第107回 88年のハマースミス


 さて、今回紹介するのは、88年のBBC音源です。録音は1988年3月4日、場所はロンドンのハマースミスということなんですが、今回は完全版ということで、ずっと前に書いたトランスクリプション・ディスクには含まれていない曲も入っています。(今回は、アッシュの音源交換グループからの入手ですけどね。)

この時のライヴは、テッドの復活ライヴとして知られていましたが、正確に言うと、「テッドの復活ツアーのライヴ」となるそうです。この年の2月と3月のツアーでは、前のギタリストのジェイミー・クロンプトンが、テッドがまだマスターしていない曲でギターを弾き、ギグの前半と後半で交代していたようですね。

このジェイミー・クロンプトンという人は、スージー・クアトロのバンドなどでギターを弾いていた(僕は未聴です)とのことですが、最初はローリーが抜けた時のステージを数回こなすために加入したところ、思いの外に上手くいったので正式加入となったというエピソードも残っています。

余談ですが、この頃(86年〜88年)のアッシュのメンバー交代は頻繁だったようです。86年はじめにはアンディー、スティーヴ、マーヴィン・スパンス、ジェイミーでしたが、2月にはベースのマーヴィンに代わってアンディー・パイルが加入。夏にはギターのジェイミーに代わってフィル・パーマーが加入。87年にはフィルに代わってジェイミーが復活。87年にはマーティンとテッドも戻ってきてオリジナル・メンバーになるものの、ツアーにはジェイミーも参加という具合です。

では、音源の紹介といきましょうね。

Disc 1 : 1)BBC In Concert Intro / 2)Miles Copeland Intro * / 3)Tangible Evidence / 4)Living Proof / 5)Genevieve / 6)No More Lonely Nights / 7)Real Guitars Have Wings * / 8)Somethings Happening in Room 602 * / 9)Underground *
Disc 2 : 1)The King Will Come / 2)Throw Down The Sword / 3)Clousseau / 4)In The Skin / 5)Phoenix / 6)Blowin' Free / 7)Jailbait / 8)Bad Weather Blues

1枚目のギターがジェイミー、2枚目のギターがテッドとなっています。BBCのトランスクリプション・ディスクに入っていたのが、1枚目のM1,M3,M4,M5,M6と2枚目のM1,M2,M3,M4,M6,M7の11曲(M1はナレーションなので10曲)です。そして、「*」印の曲は放送されなかった音源との記述がありますので、それらの曲が初登場となるようですね。残りはBBCの再放送あたりで選曲を変えて流されたのでしょうね。(実際、フェニックスなどの収録されたブートがありますので。)こうしてみれば、テッドが弾いている曲は、一応全部放送されていたということになりますね。

音質はBBC音源ですから当然文句なしです。内容的には、ずっと前に書いたように、テッドの入った後半になってからは若干バンドのノリも落ちているし、テッド自身にもブランクも感じます。でも、テッドの頑張りは十分に伝わってきますので、全体としては良いライヴになっていると思います。それよりも、今回はジェイミーのプレーがこれだけ聴けるというのが一番貴重だと思います。なんせ、公式音源はないしライヴ音源もほとんどないので、BBCのこのライヴだけが彼のプレーを聴くことのできる音源だったわけですから。(^^;

こうしてジェイミーのプレーを聴いてみると、テクニックがしっかりしているということと、このライヴではアッシュの曲想にマッチしたギターを弾いているのですが、彼のギターの「(日本風に言うと)行間」から、どちらかというと80年代風のタイトなギターが彼の持ち味なのかな?という印象を受けました。他の音源がないのでなんとも言えませんけどね。そう言えば、ジェイミーの間のフィル・パーマーの音源って、どこかにあるのでしょうか?

話は替わって、最近入手したテッド関連の音源をふたつ紹介しましょう。どちらもサウンドボードとのことですが、若干音質が落ちるものの、十分に良好な録音です。

※City Limits, Dallas, TX March 13, 1992
1. The King Will Come / 2. Standing In The Rain / 3. Strange Affair / 4. In The Skin / 5. Keeper Of The Light / 6. Throw Down The Sword / 7. Dream Train / 8. Why Don't We / 9. Hard Times / 10. Blowing Free

※Commodore, Vancouver, British Columbia, Canada
November 5, 1993
1. Introduction / 2. The King Will Come / 3. Standing In The Rain / 4. Throw Down The Sword / 5. Blowing Free / 6. Hard Times
November 6, 1993
7. The King Will Come / 8. Strange Affair / 9. Throw Down The Sword / 10. Blowing Free / 11. Hard Times

どちらもライヴ・イン・シカゴのメンバーでのライヴと思われます(92年には何回かのライヴで臨時メンバーが参加しているのですが、この日がどうかまではわかりません)ので、さすがにテッドも落ち着いていますね。セット・リスト的に面白み(新発見)がないのが残念なところです。

ダラスでのライヴですが、アッシュの伝記本の記録には、この日付でのライヴがありませんので、記録にないライヴだったのか、別の日の音源なのかが興味深いところです。バンクーバーでのライヴは、2日ともセット・リストが短いですね。二日ともダイジェスト録音なのか、フェスティバルか何か用の短いセットリストだったのかはわかりませんけどね。

ということで、テッドがらみの懐かしい音源の話でした。

では、また次回に。