第211回 LIVE USA 1974 SCOTLAND 1976

  さて、今回は久々の国内盤CDの紹介です。でも、残念ながら新しい録音ではありません。キング・ビスケット・フラワー・アワーからの音源とBBCの音源と、全部で3種類のラジオ音源が収められています。国内盤と書きましたが、輸入盤に解説と帯を付けた仕様になっています。

内容的には、テッドの(第1期のアッシュの)末期の音源とローリーの脂がのってきた頃の音源に、初期の音源がボーナストラックというものですね。1枚目はたっぷり72分ありますが、2枚目は49分と、少し寂しいところがありますね。まあ、1枚目をじっくり聴いてくださいというところでしょうか。

■Disc 1:
1. いつか世界は
この曲でのオープニングも珍しいですね。各楽器の音がよくわかるミックスですが、テッドのギターが小さめなのがちょっと残念なところです。ベースやバスドラの重低音が収め切れていないのも残念ですが、生での迫力が十分に想像できる音ですね。
2. ロックン・ロール・ウイドウ
テッドのスライドギターはさすがに少し大きめのミックスになってはいますが、まだアンディーのギターの音が大きいですね。でも、迫力のある演奏になっています。
3. キング・ウィル・カム
編集があってこの曲が始まります。この曲もテッドのギターは大きめのミックスですね。テッドの頑張りが光る演奏です。
4. 戦士
この曲も手堅い演奏です。最初のアンディーのソロの大きさにはびっくりしましたが、途中からは修正されています。
5. ブローイン・フリー
場内からフェニックスやこの曲へのコールがあってから曲が始まります。堅実な演奏ですね。
6. ジェイル・ベイト
ギターのアドリブのイントロがあって、曲が始まります。テッドのエフェクターの調子が良くないのが気になるところでしょうか。テッドはトーキング・モジュレーターを使ってるのかな?ちょっと新鮮です。
7. フェニックス
アンコール前のラストナンバーですね。チューニングにずいぶん時間をかけてます。(笑)23分もの長丁場ですから、準備も念入りにというところでしょうか。この曲ではテッドがかなり頑張っていますし、その分音も大きくなっています。マーティンのベースもさり気にカッコイイですよ。
8. 時は昔
アンコールにこの曲というのも珍しいですね。最初からは始まらずに、アップテンポになったところから始まっています。この曲も手堅い演奏ですね。そして1枚目は終わっていきます。

全体的には、かなりラフなミックスになっていますね。そのぶん、ライヴ感は抜群ですけどね。曲にもよりますが、2本のギターの音のバランスがイマイチなのは残念なところです。

■Disc 2:
1. ランナウェイ
当時のセットリストのオープニングはこの曲でした。マーティンのハマーの轟音はさすがに完全にとらえることはできないけど、当時の迫力が十分にわかる録音です。カッコいいですよ。
2. キング・ウィル・カム
手堅くまとめられた演奏ですね。ここでもマーティンのベースが(この曲ではサンダーバードのはずだけど)かなり大きく入っています。ヴォーカルのバランスがイマイチですね。コーラスが小さいので薄っぺらく聞こえてきます。
3. ローレライ
マーティンのベースとスティーヴのドラムを中心に迫力満点の録音ですね。サウンドはいいバランスです。
4. マザー・オブ・パール
これまたマーティンのベースが躍動する曲です。やっぱりマーティンのハマーのベースはカッコイイですよ。マーティンのヴォーカルもカッコイイことも付け加えておきますね。
5. ブローイン・フリー
かっちりとまとまった演奏です。楽器のサウンドも良いのですが、ヴォーカルのバランスもずいぶん改善されています。

全体的に、ギターのバランスも良く、楽器は綺麗に録られています。これでヴォーカルのバランスが良かったら文句なしなのですけどね。でも、十二分に満足できる仕上がりだと思います。

(Bonus Tracks BBC Broadcast 1972)
6. フェニックス
サウンド的には74年の音源よりはまとまっているでしょうか。バランスも良く、聴きやすいですね。演奏は途中で編集されて(おそらく中抜けで)7分40秒の長さになっています。普段よりギターを弾きまくっているのが印象的です。(音の定位的にはテッドなのだけど、テッドにしては上手すぎるし、アンディーなのかな?)
7. 光なき世界 > レディ・ウィスキー
2曲で3分ですから、本当に2コーラスずつ演ってお終いという感じです。
8. いつか世界は > フェニックス(リプリーズ)
これまた2曲で3分ちょいです。始まりもフェードインでベースソロ&コーラスから始まっています。と思えば、いきなりフェニックスのラスト部分に飛ぶという斬新なアレンジです。面白いと言えば面白いですけど、効果的とは言えないかな?(笑)
9. 剣を棄てろ
ボーナストラックの中で、唯一フルコーラス近く聴ける曲ですね。ただ.....これは.......。イントロが途中からオクターブ上がったり、ラストのソロが途中からツインリードになったり、ベンのオブリガートが入ったりしています。これって、ベンの頃の録音じゃないのかな??そう思うと、M6も怪しい気がします。よく聴くと、1枚目とは違ってアンディーが歌ってるし。

ボーナストラックですが、M7とM8はともかくとして、M6とM9はわりと新しい時期の録音ではないかという気がします。どうなのでしょう??

ということで、ボーナストラックには疑問が残るのですが、肝心のKBFHの部分は凄く楽しめる作品だと思います。ボーナストラックの謎がわかる人、教えて〜。(笑)


では、また次回に。


<2019.7.7追記>ボーナストラックを調べてくださったファンの方がいらっしゃいます。
M6とM9は2003年のベン時代のDVD音源、M7とM8は1989年の再結成時のDVD音源だそうです。1972年のBBCというクレジットは、ガセでした。(笑)
Mさん、どうもありがとうございました。