第98回 またまたメンバーの関連アルバム

 さて、第92回の時に「何か仕入れたらまた書きます」と書いたのですが、このところ、立て続けにメンバーの関連アルバムを4枚ほど仕入れました。ということで、今回は92回の続編ということになります。

まずは、先日のASHCONがラスト・ステージとなったベン・グランフェルトと、同じくデビュー・ステージとなった新メンバーのマディー・マニネンのバンド、グリンゴス・ロコスのデビュー・アルバムです。

「GRINGOS LOCOS / GRINGOS LOCOS」
グリンゴス・ロコスのデビュー・アルバムですが、今回入手したのは、なんと、日本盤です。(最も、当時のマーキュリーのCDによくあったように、輸入盤に解説と帯をつけたものですけどね。)リリースは87年ですので、まだ誰も(アッシュのメンバーやベンとマディー本人達さえも)後のウイッシュボーン・アッシュへの加入なんて予想だにしていなかった頃ですね。(^^)

音の方ですが、前に紹介した「PUNCH DRUNK」よりももっとアメリカン・ハード・ロックっぽいサウンドになっています。楽曲的にも、前のぶんよりは聴きやすいでしょうか。ベンとマディーのハーモニー・ツインが聴ける曲もあり、今にして思えば、アッシュとの関連性も少しはあったんだなと思わせてくれます。

今回は、曲ごとにどちらがリード・ギターを弾いているのか明記されていますので、ベンとマディーの個性の違いを聞き取るのは簡単です。このデビュー・アルバムでは、マディーがリードをとる曲の方が多いですけどね。で、聴いてみた結果、僕が前回書いた印象を再確認することとなりました。ベンのプレーには後のアルバムほどの煌びやかさはありませんでしたが、鮮やかに流れるようなベンのギターと、ブルージーで粘りのあるマディーのギターの個性の対比がよくわかります。また、ここでもマディーのブルージーなスライド・ギターは光っていました。

マディーがアッシュでどんなプレーを聴かせてくれのかはわかりませんが、ベンよりも(というよりもアッシュ史上一番)ブルージーなフィーリングを持っているギタリストだと言えると思います。前にも書きましたが、彼のプレーがアッシュにどうとけ込んでいくのかを楽しみにしていたいと思います。

続いて、ベンのいたGUITAR SLINGERSの同名アルバムです。

「GUITAR SLINGERS / GUITARSLINGERS」
これは、彼らのファースト・アルバムになるんですね。前に紹介したベスト・アルバムにも何曲か収録されています。

聴いてみて「キャッチーでいい曲」という印象の曲は、当然のごとくベストアルバムに収められているのですが、そうじゃない曲にも、地味ながらも味わい深い曲が多いと思います。サウンド的には、メロディーもあるアメリカン・ルーツ・ロックというところになるでしょうけれどね。ベンのギターも(さすがにBONAFIDEのようにはいきせんが、)華麗に舞っています。

続いて、BURNS BLUEのアルバムです。...えっ、それは誰だって?

僕もこのアルバムをネットで見るまで知りませんでしたが、このバンドのベーシストは、ボブ・スキートです。リリースは2003年ですので、アッシュの仕事の合間にこのバンドもやっていたんですね。(いつそんな時間があったのでしょう?)

「 BURNS BLUE / WHAT IF....」
サム・ブルー(G)とヴィニー・バーンズ(VO)を中心としたこのバンドですが、音の方はバリバリのメロディック・ハード路線です。ところが、どこかで聴いたような感じの曲も多いのですが、ミッド・テンポの曲に関しては、楽曲自体は結構いいできなのですよ、これが。特に、マイナー調のバラード・ナンバーが印象的でして、「TOMORROW NEVER COMES」という曲は、なかなか哀愁味が出ているし、ギター・ソロもメロディックでアッシュに近いフィーリングもあり、結構オススメなのです。(^^)僕が入手したのはロシア盤なのですが、意外な「掘り出しもの」でした。

続いて、TACYEです。これまた、ネットで見るまでは知らなかったアルバムです。2枚組で、同じ曲をエレクトリック・ヴァージョンとアコースティック・ヴァージョンの2枚で演るという、ちょっと変わった企画のアルバムでもあります。

「TACYE / I DON'T NEED A GUN」
エレクトリック・ヴァージョンのほうの1曲でボブ・スキートがベースを弾いているのですが、アコースティック・ヴァージョンの方では、ボブ・スキート(B)とマーク・バーチ(G&V)が全面参加です。そんなわけで、アコースティック・ヴァージョンのほうを聴くアルバムですね。(笑)

まあ、リズミックな部分を強調した(ハウス的味わいも見える)エレクトリックと、ジャズやラテンの影響まで感じられるアコースティックと、同じ曲順での対比は面白いですね。惜しむらくは、楽曲にばらつきがあるというところでしょうか。タイトル曲ほか、何曲かは聴き応えのある曲ですが、ちょっとつまらない曲もあります。まあ、打ち込み系のエレクトリック・ヴァージョンに比べると、アコースティック・ヴァージョンのほうは「演奏がいい」ので救われていますけどね。あとは、マークが1曲デュエットで唄っているのも特記事項でしょうか。

ということで、今回仕入れた4枚は終わりなのですが、前の回でもちょっと触れたレニングラード・カウボーイズのアルバムについて書いて、今回は終わることとしましょう。

「LENINGRAD COWBOYS / GO SPACE」
バンド自体は日本でも(もしかしたら別の意味でかもしれませんが)有名ですから、知らない人の方が少ないでしょう。でも、彼らの場合、奇抜なファッションと映画のイメージが強すぎて、あまり楽曲で論じられることはないのではないかと思います。

このアルバムは、96年のリリースですので、末期のアルバムということになります。サウンド的には、映画のイメージのような「底抜け」タイプの楽曲やら、民謡風やら、ヘヴィメタ・バラードやら、何でもありですね。よく言えば「幅広い音楽性」、悪く言えば「ごちゃごちゃ」というのが正直なところでしょうか。

その中でも、ベンのギターが堪能できる曲もあります。メタル・バラードの「LENINGRAD」なんて、曲もいいし、ベンのスリリングなギターも最高だし、本当に超オススメ曲なのです。機会があれば聴いてみてくださいね。

では、また次回に。