第119回 ASHCON2005

 さて、今回はいよいよASHCON2005のレビューです。今年のASHCONは、10月29日にマンスフィールドで開催されました。アコースティック・セットとギター・クリニックとエレクトリック・セットとあったのですが、ASHFESTと違って1日だけのスケジュールでしたので、バンドもスタッフも結構たいへんだったのではないかと思います。

今回、アッシュの音源交換サークルから入ってきたのはCDR4枚です。まず、アコースティック・セットとギター・クリニックで2CD、エレクトリックセットが2CDという風に、CD2枚組が2セットぶんとなっています。録音は、どちらもサウンドボードとオーディエンスのミックスとなっています。例によって、臨場感たっぷりです。(^^)

では、まずアコースティック・セットからですね。アコーディオンにニック・パーカー、フィドルにトニー・デマルコを加えての演奏ということで、いつも通りの展開です。セット・リストは、
1. Intro / 2. Wait Out the Storm / 3. Ancient Remedy / 4. Ballad of the Beacon / 5. The Ring / 6. Master of Disguise / 7. Living Proof / 8. Errors of My Way / 9. Wings of Desire / 10. Baby Don't Mind
となっています。これは、前々回に書いた28日のアコースティック・セットと全く同一ですね。ASHFESTの時よりも短めになっているのですが、これは日程的な関係でしょう。ということで、今回はアコースティック・セットについては省略することとします。もちろん、前日と同じように、リラックスした中にも要所要所を締めた、いいライヴですよ。これで1枚目が終わりです。

次に、ギター・クリニックです。今回は、ASHFESTの時よりもQ&Aのコーナーが多めになっていますね。質問事項はいくつかあるのですが、ここではふたつだけ紹介しましょう。
Q:ニューアルバムは?
A:今日も何曲か演奏するよ。だいたい85%できてるんだけど、春には出せるかな?
Q:持っているフライングVは何本?
A:え〜と、1,2,.....今は5本だよ。
アンディーが現在持っているフライングVは5本だったんですね。(^^)アンディーは、昔はもっとあったんだよと言ってましたけどね。
そうそう、アンディーはマーティンのWISHBONEのことも紹介していました。バンド名のことや、アンディーがマーティンのマネージャーと話をした時のこととかを言っています。でも、アンディーは、マーティンがまたライヴを再開するのは素晴らしいことだとコメントしていました。やっぱり仲は良いんですね。(^^)

それでは、エレクトリック・セットに行きましょう。何と言ってもこっちがメインですし、今年のゲストはテッドだと公言しているのです。これで盛り上がらないはずはありません。(^^)

