第101回 ASHCON 2004

 あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

ということで、今年最初のアッシュのコラムも、通算では101回目です。今回は、予定通り昨年のASHCONのことを書きましょう。(パティオにも書いたように、ようやく音源が届いたのです。)今回入手した音源も、例によってテープ・トレーダー間の流通音源のひとつです。でも、今回はサウンドボード録音とオーディエンス録音をミックスした音源になっているとのことです。(おそらく、サウンドボードの音をメインにして、オーディエンスの歓声等とミックスしているのではないかと思いますけどね。演奏は本当にクリアに入っています。)

2004年10月30日に行われたASHCONですが、約半日のイベントとなっていました。当日のタイムテーブルは、次のようになっています。

 午前中  設営とサウンドチェック
 12:00 開場
 13:30 ASHBONE U WISH(アッシュのトリビュート・バンド)
 15:30 WISHBONE ASH(アコースティック・セット)
 17:50 閉場・入替
 19:00 開場
 19:30 MORRIS BROTHERS BAND
 21:00 WISHBONE ASH(メインのエレクトリック・セット)

音源も全部でCDR5枚となり、前座の演奏もすべて収められています。今回は、アッシュの演奏について書くので、超簡単に済ませますが、ashbone U wishは、アッシュの曲をアッシュそっくりにカバーしてくれていました。(次のステージでアッシュがアコースティック・セットで演奏した曲は、セットリストからはずれていましたけどね。)morris brothers bandは、オリジナルとロック名曲のカバーとを混ぜた構成でした。なかなか印象的なギター・プレイが聴けましたが、僕が嬉しかったのは、オールマン・ブラザーズ・バンドの「ジェシカ」のカバーでした。

では、アッシュの演奏といきましょうね。まずは、午後のアコースティック・セットです。サウンドチェックを兼ねているのかどうかはわかりませんが、かなり短く終わらせていますね。ここでの演奏は、アンディー、ベン、ボブ、レイの4人のみの演奏です。アコースティック・セットなのにwings of desireが演奏されなかったのは不思議ですが、どの曲も文句なしにいい演奏ですよ。

1.Leaf and Stream
アコギのアルペジオが本当に美しくて印象的です。幻想的な雰囲気もありますね。アンディーの歌は流暢ではないのですが、それがまたいい感じを醸し出しています。

2.Hard Times
曲の前にちょこっとギターでファンファーレとかのフレーズを弾いた後、シャッフル調の3連スロー・ブルースのアレンジで演奏されていきます。ブルース・フィーリングもたっぷりで、本当にいい感じのアコースティック・ブルースになっていますが、途中でフォーク調のフレーズがちょっぴり入るあたりはアッシュらしいですね。(^^)最高!!

3.Living Proof
「bare bones」等でおなじみのアコースティック・アレンジです。ドラムだけでパーカッションがないことと、コーラスが入らないので、ずいぶんとシンプルに聞こえますけどね。美しくアレンジされたハーモニー・ツインが素晴らしいです。

4.Error of My Ways
この曲は、アコースティックが似合っていますね。ほぼオリジナルの雰囲気で演っていますが、ハーモニー・ツインもキマっているし、ギター・ソロも華麗だし、午後の部で一番の聴きどころの1曲だったと思います。(^^)

5.Strange Affair
これもオリジナルの雰囲気を重視した演奏ですね。アッシュも楽しみながら演奏しているのがよくわかります。

そして、夜になって、再度アッシュの出番がやってきます。とうとう、ベンの最後のステージになってしまうわけですね。(;_;) BGMが途切れ、歓声と共にアッシュが紹介されます。そして、アンディーのMCに続いて演奏が始まります。

1.Warrior
のっけから、ドラムの音に迫力がありますね。クワイエット・パートでのベンのソロは、いつもよりはちょっと硬い様な音ですが、いい感じです。ラストのコーラスはちょっぴり迫力不足だけど、ギター・ソロのパートを含め、演奏は文句なしです。またまたベンのラストのソロが印象的ですね。

