第132回 FIRST LIGHT

 さて、年が変わってから仕事も子育ても忙しくなり、おまけに年度末の転勤もあったので、HPの更新もずいぶんと間が開いてしまいました。(^^;

その間にも、アッシュのまわりでは、いくつもの事件が起こりました。

まず、USASHの代表のDr.Johnのはたらきで、某オークションに出品されたアッシュの音源がアンディーの手に渡り、新しい(でも、アッシュにとっては最古の録音の)アルバムのリリースが決まりました。そして、4月にはそのアルバム「First Light」が無事にリリースされました。(^^)

そしてレイの脱退の発表です。レイはドラマーとしては、スティーヴの次に長くバンドにいたことになるのですね。(すべてのメンバーで考えても、アンディー、スティーヴ、マーティンの次くらいになるのではないかと思います。)レイの脱退は本当に悲しいことなののですが、今はレイの今後の活躍を祈り、新メンバーのジョー・クラブトゥリーを歓迎することとしましょう。

レイの脱退のニュースに驚いている間もなく、「Tracks 3」のリリースのニュースが届きました。今度はなんと3枚組の大ヴォリュームですね。マディーの時代の音源ということですが、選曲(パティオを見てくださいね)はヴァラエティに富んでいます。3枚組というのも、もしかしたら、レイへの感謝の気持ちの表れかもしれませんね。

前置きはこれくらいにして、今日の本題にいきましょう。当然、最古のニュー・アルバム「First Light」の紹介です。先述のように、忘れ去られていた音源が突然にオークションに出品され、落札したDr.Johnがアンディーと相談してアルバムとなったのです。ひとつの奇跡とふたつの情熱の結晶で生まれたアルバムと言っても過言ではないでしょう。

録音自体は1970年なのですが、マスタリングをアップルに依頼していたためにゴタゴタに巻き込まれ、消えてしまっていた音源だけに興味深さはひとしおです。それに、今回初登場の曲もあるのですから、期待するなってほうが無理ってもんです。(^^)

< Wishbone Ash / First Light / UK / Talking Elephant / TECD-108 >
 1.Lady Whiskey / 2.Roads of Day to Day / 3.Blind Eye / 4.Joshua / 5.Queen of Torture / 6.Alone / 7.Handy / 8.Errors of My Way

レーベルは、いつものTalking Elephantで、番号はTECD-108となります。ジャケはデジパック仕様で、ウイッシュボーンの両端に火がついている写真のシンプルなデザインです。おそらく、ウイッシュボーンがが燃え尽きて灰になって、ファーストのジャケにつながっていくという意図ではないでしょうか。
また、アンディーが提供した古いモノクロ写真で構成されたブックレットも素晴らしいです。スティーヴもアンディー(ふさふさ!)も、みんな長髪ですよ。(笑)メンバー・クレジットのところで、アンディーがアンディー・”スナップ”・パウエルとなっているのが嬉しいですね。あのころ流行った「通り名」というわけです。(エリック・”スローハンド”・クラプトンとか、ジミー・”マジックフィンガー”・ペイジとかありましたよね。)

では、内容にいきましょうか。M1は、ファーストとよく似た感じの演奏ですね。マーティンのハイ・トーン・ヴォーカルが輝いています。ファーストよりも生っぽくて激しい感じを受けますね。M2は初登場曲ですが、トラッドな香りのする美しい哀愁メロディーと、ハーモニー・ツインの絡みが絶妙です。この曲が日の目を見ただけでも、このアルバムの価値があると思いますよ。テッドのソロも、いかにも彼らしくていいですよ。最高です。ラストの展開が少しフェニックスっぽくなるのですが、そのあたりが、この曲がファーストから漏れた理由ではないのかな?って気がします。

M3は、結構ファーストとにた感じに仕上がっていると思います。ほとんど違和感がないですね。ハーモニー・ツインのリフもがっちりと決まっていた曲だからだと思います。M4はジャムセッションなんですね。ジャズの香りの強い曲です。このあたりはスティーヴも本領発揮というところでしょうか。短いのが残念ですね。

M5もファーストに近い仕上がりですが、スティーヴのドラムの音はなんか変な感じです。M6は、ヴォーカル入りのヴァージョンですね。Distillationで最初に歌入りを聴いたときにも思ったのですが、本当にいい曲ですね。ここではマーティンのベースがビンビンに効いています。

M7は、ここでもアルバムのハイライトになっていると言えるでしょう。各人のソロ・パートも存分にフィーチャーし、長尺の曲となっています。スティーヴのドラムの生々しさは凄いですよ。(^^)ラストのM8は、ファーストよりも若干荒っぽい仕上げですが、コーラス・パートはずいぶんと印象が違いますね。ワイルドなんだけれども厚みを増して迫力のあるコーラスです。でも、哀愁味としては薄くなっているかもしれません。(ここは好みの分かれるところでしょうか。)また、間奏で二人のギターが別のフレーズを弾きながら絡んでいくところが面白いですね。テッドは途中からカッティングになるのですが、聴き応えのある演奏です。これならば、アルバムのラストにふさわしい仕上がりだと感じました。

ということで、歴史的価値もあるし、評価のしようがないアルバムだと思います。ファンならば、迷わずに買ってくださいね。(^^) Dr.Johnとアンディーに感謝しながら、今回は筆を置きたいと思います。

2007/4/24追補:本日、マーティンのサイトからもこのCDが届きました。マーティンのサイトには何も書いていなかったのですが、届いたCDは、マーティンのサイン入りでした。早速画像を差し替えましたよ。(^^)

では、また次回に。