では、CD1です。
1. Intro
 ここは、司会者によるMCですね。
2. Outward Bound
 前日同様に、オープニングはこの曲でした。春のツアーではIN THE SKINでしたが、マディーのスライドギターを聴かせる新曲ができたためか、こっちになったんじゃないかな?と思えます。でも、オープニングにはふさわしいカッコいい曲ですけどね。
 この日の演奏は、ASHCONという特別な日の緊張のためか、前日よりもマディーが危なっかしい場面が多いですね。(^^;
3. Warrior
 この曲は、構成がきっちり決まっている曲(こういう曲もマディーの得意なタイプでした)ですので、まとまった演奏となっています。
4. The King Will Come
 前日のマディーのソロはカッコ良かったので、期待の1曲でした。この日も前日と同等の展開ではありますが、マディーのソロは28日のほうが良いと思いますね。この曲のマディーのソロの展開については、まとまりも緩急もありますし、だいたいこんなパターンで落ち着いていくんじゃないかなって思います。
5. Throw Down the Sword
 続いて定番のこの曲です。アンディーのソロは、1番と2番の間のピエゾのソロも、ラストのソロも、相変わらず美しいですね。でも、この日は珍しくミストーンも数回ありました。特にラストのキメのところでのミストーンは目立ちすぎでしたね。残念!(^^;
6. Sometime World
 この曲は、ボブのベースの見せ所です。今回はM14もあるので、彼にとっては見せ場の多い日ですね。(^^)アンディーのヴォーカルはちょっと弱いし、スキャットの低音のコーラスパート(おそらくマディーでしょう)はちょっと辛いですけどね。演奏は最高ですから、歌のことを考えると、これはテッドと一緒に演ってほしかったな。(^^;。
7. Healing Ground
 前々回にも書いたように、次のアルバムからの新曲です。ギターのリフも良くできているし、マディーのスライド・ギターが唸る曲ですね。このようなロック・チューンではアンディーのヴォーカルが弱いですが、前にも書いたけど、ポール・ロジャースあたりに歌ってもらったらぴったりの曲だと思います。マディーは、緊張のせいかリフをとちりかけたりもしますが、スライドのソロは、やっぱりカッコいいです。マディーの見せ場の曲ですね。(^^)
8. Persephone
 そしてまた名曲の登場です。アンディーのギターの美しさが光ります。(光ってるのはギターだけかい?って言わないでね。(笑))アンディーのヴォーカルのフェイクを聴くのにもずいぶん慣れてはきましたが、やっぱり違和感はありますね。(^^; ラストのソロの途中でマディーがハード・ロック風味の早いパッセージを入れるところがカッコイイです。
9. Leaf and Stream
 エレクトリック・セットでも雰囲気を変えてギグの構成にメリハリをつけようというのでしょう。マディーが(たぶん)エレアコに持ち替えてのアコースティック・パートのはじまりです。リリカルなメロディーを、アンディーが淡々と唄ってくれました。
10. Lullaby
11. Candlelight
 そして、また静かなインスト・ナンバーが2曲続きます。半年前にセットリストに登場した時には驚きましたが、ギグの中間部でのブリッジ的な役割として、すっかり定着したようですね。(^^)
12. Lorelei
 で、今回のサプライズの選曲がこの曲です。この曲でアンディーのヴォーカルってどうよ?と思っていたのですが、フェイクもなく、persephoneのような違和感はありませんでした。(^^)ヴォーカルの合間のソロは、おそらく、アンディーが唄いながら挟んでいると思われます。全体としても出来の良い演奏だと思います。
13. Dreams Out Of Dust
 再び新曲です。最初に聴いたときにも思ったのだけど、哀愁味のある曲ではありませんが、メロディアスないい曲ですね。28日分よりはバランスが悪いのですが、ハーモニー・ツインは聴きどころになっていると思います。
14. F.U.B.B.
 1枚目のラストは、再びインスト・ナンバーです。なんか、マディーになってからはセットリストにインスト・ナンバーの割合が増えてきているような気がしますね。きっちり決まっているリフの部分はさすがに手堅くまとまっています。加入当初には浮いていた感のあったマディーのスローなアドリブ・パートも、ここではずいぶんとしっくりとしていますね。...と書いていたら、ファスト・パートに突入するところのリフを、マディーが弾き損ねてしまいます。なんてこった。(^^; やっぱりこの人は、緊張しがちなタイプなんでしょうか?(普段は全然大丈夫なのに、ライヴ収録などの大きなステージではミスが出るところなぞ、なんか、テッドみたいだなあって思ってしまいますけどね。(笑))

