第130回 アッシュのライヴ音源 その6

 さて、今回の最初は、アッシュの新しい音源の話です。前回のコラムをアップした日の夜、アッシュの音源交換サークルの人が、サークルの許可を取って音源をDLサイトにアップしてくれました。

今回は今年の10月31日の音源です。ということは、ASHCON 直前のギグですね。しかも、今回もまた(サークルではおなじみですが、)サウンドボードとオーディエンス録音のマトリックス(ミックス)なのです。ですから、音質も臨場感も申し分ありません。(^^)

では、データを書いておきましょう。
Wishbone Ash / The LimelightCrewe, UK October 31st 2006
Disc One: 1.Intro / 2.Eyes Wide Open / 3.Healing Ground / 4.Sometime World / 5.The King Will Come / 6.Throw Down The Sword / 7.Why Don't We / 8.The Raven / 9.Valediction / 10.Sorrel / 11.Capture The Moment
Disc Two: 1.Tales Of the Wise / 2.Almighty Blues / 3.Blowin free / 4.Ballad Of The Beacon / 5.Queen Of Torture

今回の目玉は、やはりCD1のラストの4曲でしょうか。以前書いた音源に含まれていたM8とM9も最高の音質で収録されていますし、M10なんて泣けてきますよね。(^^)

演奏のほうですが、ASHCONを控えた緊張感もあるためか、締まった演奏になっています。M4やM9などでは相変わらずのヴォーカルの弱さを感じてしまいますが、演奏はいい感じですしね。

M2(オープニング・ナンバーですが)でのマディーのエフェクターを効かせたソロも面白いですし、ニュー・アルバムのトップ・ナンバーでギグの幕が開くという構成も自然でいいんじゃないかなと思います。続くM3もタイトな演奏にマディーのスライドが唸って、実にカッコいいですよ。
でも、M5では、思わず首をかしげてしまう部分もあります。ここでは、3番のアンディーのリード・ヴォーカルのパートが入っていません。観客に唄わせる部分だとも思えないので、マイクの不調かPAのミスでしょうけれども。マディーのソロに落ち着きと熟練が見えるだけに、惜しいところです。

で、件の4曲です。良い録音でのM8は、楽曲の良さを存分に楽しませてくれます。前の音源も良かったですが、やはりサウンドボード・マトリックスでの音は素晴らしいですね。アンディーの歌もまずまずいい感じですよ。ギグの最初のハイライトというところでしょう。M9では、やはり歌唱力的に落ちる部分はあるのですが、ヘタウマ風のコーラスに流れる哀愁味がいい感じです。前回の音源よりもコーラスのバランスがいいので、聴きやすいですし、演奏のほうは素晴らしいですよ。

そしてM10です。サプライズ中のサプライズですね。僕のところにもアッシュのライヴ音源は沢山あるのですが、この曲のライヴを聴くのは、これが初めてですから。アッシュの4枚目のアルバムの中でも人気の高い1曲ですから、セットリストに入ってきたことを歓迎しない人はいないでしょう。あのハーモニー・ツインのイントロが出てきた瞬間に決まりですね。(^^) コーラス・ワーク的には拙い部分もありますが、ここでも哀愁味がそれを補ってくれています。曲はそのままM11に続きます。前に「曲の一部みたいな感じがする」と書いたことがあるこの曲ですが、こうして前の曲とつながって演奏されると、より曲が活きてきていると思います。M10での興奮とつながって、ギグでのハイライトになってると思います。(M9やM10は、できればテッドがゲストの時に演ってほしかったと思うのは、僕だけではないでしょうけどね。)

CD2ですが、1枚目のラスト4曲の印象が強すぎて、ちょっと印象が薄い感じがします。そつのない演奏なんですけどね。(^^; あと、ここではアンコールで演奏されているM5なんですが、前の音源みたいなオープニングよりは、ギグのラストのここで演奏されるほうがしっくりときます。

ということで、CD1のM8〜M11を聴くためにも、ファンならばマスト・アイテムと言える音源でしょう。近々交換サークルに出てくるであろうASHCONの音源がますます楽しみになってきました。

次は、音源とは関係ないのですが、最近入手したベンのアルバムの話です。それは、今年リリースされた 「The Sum Of Memories」というアルバムです。
< The Sum Of Memories / Ben Granfelt Band / EU / Hypertension / HYP-6250 >
1. Intro Jam / 2. Check Up From The Neck Up / 3. Falling Off A Drunken Horse / 4. So Much Easier / 5. Confession Time / 6. We Play The Game / 7. Bridge Of Dreams / 8. Too Many Gods / 9. Riding Free / 10. Into You // 11. Beautiful / 12. Check Up From The Neck Up / 13. So Much Easier