2.Ancient Remedy
いつもならベンの弾く印象的なリフが耳に残る曲なのですが、ここでは、中東っぽいフレーズも交えたベンのギター・ソロが凄まじいです。思い残すことのないように、最初から全力を出しているというところでしょうか。

3.You See Red
演奏自体はオーソドックスな演奏ですね。ギターソロはまずまずなのですが、このメンバーのライヴとしては標準の出来映えだと思います。

4.The King Will Come
もはやイントロの一部となったアンディーの指癖フレーズからイントロへとつながっていきます。ベンの弾くオブリガードは、いつもよりはノーマルな音ですね。(美しさで言えばバッファローやセラーズヴィルの頃よりは少し落ちますが、いい演奏であることは間違いありません。)サビのベンのヴォーカルが少し小さいので聴き取りにくいですが、ベンのギター・ソロは、ここでも本当に素晴らしいです。アッシュ史上最強の演奏力を見せつけてくれますね。

5.Throw Down the Sword
いつ聴いても、改めて名曲だと思ってしまう曲です。アンディーのギター・ソロも美しいし、ラストのツイン・リードも絶妙に絡んでいますね。ギター・ソロの定位にも離したり近づけたりと工夫があり、最高の音源のひとつだと思います。

6.Faith, Hope and Love
さて、またまた名曲の登場です。イントロから息の合った哀愁のハーモニー・ツインを聴かせてくれますね。ヴォーカルもいい出来ですし、アンディーのギター・ソロはいつも以上に美しすぎます。そして、ベンの聴かせどころのソロです。いつもよりは少し手数が少な目ですが、スリリングで美しい最高のソロです。ここでは、ハーモニー・ツインの時のオブリガードのフレーズが本当に泣けてくるくらいですよ。文句なしです!!このギター・ソロがもうライヴでは聴けないなんて、本当に寂しくて、残念でなりません。

7.Standing In the Rain
イントロで数回じらして、曲が始まります。スロー・ナンバーが2曲続いた後のアップ・テンポの曲ということで、意識した演出なんでしょうけどね。割とオーソドックスに曲は進むのですが、ベンのソロは、ベンの全開のハイ・テクニックの連発で、本当に凄まじい出来映えです。いいぞベン!!

8.Come In From the Rain
ここで、マーク・バーチが加わります。マークのヴォーカルで、おなじみのナンバーですね。もともとカッコいい曲ではあったのですが、マークに合った選曲だと思います。リード・ギターもマークが弾いていると思われます。(ネット上で、マークがソロを弾く数秒の映像を見ましたので。)

9.Persephone
そして、またまた名曲登場です。前回紹介したライヴでは、アンディーのヴォーカルに難のあった曲ですが、ここではマークの伸びのあるヴォーカルが活きています。今回はオススメできますよ。(^^) 実際に見たわけではないのですが、聴く限り、ギター・ソロの前半部(早いパッセージのところ)も、おそらくマークだと思えます。マークの出番は、以上2曲で終了です。

10.Motherless Child
また4人に戻ってのブルース・ナンバーです。前にも書きましたが、アンディーのソロはアルバート・キング風でいいですね。前回の演奏よりもいい出来の演奏だと思います。

この曲が終わったところで、ベンのお別れのセレモニーです。おそらく、ここでベンに記念品(写真参照)が手渡されたものと思います。これまでありがとう!ベン!!

11.Baby What You Want Me To Do
モリス・ブラザーズ・バンドのギタリストのジャス・モリスが加わっての演奏です。ソロですが、1番の後のハーモニー・ツインのところは(当然)アンディーとベン、次のソロはジャス・モリス、2番の後の前半がアンディー、後半がベン、というところでしょうね。熱のこもった演奏でした。そして、ジャス・モリスの出番はこの1曲だけです。

12.Sometime World
再び4人になっての演奏です。前半部のベンのオブリガード・ソロは装飾音を少し多めにした煌びやかなものとなっていますね。いつも通り、前半は短めにして後半になだれこみます。今回のセット・リストにはFUBBがないので、一応、この曲がボブの見せ場ということなのでしょうね。

