第194回 Elegant Stealth

 
 さて、本家アッシュのニュー・アルバムがリリースされました。オフィシャルサイトでも25日からの販売なんですが、アマゾンで注文していたら、なんと、23日に届いてしまいました。(^^)

アッシュが同じメンバーで複数枚のスタジオ・アルバムをリリースしたのは何年ぶりでしょうね。「Here to Hear」以来になるのかな?それだけ今のバンドが充実しているということなのでしょう。(^^)

ジャケットのほうも、(好みの問題でしょうけど)前作や前前作に比べるとセンスもあるように思えますし、これまでにライヴで披露されている曲もいい感じでしたので、期待は高まります。(^^)
では、聴いていきましょう。

1. Reason To Believe
すでに随分と前にシングルとしてダウンロード・リリースされている曲です。アッシュにしてはかなりポップな曲ですけど、イントロのハーモニー・ツインからカッコいいですよね。ライヴでもそうだったんですが、マディーの頑張りが目立つ曲です。ラストはシングルよりも長く引っ張っていますね。オープニングとしては申し分ないです。

2. Warm Tears
続けざまに、ヘヴィーなこの曲が続きます。アンディーと共同プロデュースもしているトム・グリーン・ウッドが印象的なオルガンを弾いていますね。細かいリズミックなリフはジョーのドラミングにマッチしています。ハーモニー・ツインもいかにもアッシュっぽくてカッコいいし、古き良きブリティッシュ・ロックの香りがします。

3. Man With No Name
ミッド・テンポで歌を聴かせてくれる曲です。どことなくバッド・カンパニーっぽいですね。サビでの若干ポップな展開もいい味を出しています。アーシーなアコギも効いていますね。

4. Can't Go It Alone
ライヴではすでにおなじみの曲です。パット・マクマナスのフィドルをフィーチャーして、イントロのハーモニー・ツインとか部分的に随分とアコースティックな感じがします。サビのリフは、何度聞いてもバッド・カンパニーですけどね。(笑)アンディーの泣きのギターもキマってますし、やはり名曲だと思います。

5. Give It Up
ミッドテンポで、アコギの刻みが軽快な曲です。これも歌を聴かせてくれる曲ですね。女性コーラスも入ってきて、どことなくフリートウッド・マックっぽかったりもします。ハーモニー・ツインも哀メロですね。ギター・ソロとアコギの絡み方もフリートウッド・マックです、はい。(笑)

6. Searching For Satellites
静かな曲です。アコギとエレキのギターの絡みは「Lullaby」あたりを彷彿させてくれます。アンディーの歌も味がありますね。この曲でも女性コーラスが入って変化をつけています。ギターのヴァイオリン奏法が印象的ですし、上手くまとまっていますね。楽曲自体はアルバム中では一番アメリカンな曲かもしれません。

7. Heavy Weather
リズミックな曲ですね。サビまではギターのリフと歌のリズムが違うので、新鮮な響きがします。サビはゆったりとした感じで変化を付けています。ここでの女性コーラスはルーシー・アンダーヒルです。ここでも真ん中にヴァイオリン奏法が出てきますが、2曲続けるのはどうなのかな?後半ではブライアン・ハレーマンのトランペットもフィーチャーされています。ずいぶんと冒険的で実験的な曲だと思いますね。

8. Mud-slick
ライヴでもおなじみのジャジーなインスト・ナンバーです。ドン・エイリーがキーボードで参加しているのですが、彼の弾くハモンドはジャジーさをアップさせていますね。途中のハーモニー・ツインのリフは、ボナファイドみたいです。ドンのソロもカッコいいし、キーボードレスのライヴの何倍もカッコいい曲だと思います。

9. Big Issues
いきなりボブのタッピングが出てきます。ギターのリフもリズミックでファンキーな曲ですね。途中でブギー調に変わるんですが、そこからは聴く方も安心してしまいますね。(笑)冒険的なパートと十八番のパートとくっつけてみた感じですね。

10. Migrant Worker
ジョーのドラムから、ファンキーなギターの刻みが入ってくる曲です。ハーモニー・ツインは70年代後半のアッシュの音がしていますね。マディーのスライドもいい味を出しています。

11. Invisible Thread 
ラスト・ナンバーもライヴではおなじみの、ミッドテンポのカッコいい曲です。ホント、ポール・ロジャースあたりが歌うと似合いそうな曲ですよね。ところでこの曲、11分半あるのですが、実際は5分15秒ほどで終了します。そして1分間の空白を挟んで、なんと、シークレット・トラックがあるんですね。それは「Reason to Believe」のリミックス・ヴァージョンです。『Duran Duranかい!』と突っ込みたくなりそうなヴァージョンなんですが、もの凄く冒険してますね。もしかしたら、ファンの8割は「蛇足」と思うかもしれませんけれど。(笑)

全体として、アンディーが守りに入らずに攻めの姿勢を貫いていることが感じられるアルバムだと思います。でも、そこはアッシュですから、(シークレット・トラックを除くと、)音的には70年代のブリティッシュ・ロックの香りが残る曲が多いですし、特にハーモニー・ツインのパートからは70年代後半のローリーがいた頃の香りがしてきます。ただ、やっぱりアッシュは現役のバンドなんだよと主張しているように、僕には思えますね。

皆さんは、どう感じるでしょうか?


では、また次回に。