ジャケットを見たときに、即座に「ジミヘンか!」と思ったのですが、確かに60年代〜70年代の香りのする楽曲の多いアルバムでした。

M1では普段のベンの音を聴かせてくれているんですが、M2のリフはまるでツェッペリンですし、ソロはジミヘンですよ。(^^)M3ではビートルズのポップ味とバッド・カンパニーのサウンドが融合したみたいですしね。
でも、M4での泣きのギターにはベンのメロディックな面が出ていますし、アッシュ・ファン(特にFaith, Hope and Loveが大好きな人)には必聴のソロだと思います。

少しファンキーなM5に続いて、M6はスペイシーなサウンドですね。僕はピンク・フロイドを思い出してしまいました(笑)。M7は、M6と似たような感じを受けるミッド・テンポの美しいインスト・ナンバーですね。

M8では、ワウワウのリフが印象的ですね。ベンのソロも弾きまくりです。M9は、典型的なアメリカン・(ハード・)ロックに仕上がっています。間奏では完全に3ピースの音だけですね。ずいぶんとライヴを意識した編曲です。
ラストのM10も、またミッド・テンポのバラードです。ここでも、ベンのメロディアスなソロが聴き処になっています。これまたアッシュ・ファン(特にFaith, Hope and Loveが大好きな人(^^; )には必聴のソロだと思いますよ。

ここからの3曲は、ボーナス・トラックです。M12とM13は、それぞれM2とM4のエディット・ヴァージョンですね。で、M11はM6にも似た雰囲気(というか、ほとんど「別ヴァージョン」ですね、これでは。(笑))のミッド・テンポのロック・ナンバーなんですが、ボーナス・トラックにしておくのがもったいないほどの素晴らしいギター・ソロを聴くことができますよ。

ということで、かなり楽しめるアルバムだと思います。ただ、全曲ともハーモニー・ツインはありません。ベンの腕ならば、重ね録りでいくらでもハーモニー・パートを創れたはずですから、すごく残念です。まあ、アッシュのアルバムではありませんので、それは仕方ないことでしょうけれどもね。

そうこう書いているうちに、先週末には、再びDLサイトに貴重な音源がアップされてきました!72年3月26日のミュンヘンでのライヴで、オーディエンス録音(ステレオ!)です。
CD1: 1.tuning up / 2.Time Was / 3.Blowin・Free / 4.Jail Bait / 5.The King Will Come / 6.band introduction & instrumental / 7.The Pilgrim
CD2: 1.Warrior / 2.Throw Down The Sword / 3.Phoenix / 4.Blind Eye / 5.Lady Whiskey / 6.Where Were You Tomorrow (incomplete)

これは、100枚ほどしかプレスされなかった幻のアナログ盤ブート「ARGUS DATES」の完全版と言ってもいいようなものでして、同じ日の音源であり、アーガス・ツアーの音源としては一番古いものになるそうです。ここでは、アナログ・ブート盤(ちなみに、こちらはモノだそうですが)ではカットされていたD1−M7とD2−M3も収録されています。惜しむらくは、ラストのD2−M6が完全収録ではないのが残念ですが、マスター・テープから直にダビングされたカセットをソースにしただけのことはあって、当時のオーディエンスものとしてはこれ以上のものを望めないほどの録音だと思います。しかも、(演奏のPA自体はモノですが、)ステレオ録音ならではの臨場感もたっぷりです。(^^)

演奏ですが、72年の音源としては有名なBBCでの演奏は何だったんだ?と思えるような、ライヴ・デイトを彷彿させるほどの迫力です。名曲D2−M2なんて、(ライヴデイトほどではないにせよ、)BBCの悪夢を拭い去って余りあるほどの好演ですよ。(^^)

特に印象深いのが、マーティンの格好良さです。ベースはもちろんのこと、(若干不安定なところもあるにはあるのですが)マーティンのヴォーカルのカッコいいこと!!声はバリバリに出ているし、ハイトーンも健在ですし、最近のマーティンとは別人のようです。(失礼!)これぞ全盛期のマーティンだ!という感じですね。(^^)

そんなわけで、これは、すべての時代のアッシュ・ファンにとって、「マスト中のマスト」・アイテムだと言えるでしょうね。ジャケも、先述のブート盤のデザインをもとに作られているのが嬉しいです。しっかりゲットして聴いて泣いてくださいね。(爆)

それにしても、この音源、来月あたりにどこかのブート屋(だいたい予想がつきますが)がブートにして、強力プッシュで販売しそうな気がします(笑)。僕は....そうですね、プレス盤で出たら買いますわ。(^^)

ということで、今回は、おそらく今年最後のアッシュのアップになるでしょう。来年も、またよろしくお願いしますね。

では、また次回に。