第108回 アッシュのライヴ音源 その3

 さてさて、今回もまたアッシュのライヴ音源の話です。このところ、ライヴ音源の話の時にもいろんなタイトルを使ってきていましたが、久しぶりにシリーズもののタイトルに戻しました。(笑)

ということで、今回は、2005年3月16日のクリーヴランドでのライヴになります。ホント、例によってホカホカのライヴですね。これもまた某ダウンロード・サイトにアップされたのですが、ネットワーク時代とは言え、便利になったものです。

アッシュの最近のライヴと言えば、アッシュのトリビュートバンド「ZIZOH」のベーシストのけんじぞ〜さんがアメリカまでライヴを見に行かれまして、その時の様子をご自身のブログに書かれておられます。内容的にも愛情的にもすばらしいレポートですので、まだの人は是非ご覧になってくださいませ。けんじぞ〜さんのレポによると、マディーもずいぶんバンドになじんできたとのことですので、期待十分です。

音源は、CDR2枚組の編集になっていました。録音はオーディエンスで、時折楽器のバランスが悪くなるものの、まずまず良好な録音だと思います。とくにボブのベースの音がしっかりと収められているので、迫力がありますね。

データとセットリストは次の通りです。

WISHBONE ASH / Cleveland, OH The Winchester March 16, 2005

DISK 1: 1. In the Skin / 2. Wait Out the Storm / 3. Repair Break / 4. Helpless / 5. Standing In The Rain / 6. Warrior / 7. The King Will Come / 8. Throw Down The Sword / 9. The Pilgrim / 10. Rock'n' Roll Widow / 11. Sometime World

DISK 2 : 1. Changing Tracks / 2. Almighty Blues / 3. Living Proof / 4. Blowin' Free - Bad Weather Blues - Where Is the Love / 5. Vas Dis / 6. Hard On You

2月のベルリンとも、けんじぞ〜さんのご覧になった時とも、セットリストに若干の違いがあります。僕が一番驚いたのは、名曲「faith, hope and love」が消えてしまっていることです。確かにマディーはベンみたいに煌びやかなソロはとれませんが、彼らしい「いぶし銀の」味わい深いソロを弾いていましたので、演奏の出来栄えとしてはかなり良かったと思っていましたから。まあ、日によって曲目を少しずつ替えながらツアーをしているのかもしれませんけどね。

では、いくつかの曲の感想を交えて聴いていくことにしましょう。

まずは1枚目です。M1では、マディーのスライドが前よりも伸び伸びとしているように感じます。本当にいい演奏ですね。観客の受けがいいのもわかりますし、この曲はずっとセットリストに残っていくような気がします。

M2は、セットリストには久々の復活になるでしょうか。アンディーのギターの音質の変化が面白い曲です。そつなくまとまっている印象ですね。

M3を見たとき、新曲か?と思ってワクワクしたのですが、実はバンドメンバーの紹介と、ドラム(スネアヘッド)の再セッティングのための小休止でした。(もしかしたら破れたのかな?)残念!(^^;
まあ、こんな場面があるのもライヴですし、それがそのまま録音されているのもオーディエンス音源の醍醐味でもあるのですけどね。(笑)レイがセッティングをしながらドラムをたたく音が聞けるというのは、貴重と言えば貴重でしょうね。

M4も久々の復活ですね。昔のライヴ(ローリーの頃)と比べるとハードロックっぽさは少なくなり、完全なブギー・チューンとなっています。間奏のオクターブ・ツインからハーモニー・ツインへと続くくだりは、やはりゾクゾクものですね。

M5からは、今までのセットリストの常連曲が続きます。こうして聴いてみると、マディーもずいぶんと手慣れてきたんだなという印象を受けました。M8のラストのツイン・リードも、(12月当初とは違って)アンディーとしっかりとしたハーモニーを醸し出していますしね。(^^)

M10ですが、マディーのソロはこの1ヶ月でずいぶんと自信を持った音に変わってきていました。2月の時には手探り気味な部分も感じたのですが、ここではしっかりと自己主張をしています。インスト・パートに関して言えば、(こんなこと書くと昔からのファンの方々に怒られそうですが、)そのうちテッドの頃の演奏を超えてしまうのではないかという可能性も感じました。(まあ、ヴォーカルを含めて考えると、ライヴ・デイトの頃の演奏を超えることは難しいとは思いますけどね。)

2枚目に移りましょう。ロック・チューンのM1やマディーの得意なタイプの曲であるM2は、以前よりもずいぶんノリが良くなっているように思います。M3のラストのソロも、どこか以前とは違った雰囲気もあり面白いです。

M4のメドレーですが、最近は「where is the love」で終わるのがパターンとなったようですね。でも、誰の選曲でしょう??

アンコールですが、1曲目のM5はともかく、M6でギグが終わるというのは意外かつ新鮮な展開だと思います。ハーモニー・ツインの美しいアメリカン・バラードで、しっとりと終わるという感じですね。

ということで、ベンのような華はないけれど渋みのあるマディーの味(ベンを饒舌なフランス料理のシェフとすれば、マディーはさしずめ寡黙な江戸前の寿司職人というところでしょうか。)が徐々に出てきたことがわかるライヴだったと思います。

では、また次回に。