13.Phoenix
コンサートも佳境に入ってきました。おそらく、会場にいるファンの多くが待ち望んだ曲の登場です。アンディーとベンのギター・ソロは本当に聴き応えがありますね。(そう言えば、ベンのフレーズがずいぶん哀愁味を増したのと同じように、アンディーのフレーズに時々ベン風の装飾展開が加わるようになったと感じるのは僕だけでしょうか?)演奏時間はずいぶんと短めで、11分程度です。

14.Ballad of the Beacon
アンディーのギターがアコギの響きを紡ぎ出しながら、曲が始まります。(ピックアップの切り替えによるのでしょうが、)アンディーのギターの万華鏡のような音質の変化が楽しめますよ。ソロの途中で、少しあぶなっかしい音程が入るのは、ご愛嬌でしょうか?

15.Almighty Blues
アンディーが「サプライズがあるかもね」と言いながら始まった、おなじみのブルース・ナンバーです。ミドル8がハーモニーじゃないのが残念ではありますが、二人のソロも聴き応えがあります。さて、サプライズの正体ですが、実は(これもネット上で短い映像を見たのですが、)曲の途中でマディーが登場するんです。マディーにとっては(一応、1ヶ月間ずっとバンドに同行していたものの、)アッシュでの初ステージになりますね。マディーは曲のラストで出てきて、スライド・ギターの素晴らしいソロを聴かせてくれます。(マディーの加入が決まった時にもスライドギターの腕のことを書いたのですが、初登場の一発目がスライド・ギターですから、おそらくマディー自身も得意技だと思っているんじゃないでしょうか。)そうそう、写真を見ると、テッドのようにラップ・スチールを使うのではなく、普通のボトルネックでの演奏だと思われます。

16.Living Proof
マディーが加わったまま、曲は続きます。午後の部とは違いオーソドックスなアレンジで演奏され、コーラスもしっかり入っていますね。(^^)ソロですが、最初の短いのがアンディー、ハーモニー・ツインの後が(ベンにしては音数が少ないので)おそらくマディー、ラストが再びアンディーではないでしょうか。

17.Jailbait
またまたマディーが加わったままでのラスト・ナンバーは、アッシュの定番曲ですね。ソロの最初のハーモニーのところは、ギター3本で重ねています。続くギターソロは、3人が交互にとっているようですね。キメのハーモニー・トリプルのフレーズからの歌では、ワンフレーズほど観客に歌わせています。

ということで、とりあえずステージ終了。.....そしてアンコールに入ります。

18.Hard On You
アンコールの1曲目は、誰もが予想だにしなかったであろう曲でした。昨年リリースされた「LOST PEARLS」に収録された、ローリーの曲ではないですか。アッシュにとって数少ないアメリカン・テイストの佳曲(今回のテイクでそう思いました(^^;)のひとつですが、まさかライヴで聴くことができるとは。僕にとっては、これこそが「サプライズ」でした。(笑)

19.Blowing Free
またまたアッシュの定番曲ですね。(本日の展開では、8割のファンが、ラスト・ナンバーだと思ったことでしょうけどね。)ここで再びマディー合流です。ソロの後、観客との掛け合いからバッド・ウェザー・ブルースを挟むのも、いつもの通りですね。

20.Mercury Blues
本当にラスト・ナンバーとなる曲です。曲名こそブルースですが、ロックン・ロール・ナンバーですね。この曲でも、マディーのスライド・ギターが印象的です。アンディーが観客にお礼と挨拶をして、コンサートは終わっていくのでした。


ということで、ベンの最後のステージにふさわしい、「いいライヴ」かつ「いい作品」だと思います。アッシュの演奏の素晴らしさもそうなのですが、(バンドの公認のもとに)これだけのものを仕上げたアッシュ・ファンの仲間達に敬意を表しながら、今回は終わることとしましょう。ベンがこういう最後を飾ることができたのは良かったなと、すべての演奏を聴き終えた今、素直に思っています。

さよなら!ベン!!!ソロでも頑張れよ!!!!

では、また次回に。