第89回 アッシュの最近のブートCDR 

  さて、前回書いたセラーズヴィルのライヴの時にもふれたのですが、同時期にリリースされた残りの2枚も(定価よりもかなり安く(^^))入手することができました。

まず、1枚目は2003年8月31日のノースカロライナでのギグを(低音がプッシュされて唸っている感じはあるものの、)良質なオーディエンス録音で収めたアルバムです。これまた2枚組のCDRですね。

< LIVE DATES 2003 / WISHBONE ASH / BOOT / GFRR / GFRR-262 >

DISC 1: 1. Mountainside / 2. You See Red / 3. The Warrior / 4. The King Will Come / 5. Throw Down The Sword / 6. Faith Hope Love / 7. Standing In The Rain / 8. Underground / 9. Almighty Blues / 10. Blind Eye / 11. Living Proof
DISC 2: 1. Phoenix / 2. Ballad Of The Beacon

2枚目には2曲だけと、曲数が少な目に感じてしまうので、先にセラーズヴィルを買ってしまったらちょっと手を出すのをためらってしまいそうな感もあります。でも、セットリストに明らかな違いがあるので悩むところですね。(^^;

M1とM2は、最新のライヴではセットリストから落ちてしまった感もありますが、ベンの加入以来、この前にreal guitars have wingsを加えて定番の流れになっていたオープニングですね。ここではかちっとまとめられた演奏だと思います。

続いて、最近の定番になった曲順で、アーガスからの3曲です。M3は、オーソドックスな演奏ですね。ちょっとこじんまりとまとまりすぎているでしょうか。でも、ベースがプッシュされている分、迫力はあります。
M4もアンディーの指癖から、いつも通りに始まります。ベンのオブリガードは、2004年の音源ほどの美しさはありません。ただ、今回はベンが間奏前のリフを間違えてしまいます。これはちょっと残念ですね。(^^;
M5も最近の定番アレンジで演奏されます。アンディーのヴォーカルの調子がイマイチでしょうか。ギター・ソロは安心して聴いていられますが、2004年の2枚のアルバムのソロほどの完成度はありません。

M6もかっちりとした演奏です。ベンのソロは、叙情的なニュアンスは強いものの、煌びやかなフレーズはいつもよりは押さえ気味というところです。M7は、アンディーのヴォーカルが若干不安定ですが、まとまった演奏です。

M8は、最近ではあまり見られない選曲ですね。もとからアンディーの持ち歌だっただけのことはあり、歌もサウンドもしっくりと聞こえます。オリジナルとはアンサンブルの変わったハーモニー・ツインは聴きものですね。

M9はアッシュお得意のブギー・チューンです。M10がこのあたりで演奏されるのは珍しいかもしれません。ノリノリの演奏です。M11は、オリジナルに近いアレンジです。ベンのソロは、いつもよりは落ち着いた感じがします。でも、ソロの途中でレイラのフレーズを弾いてくれているので、思わずにんまりとしてしまいますね。(^^)

2枚目に入りましょう。
M1は11分程度にまとめられた演奏ですね。力のこもった演奏です。後半の盛り上がるところではベンがソロをとっているのですが、エフェクターを使った演奏がここでは意外に新鮮に聞こえます。
M2は、少し珍しい選曲でしょう。。静かなパートのソロは、ちょっと違和感があるかな?という感じですが、アンディーのそろはいつもながら素晴らしいですね。ところで、サビを歌っているのは、もしかしたらベンなの???

ということで、(おそらくこの後にアンコールがあったのでしょうが、)曲目こそ少ないながらもまずまずの演奏、高音質な録音だと思います。ボブのベースがかなり大きな音で録音されていますので迫力はかなりありますね。

ただ、同レーベルには、もっと素晴らしいできの作品があるだけに、「live dates」を冠したタイトルはちょっといただけませんね。「LIVE DATES」の名前は、安易にのアルバム名として使ってほしくないものです。やっぱり、この名前は、本当に素晴らしい文句のつけようのないライヴ盤にこそふさわしいのですから。(そうは思いませんか?)

 続いては、1999年4月30日のシカゴのハウス・オブ・ブルースでのライヴを収めたアルバムです。良好な録音ですね。クレジットはサウンドボードとなっていますが、ハム音が入るので、もしかしたらVTR音源かもしれません。

< HOUSE OF BLUES 1999 / WISHBONE ASH / BOOT / GFRR / GFRR-261 >

DISC 1: 1. Real Guitars Have Wings / 2. Underground / 3. Mountainside / 4. The King Will Come / 5. Throw Down The Sword / 6. F.U.B.B / 7. Master Of Disguise / 8. Wings Of Desire / 9. Everybody Needs A Friend / 10. Sometime World
DISC 2: 1. Strange Affair / 2. Phoenix / 3. Blowin' Free

この音源ですが、ずっと前(第38回)に書いた、11枚組のCDRボックスに収められています。その時には7曲と6曲という風に2枚になっていたのですが、ここでは1枚目にめいっぱい詰め込んだ感じですね。(ディスク1枚目のM1は、CDRボックスの時はミス・クレジットになっていましたが、このアルバムは正しいクレジットですね。)

この時のラインナップですが、まだベンが加入する前ですので、ギターはマークということになります。なんか懐かしい気もしますね。

1枚目ですが、ちょっとした挨拶代わりのM1に続いてのM2という選曲が意表を突くところです。マークのコーラスも独特ですので(上手いとは言えませんが)印象に残ります。M4も本当にいい演奏ですが、最近のベンのソロを聴いた今となっては、ギターソロが物足りない気がしてしまいます。(ごめん、マーク(^^;)
名曲のM5ですが、アンディーひとりで弾いているギター・ソロは、いつもながらとてもメロディアスですね。ここではマークのコーラスがいい感じです。
いぶし銀の選曲M7に続いて、M8です。「bare bones」でアコースティックなアレンジになってから、曲の良さがいっそう引き立つようになりましたね。アッシュのアコースティック・セットのハイライト的な名曲です。(ただし、ここでの演奏は、この曲のベスト・テイクではありませんけどね。)
そしてM9です。この頃のアッシュのサウンドは、マークのハイトーンのヴォーカルが印象的でしたが、この曲などは、マークのマーティンを意識した歌い方がいい雰囲気に仕上がっています。

2枚目は、アッシュの定番曲を3連発という感じですね。1枚目の「FUBB」に続いて2枚目では「PHOENIX」と、長尺曲が多いのもこの頃の特徴でしょうか。(そう言えば、1枚目のM9も長い曲ですよね。)

ということで、このアルバムは、「マークのいた頃のアッシュのサウンドを楽しむ」と割り切って聴くのがいいかと思います。

このレーベルからは、続けざまに3枚のアルバムがリリースされたことになりますが、コアなファンはともかくとして、普通のファンならば(前回書いた)セラーズヴィルを買ってくださいねというところでしょうか。

余談ですが、このレーベルからは2002年のアコースティック・ギグのブート(第74回参照)も出ています。セラーズヴィルを買って「もう1枚」と思った人は、今回書いた2枚よりはそちらのほうを先にオススメしますよ。

では、また次回に。