第139回 Power of Eternity

 1.The Power / 2.Driving a Wedge / 3.In Crisis / 4.Dancing with the Shadows / 5.Happiness / 6.Northern Lights / 7.Your Indulgence / 8.Growing Up / 9.Disappearing / 10.Hope Springs Eternal
< Power of Eternity / Wishbone Ash / UK / Talking Elephant / TECD-119 >

さて、パティオではいろいろ書いていたんですが、アッシュのニュー・アルバムが届きました。今回は、ジョー・クラブトゥリーが加入してから初のアルバムになりますね。(それにしても、アッシュのスタジオアルバムは、同じメンバーで2枚以上制作されなくなってしまいましたね。(笑))まず気になったのは、ジャケのショボさです。((^^;)前作のジャケも、なかなか「???」だったのですが、今回はそれ以上ですね。個人的には、スタジオアルバムではダントツのNo.1です。(笑)

ただ、オフィシャルサイトで流れていたハーモニー・ツインのリフは本当にカッコ良くて、楽曲的な面で期待していたのは事実です。CDが届いた日には(家の都合で)聴けなかったので、次の朝、通勤の車でCDレシーバーに突っ込みました。そして、流れてきた楽曲群にびっくりしました。

クレジットによると、ベーシック・トラックはフィンランドで、アンディーのヴォーカルとリードギターはアメリカで、バックコーラスはロンドンで、マディーのギターのオーヴァーダブはフィンランドでと、いろんな場所で録音されているようです。また、1曲だけですが、レイ・ウエストンのドラムを聴くことができます。では、順に聴いていきましょう。

M1は、ジャケットカバーを書いたイアン・ハリスとマディーの共作だそうです。ミッド・テンポで、ずいぶんヘヴィーなアレンジのロック・ナンバーですね。ボブのベースがよく目立っていますし、カッコイイですね。コード進行とメロディー・ラインですが、メージャーコードから同じマイナーコードへつないで半音ぶんの微妙な響きをを活かしたりしています。ハーモニー・ツインはバッキング的に使用し、あまり目立たないようなアレンジですね。でも、悪くない曲です。(^^)

M2はアンディーとマディーの共作です。いきなりのスティーヴ・クロッパーばりのファンキーなギターの刻みにびっくりします。ラテン・パーカッションも入ってリズミックなバッキングでアンディーが歌い、マディーがリフを入れるという構成ですが、非常にカッコいいんですよ。ハーモニー・ツインも適度に出てきますしね。面白いのは、ここでも半音の響きの変化を活かしたアレンジとなっていることでしょうか。まあ、間奏の二人の熱い掛け合いの部分を聴けば、それでいいよって気になりますけどね。(笑)「限りなき束縛」のサウンドの発展系と言える曲ですが、聴き応えのある曲です。

M3もアンディーとマディーの共作です。マイナー調(かつ、マーティン調)の哀愁のメロディー、美しいギター・トーンとハーモニー・ツイン...ホント、日本人受けしそうな曲ですね。そういえば、サウンド的にも日本のニュー・ミュージック風だと感じます。最初はアンディー、2回目はマディーのギター・ソロも聴き応えありますし、昔からのファンにも受けの良さそうな曲です。心配なのは、「この曲でこんなソロ聴かせたら、ライヴでキング・ウイル・カムの時にはどうするの?マディー??」と言いたくなることくらいかな。(爆)超オススメの1曲ですね。

M4はマディーの書いた曲で、テンポを落としたヘヴィーな曲ですね。3連の曲で、ジョーの得意のパターンのような気がします。地味ながらも、楽曲的によくできたメロディーとハーモニーだと思いますし、演奏も聴き応え十分です。

M5はアンディーとボブ(!)の共作です。確かに、ベースラインが印象的ですね。ハーモニー・ツインもソロも良くできています。曲はFOしながらアコギのadd9のアルペジオとなって消えていきます。

M6はインストですね。タイトルからわかると思いますが、マディーの曲です。ほとんど「歌のない歌謡曲」の世界かもしれませんが(笑)、クリーンでリリカルで美しく、シャドウズのアルバムに入っていても全く違和感のない曲ですね。「巡礼の旅」に入っていた小品が好きな人にはたまらない曲でしょうね。

M7はアコースティック・バラードですね。アンディーの曲で、アンディーのほのぼの系のヴォーカルとコーラス・ハーモニーが美しいです。イギリスのネオアコ系バンドのサウンドに近いイメージがありますね。

M8は、件のリフの曲でした。この曲はマディーが書いたんですね。このハーモニー・ツインのリフだけでも十分に合格点出したいくらいですが、曲も哀愁たっぷりでいい感じです。サビにちょっぴりアメリカンなメロディーもありますが、ディレイとエコーの効いたバッキングもいいし、間奏はカッコいいし、これまた超オススメの曲です。

M9は、アンディーの書いた、アコースティックでジャジーな雰囲気の曲です。アコギのソロも渋いぞ!エレキのソロも美しいぞ!!(笑)

ラストのM10は、またまたアンディーの曲です。途中からジョーの力強いドラムが入っては来ますが、アコギの印象的な、トラッド風味のする曲ですね。サスティーンの効いたギターが、まるでフィドルのようにきこえます。ええ曲やなぁ〜。

全体としては、78年頃のローリー時代のアッシュのイメージを(ハーモニー・ツインのパートで特に強く)感じます。若干アメリカンな部分があっても、それはあくまでサウンドのヴァリエーションとなっていますし、前作のような「もろアメリカン」な曲が皆無なのは嬉しいですね。いい曲も多いですし、個人的には、永遠の不安・アーガス・ボナファイド・イルミネーションの次くらい(...いや、同等かも?)の高評価をあげたいと思いますね。(笑)

ということで、ファンのみなさま、ジャケットに惑わされずに安心してゲットしてくださいね。(アッシュは第一期しか認めないという人でさえなければ)オススメですよ。

では、また次回に。