第103回 アッシュの新しいブートCD


さて、今回は、年末にパティオで書いたブートCDの話(+α)です。年末にはもう販売されていたのですが、「BIRTHDAY SHOW」というタイトルで、1975年2月19日の大阪公演を収録した2枚組のCDです。

< BIRTHDAY DAYS / WISHBONE ASH / SCREAMER / SCREAMER-04006・7 >
DISC 1 : 1.DON'T COME BACK / 2.SILVER SHOES / 3.KING WILL COME / 4.WARRIOR / 5.THROW DOWN THE SWORD / 6.PERSEPHONE
DISC 2 : 1.INTRO / 2.FUBB / 3.HOME TOWN / 4.TIME WAS / 5.BLOWIN' FREE / 6.NO EASY ROAD / 7.WHERE WERE YOU TOMORROW

最近のアッシュのブートはCDRでのリリースばかりだったのですが、今回は本当に久しぶりのプレスCDになるのが嬉しいところですね。

録音はオーディエンスがカセットで収録したもののようで、観客の声もリアルに入っています。ただ、録音の時にリミッター(当時はオートレベルとか言っていた気もしますが)がはたらいていて、大きな音の時はレベルが低く、小さな音の時にはレベルが高くなっているので、聴きづらいところもあります。たとえばドント・カム・バックでは、イントロのギターのところでギターの音が大きくなっているのに、ベースが入った瞬間に全体の音が小さくなる(最大音のレベルが一定になる)ようになっています。まあ、現在のオーディエンス録音と比べるとあまりにもかわいそうですが、当時の客席でカセットで録音した音としてはまあまあの部類でしょうか。

今回は初登場音源との謳い文句だったのですが、前に書いたUS-ASH製のCDR「pirglimage to Japan」とは別のマスターのようですね。ノイズやバランスが全然違います。それに、Disk1のM1,Disk2のM3とM7は前の時には収録されていませんでしたから、本当に嬉しいです。特にDisk2のM3は、(この年の日本公演でも途中からセットリストからはずれましたので、)ライヴ音源に含まれていることが本当に少ないですから、今回の目玉的な1曲と言えるでしょう。また、ローリーが入ってからのDisk2のM7も、珍しいライヴ・テイクだと言えますね。

演奏のほうは安定していて素晴らしいものです。このところ最近の円熟したライヴばかり聴いていたので、今回の若々しい演奏は、懐かしさと共に聴くほうの気持ちをリフレッシュさせてくれますね。76年の時のような迫力や78年の時のような完成度はありませんが、アンディーの誕生日にふさわしく、気合いのこもったライヴです。

Disk1では、M1のはじまる前から、観客の「カッコええ!!」という声が頻繁に入っています。曲が始まると、本当にカッコイイですね。僕がアッシュのベスト盤を選曲したら、1曲目に入れるのは99%この曲でしょう。(^^)

そして、新曲とこれまでの名曲を交えてギグは進んでいきます。M5でのアンディーのソロは、どのライヴの演奏を聴いても美しいですよね。

M6のヴォーカルは、やはり全盛期のマーティンじゃないといけませんよね。最近のライヴでのアンディーの悲惨な(ゴメン!)ヴォーカルはともかく、マークの伸びのあるヴォーカルで聴いても、やはりこの頃のマーティンの艶のある歌声が一番ですね。そういう意味では、88年のオリジナルメンバー再結成から後にはマーティンが歌っていない(歌っているのかもしれないけど、音源が残っていない)のも頷けるところです。僕のところには95年と96年にマーティンがベースを弾いているライヴの音源(オーディエンスもサウンドボードもありますが)がいくつかありますが、この時のマーティンでは、もう唄いきれなかったでしょうから。


Disk2では、M2でのマーティンのベースのうねりが本当にいい感じですね。そして目玉のM3です。アッシュにしては珍しいカントリー・フレーバーも入る曲ですから、ローリーもバリバリに弾きまくっていますね。この曲のライヴが聴けただけで、このアルバムを買ったかいがあったと思いました。(^^)ただ、観客の反応は今ひとつのようで、それがこの曲がセットリストからはずれていった理由なのかなと思います。

M4は例によって後半のパートからです。また、M5でステージは終わり、後はアンコールとなります。

アンコール1曲目のM6は、観客も盛り上がっていますね。そして、ショーの終わりはブギー調のブルース・ナンバーのM7です。曲が始まる前の、アンディーのギター・ソロが(ジミー・ペイジ風ですが)カッコ良くてしびれますね。(^^)ギターのフレーズを聴いていると、この曲からbad weather bluesへと変化していったんだなということがよくわかります。録音はイマイチですが、演奏は凄いですよ。やはりこういう曲想が、アッシュの18番だということなんでしょうね。

通して聴いてみると、やはりリミッターによる音のレベルの変化が、かなり聞きづらいですね。演奏を楽しむことはできますが、最近の音に慣れた人にはちょっと厳しいかもしれません。ということで、これはアッシュ・マニア向けのアルバムだと言っておきましょうね。

話は変わりますが、CD版の「inside wishbone ash 1970-2004」もありましたので、ついゲットしてみました。買う前は、DVD「phoenix rising」の音声部分のCDだと思っていました。そしてトレーに乗せたらびっくりです。なんと、ドキュメンタリーDVDのほうの音声トラックのCDだったんです。いわば、ラジオ・ドキュメンタリーを聴いている様なイメージでしょうか。ということで、2枚組DVDを持っている人には用なしの1枚だと思います。(^^;

では、また次回に。