第142回 ARGUS ARGUS

  さて、昨年のASHCONのメインセットのオープニングが「ライヴデイト」と同じであったことは前回書きましたが、今回はそれにちなんで(?)アーガスに関する話題をふたつお届けしましょう。

まずは、リクエストを頂いたアーガスのデラックス・エディションの件です。リリース自体はずいぶん前だったんですが、マーティンのサイトからのCDが届いてからと思って、今まで書かないでおいたのですけどね。(笑)まあ、このHPの常連さんならば、とっくの昔にゲットしたよって人も多いでしょう。

「アーガス デラックス・エディション」ですが、アッシュのMCA時代のアルバムのデラックス・エディション化の先陣を切ってリリースされたことになります。マーティンの「働きかけ」では最初に6タイトルくらいが出て、次に残りが..ということだったようですが、ユニバーサルのほうも堅実に「まずはアーガスのみのリリースで動向を見よう」としたのではないかと思えますね(私見ですが)。

今回は、デラックスエディションということで2枚組仕様となっています。レーベルはユニバーサル、カタログ番号は9849624ですね。ジャケットは四折りのデジパックで、インナーはブックレットが入っています。(裏ジャケのUFOは消えていますね。)内容としては、1枚目がアーガスのオリジナル・ミックスのリマスター+ボーナス・トラックで、2枚目が72年のBBCの音源となっています。

CD 1:
1.Time Was / 2.Sometime World / 3.Blowin' Free / 4.The King Will Come / 5.Leaf And Stream / 6.Warrior / 7.Throw Down The Sword // 8.No Easy Road / 9.The Pilgrim / 10.  Phoenix

CD 2 (1972 BBC In Concert Session) :
1.Time Was / 2.Blowin' Free / 3.Warrior / 4.Throw Down The Sword / 5.The King Will Come / 6.Phoenix // 7.Blowin' Free // 8.Throw Down The Sword

1枚目については、特に説明は要らないでしょう。アッシュを代表する名盤のオリジナル・ミックスなんですから。リマスターで音質は向上しているのかもしれませんが、聴き慣れたミックスだけに「サプライズ」は少ないでしょう。また、ボーナストラックも「普通」の選曲となりました。「ブローイン・フリー」のシングルのB面だったM8は、当然シングル・ヴァージョンです。M9とM10は有名なプロモLP「ライヴ・イン・メンフィス」からのものです。ここでのサプライズは、全くありませんね。(笑)

で、2枚目です。M1〜M6は1972年5月25日の録音で、これまでにもブート盤やハーフ・オフィシャル盤で出てきている有名な音源です。古くは「Fighters & Warriors」(第6回ほか参照)から、記憶に新しいところでは「POP SPECTACULAR」(129回参照)まで、いろんな音盤があります。最も、前者は(FMがソースでしょうけれども)録音に不安定な部分がありまして、これまでは一番音質の良いのは後者だと言われていました。また、ハーフ・オフィシャル盤はモノラルでしたので、今回が初めてのステレオ正規盤となるわけです。
聴いてみると、M1のイントロからギターの定位が違っていて、前述の2枚とは左右が逆になっていますね。正規盤ですし、これが本来の定位なのでしょうか?
内容ですが、かっちりした若さと瑞々しさが感じられる名演のM1以外は、あまりオススメできる演奏ではないと思えます。前から何回も書いていることなのですが、M4の演奏の粗さあたりには悲惨なものもありますね。(^^;
ちなみにM7が5月31日の録音で、M8は5月10日の録音だそうです。M8を聴いて驚いたのが、M4と同じように、ここでも歌詞が間違って歌われているということです。M4の時にはうっかりミスって歌ったので仕方なくそのまま演奏したのかな?と思っていたのですが、他の日でもそうだったというのは謎ですね。

ということで、デラックス・エディションとして売るのでしたら、もっと音源の発掘をしてほしかったなぁというのが正直な感想です。これでどれくらい売れるのかな?と、ちと不安になってしまいました。このアーガスの売れ行きがこの後のリイシューに影響することも十分に考えられますからね。(こうなると、次のデラックス・エディションを「ライヴ・デイト」にして、ドクターやエブリバディ・ニーズ・ア・フレンドやソー・メニー・シングス・トゥ・セイあたりを加えた完全版にするくらいの戦略が必要かなと思いますね。)マーティンの働きかけでは「ライヴデイト2」のリリースも交渉内容に入っていましたので、本当にがんばってもらいたいものです。
ちなみに、マーティンのサイトでは、最初のストック分はマーティンのサイン入りで売っていたのですが、それは初日に完売したそうです。(翌日のオーダーとなった僕は間に合いませんでした(泣)。)

では、話題を変えましょう。

マーティンのアッシュがアーガスの新録音をしているということは、前にも書きましたよね。マーティンのサイトの昨年最後のニュースによると、そのアーガスの新録音にジョン・ウェットンが参加したとのことです。(写真はマーティンのサイトのものを使用しています。)
それによると、ジョンは「剣を棄てろ」にヴォーカルで参加したとのことです。(マーティンの高音部は出なくなっていますから、)おそらく高音のコーラスパートを唄ったのではないかと思われますけどね。オリジナルに敬意を表しながらのハーモナイズということですので、どのようにアレンジされているのか、楽しみが少し増えましたね。(^^)ちなみに、同曲でキーボードを弾いてくれたのが、ジョンの盟友のジェフ・ダウンズだそうです。こっちも楽しみですね。(^^)
前にも書いたのですが、個人的には、マーティンには新作で勝負してもらいたいと思っています。でも、こうしてゲスト(しかもアッシュにゆかりのある人)を迎えての新録だったら、トリビュート的な意味合いも出てくるので、それはそれでいいかなとも思えますね。

アーガスの新録盤は、今年の2月のリリースが予定されていて、現在、ミックスダウンの仕上げの段階だそうです。リリースまでもう少しですので、首を長くして待っていることにしましょう。もちろん、その次こそは新作アルバムを作ってよね、マーティン。

では、また次回に。