルの声の響きがメロディアスな世界に誘っていく。気がつかないほど控えめにストリングスとピアノが隠し味でこの優しいサウンドを盛り上げていて、まさしくタイトルどおりに気だるい心地よさでサンセットを眺めている風景が立ち上がってくる。しかしこのサウンド、コーラスの心地よさは、なんだか子守唄を聴いているようだ。彼もそう思っているのか、この心地よい演奏のみが曲の終わりには1分以上続き心憎い。いやはや、こういうところも本当にセンスがいい人だ。

ということで、MIZUKIさんのレビューの2回目は、セカンド・アルバム「WOW & FLUTTER」でした。

ところで、第1回にも書きました通り、このアルバムの日本盤は、シングル「TELL IT GOODBYE」との2枚組でリリースされました。そのシングル曲についても、MIZUKIさんは別頁でレビューされていました。今回も、そのレビューで締めくくることとしましょうね。(^^)

Tell It Goodbye

ピアノのイントロが始まった瞬間グッとくる。穏かに包むストリングスの優しさといい、曲調はエリックの「フーリン・マイセレフ」を連想させられる。またしても胸に染み込む素晴らしい名曲との出会いだ。ナイーブで内省的なムードは、ややピート・ハムも連想できる。声、メロディ、ピアノ、ストリングスとすべて抑制がとれており本当に美しい。そしてとても静だ。

では、また次回に。


ご感想とかご意見とかがありましたら、どしどしメールくださいね。