第124回 CLAN DESTINY

 さて、アッシュのニュー・アルバムが届きました。リリース日は4月24日なのですが、公式サイトの予約注文分は、例によって早めに届きます。(^^)

「CLAN DESTINY」とタイトルされたこのアルバムは、いつも通りのTalking Elephantレーベルからのリリースですね。CD番号は、TECD087となります。

曲目は次の通りです。
1.EYES WIDE OPEN / 2.DREAMS OUTTA DUST / 3.HEALING GROUND / 4.STEAM TOWN / 5.LOOSE CHANGE / 6.SURFING A SLOW WAVE / 7.SLIME TIME / 8.CAPTURE THE MOMENT / 9.YOUR DOG / 10.THE RAVEN / 11.MOTHERLESS CHILD
最近のライヴで演奏されてきた曲もいくつか(M2,M3,M6,M11)含まれていますね。
ともかく、BONAFIDE以来のオリジナル・アルバムで、マディーが加入してからは最初のスタジオ録音ものとなります。ジャケットのセンスには首をかしげざるを得ませんが、マディーを加えたアッシュの音がどうなったのか、期待を持って聴いていきたいと思います。

M1はブギー調のイントロを持つミッド・テンポのナンバーです。アルバムはじっくりと始まることになります。アンディーのリフが続く中、マディーのスライドがシンプルなフレーズで入ってきます。そして、ハーモニー・ツインです。アッシュとしてはすごくオーソドックスなフレーズ展開ですね。

M2は、ライヴでもおなじみの曲です。スタジオ盤だけあって、ライヴよりも美しいサウンドとなっていますので、楽曲の良さがよくわかりますね。いい出来だと思います。ただ、個人的な感想ですが、やはりASHCONの前日のライヴ・テイクほどのカッコ良さはここにはありません。アッシュの場合、ライヴはスタジオ盤の何倍も素晴らしいというのが定評なのですが、この曲も例外にはならないようです。

M3もライヴで有名な曲ですね。ライヴのようにマディーのスライドが聴き所となっています。アンディーのヴォーカルはかなりストレートに録られていますね。楽曲のクオリティが高く、アルバム中でも屈指のできだと思います。ただ、欲を言えば(ライヴの時に感じたように)、もっと歌唱力のあるヴォーカリストに歌わせたかったと思える曲ではあります。

さて、M4です。う〜ん、なんだろう。この思いっきりアメリカンなサウンドは?これじゃ、ドゥービーズかアウトローズですね。(^^; ロックン・ロールとしては悪くないのだけど、どうしてもアメリカのバンドの2番煎じ的な印象を受けます。僕の頭に最初に浮かんだ曲はドゥービーズの「ニールのファンタンゴ(注:僕の好きな曲ですが)」なんですけど、ああいうアメリカンなロックン・ロールが好きな人にははまるでしょうね。

M5も、ずいぶんとアメリカンな印象を受けますね。ゆったりとしたバラードですね。ハーモニー・ツインもシンプルに美しく流れていきますが、少し同じフレーズの続けすぎのようなところはありますね。

M6もライヴでおなじみのインスト・ナンバーです。ライヴではタイトルがコロコロ変わっていた(ライヴで聴いたあるファンのアイデアでこのタイトルになりました)のですが、これが正式タイトルと言うことになります。(笑)ある意味ではアッシュお得意の歌のない歌謡曲路線のメキシカンな感じもする曲です。

アナログだったらここからB面でしょうか。M7もかなりアメリカンな曲です。楽曲的には、なんかスティーリー・ダンみたいですね。(^^; 間奏でマディーがベンみたいなエフェクター使いをしているのが面白かったです。

M8は、BONAFIDEにも見られたプログレ路線の曲ですね。ハーモニー・ツインのリフを積み重ねて構成した曲となっているのは、きっちり決められたフレーズに強いマディーの長所を存分に出すためでしょうか。間奏での二人の掛け合いが聴き所ですね。(ちょっぴりジャズっぽいテイストの展開は、本来はロジャーが得意だったタイプのものですけどね。)ただ、こういうパートだけだと、少し物足りないところはあります。この展開の前後に別の曲想のパートをくっつけて変化を出した時に何倍も活きるような気がします。

M9もずいぶんとアメリカンな感じですね。楽曲的にもメロディーが少し雑な印象を受けます。でも、間奏のマディーのスライド・ギターは本当に素晴らしいですね。(^^)

さて、M10です。ここまでのアルバム展開からすると、これほどブリティッシュな曲が出てくるのは予想外でした。(笑) 哀愁のメロディーとハーモニー・ツイン。ヴォーカルのメロディーもせつなく美しく流れ、間奏での掛け合いのギターも美しく、間違いなくアルバム中のベスト・テイクですね。(^^) できたらベンのギターで聴いてみたかったと考えてしまうのは我が儘でしょうね、やっぱ。(^^;

ラストのM11も、ライヴではおなじみのトラディショナル・ブルースです。ライヴよりも迫力のあるコーラスが聴けるこのテイクのほうがいいと感じました。(^^)

全体としてみると、M8やM10があるにもかかわらず、ずいぶんとアメリカンな印象を受けます。BONAFIDEが「原点と現代風ギターの融合」だとしたら、これは「70年代末への回帰」でしょうか?個人的な印象で言うと、ロックト・インからジャスト・テスティングまでが一気に来た感じですね。(笑) 何曲かで見られるかなりアメリカンなサウンドをどう受け止めるかによって、おそらく賛否分かれるアルバムだと思います。ちなみに、僕は嫌いではありませんけど、BONAFIDEほどの高評価はつけられません。(ゴメン!)

ただ、これまでアッシュを聴いてきたファンの人なら、間違いなく「買い」でしょう。最近のライヴを耳にしたことがない人なら、M2,M3,M10の3曲(最近のライヴも聴いている熱心なファンならM10、1曲)だけでも、その価値はあると断言しましょう。(^^)

それにしても、このジャケットだけは、なんとかならなかったのかなあ?(爆)

では、また次回に。