第152回 Live From Memphis

 さて、ちょっと前にパティオには書いたのですが、今日の話題は「Live From Memphis」のことです。

「Live From Memphis」については、このHPの常連の方々ならご存じのことだとは思いますが、(そうでない方もいらっしゃるかもしれないので、)まずは簡単に復習しておきますね。

もともとはFMラジオの放送用に録音されたライヴ音源から、プロモーション用の3曲入りのLPレコードが制作されたのが72年のことでした。そのLP「Live From Memphis」は、アッシュのファンの間では有名なレコードで、音源自体は、これまでにもいくつかのCDのボーナストラックとして収録されてきました。最近では、アーガスの30周年エディションのボーナストラックにフル収録されたのは周知の事実です。

ところが今年になって、US-ASHのDr.Johnが完全収録ヴァージョンのテープを発見しました。(彼にとっては、「First Light」以来の快挙となります。(笑))で、このたび、プロモーション用に12枚のCDRを制作しました。その12枚のうちの数枚はアッシュのメンバーの手に渡り、何枚かはリリースを検討してもらうためにCDレーベルに送られました。残ったもののうち、1枚はアメリカの某最大オークションサイトに出品されまして、入札値が100ドルを超えたところまでは僕も知っているのですが、最終的な価格がいくらだったかまでは知りません。(笑)

そうこうするうちにアメリカ在住の日本人のアッシュファンの方から、Dr.Johnが僕のメールアドレスを知りたがっているという話を聞きました。メアドを教えてからすぐにDr.Johnからのメールが届きました。その内容ですが、彼は昔のよしみで僕に1枚キープしてくれているというじゃないですか。(当然、有料ですよ。(笑))僕は即行でお礼のメールと代金を送り、そして昨日、僕のところにCDRが届きました。(^^)

封筒から取り出したCDRを裏返してクレジットを見ると、パティオで書いた曲目(第一報)と若干違っていました。でも、聴いてみると、そのクレジットも間違っていて、正確にはこうなります。*印のものが、プロモLP「Live From Memphis」に収録されたトラックですね。

Live From Memphis / Wishbone Ash
1. Announcer KLAZ / 2. Time Was / 3. Blowin' Free / 4. Jailbait * / 5.Warrior / 6. MC / 7. The Pilgrim * / 8. KLAZ Announcement / 9. Phoenix * / 10.Blind Eye / 11. Advertisements
< Live From Memphis / Wishbone Ash / us / USASH / no numbers >

M1はラジオのオープニングのMCですから、M2が実際のオープニング曲となります。でも、これは後半部分のみの演奏ですね。76年の日本公演で後半のみの演奏を聴いたときには違和感を感じたものですが、この曲は当初は後半部分のみで完成しており、後から前半部を作ってアルバムのような形になったと考えるのが自然でしょう。そういう意味では、新しい発見かもしれませんね。(笑)M3は、すでに完成の域に達していると言ってもいい演奏だと思います。若干の危なっかしさはありますが、それでも楽曲の魅力は存分に発揮できていると思えますよ。

M4は、プロモLPに収められたテイクです。後述しますが、この曲をはじめとしてLPに収められていた3曲に関しては、録音状態も良く、同じマスターテープからの音だとは思えません。もしかしたら、これらの3曲は、現存の音源から収録したのではないかと思えます。

M5も、かなりまとまった演奏だと思います。そりゃライヴデイト等に比べたら粗いですけど、それでも有名なBBC音源よりは遙かにいいのではないかと思えます。

M6はMCなので省略。M7もプロモLPで有名な音源ですので、省略。M8もラジオのジングルですから、これまた省略。ついでに、プロモLPの音源のM9も省略しましょうか。(笑)

そしてラストナンバーのM10です。この曲を聴いた時、ちょっとびっくりしました。変拍子が入っているんです。ハーモニー・ツインのリフの2小節目の1拍目の音が2倍あり、4拍子と5拍子がごちゃ混ぜになっています。なんでこんな演奏になったのかはわかりませんが、明らかに意図的なアレンジに聞こえます。驚きというか、謎に近いものを感じますね。(笑)

M11は、ラジオのCMなので、こいつも省略しましょう。(爆)

通して聴いてみて気になったのは、ノイズ(テープのヒスノイズ)の大きさです。とてもマスターテープとは思えないような録音ですね。Dr.Johnが、入手したテープに音質補正を加えずにそのまま収録したということはわかりますが、商品としてリリースするためにはかなりの修正作業が必要になるだろうと思えます。このあたりの手間と費用が、まだこのアルバムのリリースが決まらない理由ではないかと思いますね。

また、M3でも書きましたが、少しでも状態のいい音をということなんでしょうけれども、プロモLP収録の3曲は、いい状態の音源を使っているようです。全体として聴いた時には、それらの曲で違和感を感じますね。やはり、音が悪くてもオリジナルの音源を入れてほしかったところです。

ただ、演奏自体は悪くないですし、きちんと音質補正ができたら、それなりのクオリティのライヴ・アルバムにはなると思えます。リリースが決まればそれなりの音になるはずですので、レーベルが決断してくれることを祈ることにしましょう。

そうそう、ブックレットのほうは丁寧に作られており、若きアッシュの写真もふんだんに使われています。このブックレットの仕様はすばらしいと思いますし、正式リリースとなったら、ぜひにこのブックレットを使ってほしいものです。

では、また次回に。