続いてCD2です。
1. Vas Dis
 これもインスト・ナンバー(ってことにしちゃっていい?)ですね。スキャットですが、今回はかなり聴きやすくまとまっています。今回は、「フェニックス」がありませんので、レイのドラム・ソロ(短いですが)の見せ場はこの曲でした。(^^)
2. Strange Affair
 続いて、オーソドックスなブギー・ナンバーですね。そつなくまとめています。
3. Changing Tracks
 これまた渋いところです。何度聞いても、イントロはカッコイイですよね。(^^)このあたりの曲は決して有名曲ではないのですが、アンディーのお気に入りなんでしょうね、きっと。
4. Tales of the Wise
 そして、前日に続いてこの曲の登場です。地味ですが、本当にいい曲ですよね。アンディーには悪いけど、もっと歌の上手い人に歌ってもらいたいと思っているんですけどね。(笑)10分以上ある長い曲ですが、名曲かつ演奏が素晴らしいので、あっという間に終わってしまいました。特に、後半からラストにかけてのアンディーとマディーのギター・ソロの掛け合いは聴き応え十分です。(^^)
5. Rock And Roll Widow
 この曲も、マディーのスライド・ギターの見せ場の曲です。(^^)「PERSEPHONE」と違ってアンディーのヴォーカルのフェイクにも慣れてしまいましたが、今回はバック・コーラスがまとまっていることに驚きました(笑)。間奏のマディーのメロディックなスライド・ギターのソロですが、どうやら構成が定着したようですね。この曲がセットリストに入った当初にあった手探りっぽい雰囲気はなく、マディーも堂々と弾いていることがわかります。
6. Jungle
 メロディックかつメランコリックな曲ですね。今回は、新曲だよというMCを入れてからの演奏でした。でも、このようなスローなインスト・ナンバーでは、小さなミストーンも目立つものですね。(^^; がんばれマディー!
 曲が終わったところで、アンディーがテッドを紹介します。テッドの登場に、観客はますます盛り上がります。(^^)
7. Standing in the Rain
 テッドを加えての1曲目は、再結成後にテッドがいた頃のナンバーです。歌もテッドが歌っていますね。テッドの緊張が歌声からも感じ取れます。でも、3番になる頃には、テッドのヴォーカルも調子を取り戻していました。(^^)3番の後のソロはテッドですね。若干危なっかしい部分もあるのですが、1年前のゲスト出演の時とは違って、しっかりとしたソロを聴かせてくれます。テッド、やっぱり練習して来たんだね。(笑)
8. Jail Bait
 切れ目なして、ラスト・ナンバーです。リード・ヴォーカルはテッドなのですが、1番の2フレーズ目ですでに観客に歌わせています。それは早すぎるよ、テッドぉ...((^^;)。でも、2番はテッドがしっかりと歌ってくれました。テッドのヴォーカルもいつもの通りですね。(^^)
 ギター・ソロは3人が交互にとっていますね。テッドのソロとマディーのソロが区別しにくいのですが、ここでもテッドはしっかりとしたソロを弾いてくれています。さあ、3番の歌になるかと思ったら、もう一回テッドのギター・ソロですね。この曲はテッドの見せ場かつファン・サービスでした。そしてテッドのヴォーカルも冴えわたる中で曲は終わります。(^^)いいぞ、テッド!!
 ギグはここでいったん終わり、盛大な拍手が続く中、アンコールが始まります。
9. Hi-Heel Sneakers
 アンコールの1曲目はロバート・ヒギンボーサムの曲ですね。ブルース・ナンバーです。この曲では、テッドがスライド・ギターを弾いており、リード・ヴォーカルはアンディーです。テッドのスライド・ギターもカッコイイですねぇ。...おっと、マディーもスライド・ギターだぁ!これはスライド・ギターの競演という、アッシュ史上初と言える光景ですね。これだけでも、聴き応え十分で、観客も十二分にもとが取れたと思います。(^^)
 曲が終わったあとの客席からのコールに、ラストはBLOWIN'FREEかと思えば、アンディーが「今日は演らないよ」と一言。(昨日、明日演るって言ったのにね。(笑))次はテッドの曲だよとアンディーが紹介して、今日のラスト・ナンバーの登場です。
10. Why Don't We
 これまた嬉しい選曲ですね。テッドの曲ですから、ヴォーカルも当然テッドです。ポップでメロディアスな曲ですよね。この曲を出した頃には、テッドはライヴでライト・ハンド奏法とかも見せてくれていましたが、今回はお預けでした。こうして、観客も熱狂した中で、コンサートは終わりを告げるのでした......。

全体的に、いつもよりもミスが多いのが気にはなりましたが、後半からステージが進むにつれてどんどん盛り上がってきましたね。特に、テッドの登場以降は、バンドも観客もテンション上がっていましたし、テッドを中心に据えた展開でしたので、観客も大喜びです。テッドもしっかり練習してきたようで、約1年前にゲストで出てブランクいっぱいのソロを聴かせてくれた時とは雲泥の差でした。(^^)

ということで、今年のASHCONは、(たった4曲でしたが)「テッド・ターナー・ナイト」だったと言えるかもしれませんね。

なお、今回使用したASHCON2005の(CDジャケ以外の)写真は、フィンランドにいる僕の友人の Rainer Frilund が送ってくれたものです。彼の好意には本当に感謝しています。

では、また次回に。