第87回 アッシュのライヴ音源 その1

 さて、今回は、前回書いたライヴ音源の詳細の第1回目です。

最初は、お約束した通り、71年のウイスキー・ア・ゴー・ゴーでのライヴです。写真は、当時のBBCのライヴ映像(の再放送版ですが)ですので、ごめんなさいね。CDRのクレジットによると71年の4月となっていたのですが、
記録を調べると、「71年の3月5日に非公式録音がある」となっておりますので、おそらくこの日のライヴだと思われます。

観客のしゃべり声が大きく入っているので、オーディエンス録音になると思われますが、(若干音がこもったりする部分もなくはないのですが、)71年当時の録音としては驚くほどの音質だと思います。さすがに高音も低音もかなりカットされているので、今の録音と比べるのはかわいそうですけどね。70年代初期で演奏がはっきりと聞こえるというのが驚異です。(ここまでの音質ですから、もしかしたら、クラブ側の録音かもしれませんけどね。)

曲目は次の通りです。

1.BLIND EYE / 2.LADY WHISKY / 3.ERRORS OF MY WAY / 4.PHOENIX / 5.QUEEN OF TORTURE / 6.VAS DIS / 7.LA BLUES / 8〜10.HANDY / 11.WHERE WERE YOU TOMORROW

レパートリーも(自作曲も)まだ少なかったでしょうから、選曲は、ファースト・アルバムの全曲と、セカンドから2曲(とはいえ、M11はセカンドでもライヴで入っていましたから、初期からのレパートリーということになります。)、そして曲名不明((^^;)が1曲ですね。(追補:その後、このコラムの文章を読んだ方から情をいただきました。その結果、この曲はFrom The Archives VOl.1収録の「L.A.BLUES」だと判明しました。僕も持っているCDだったのに、すっかり忘れていたんですね。すみません。)

M1はバンドのお披露目というところでしょうか。M2では、早くもアンディーのギターは全開状態です。(^^)M3では見事なコーラス・ワークを聴かせてくれています。(まあ、ヴォーカル・パートで言えば、間違いなく最初のメンバーが一番ですけどね。)

4曲目にして、早々と「フェニックス」の登場です。84回目の時に、当時のライヴでは「フェニックス」と「ハンディ」で1時間くらいあったのかも?と書いたのですが、「フェニックス」はスタジオ版くらいの時間(14分程度)で終わります。初期のライヴでは、ドラム・ソロ等は「ハンディ」の中で演っていたようですので、どうやら、「フェニックス」が長尺になったのはセットリストから「ハンディ」が消えてからということになるようですね。

熱のこもったM5に続いて、セカンド・アルバムからのM6です。フェード・インで始まるのは、スタジオ盤を意識しての編集でしょうか?当時はマーティンはリッケンバッカーを弾いていたと思うのですが、唸るベースラインとアンディーのシャープなギターとのコンビネーションが最高ですね。

さて、M7です。ブルース調のイントロから、「あやまち」と「アローン」を足して2で割ったようなメロディーが歌われます。テッドのギター・ソロは「ビーコンのバラッド」のテッドのソロと同じですから、原曲的な存在になるのでしょうか?3分もない曲なんですけどね。

M8〜M10は、(なぜかチャプターは3つ打ってありますが、)「ハンディ」のライヴ・ヴァージョンです。84回に書いたブートのように25分まではありませんが、それでも22分に及ぶ熱演ですね。M4のところでも書いたのですが、各自のソロも含めて、初期のライヴではハイライトになっていた曲のようですね。いろんな曲想のパートが集まってできている曲なので、長い演奏でも長尺版「フェニックス」ほどは長さが気になりません。((^^;)

ラストのM11は、初期のライヴではおなじみのナンバーです。

ということで、若々しいエネルギーの籠もった演奏で、76分のギグは終わります。この後のアンコールで何を演奏したのかは気になりますけどね。(僕の予想では、ブルース・ナンバー1曲と、できたばかりの「ジェイルベイト」あたりではなかったかと思うんですけどね。)ともかく、初期のアッシュのライヴということで、貴重な音源だと思います。

続いて、77年のライヴです。クレジットによると、77年5月30日のレインボー・シアターでのライヴということですね。若干高音が出ていないものの、良質のサウンドボード音源です。

1.BLIND EYE / 2.LADY WHISKY / 3.WARRIOR / 4.THROW DOWN THE SWORD / 5.FRONT PAGE NEWS / 6.GOODBYE BABY HELLO FRIEND / 7.COME IN FROM THE RAIN / 8.PHOENIX / 9.BLOWIN' FREE

という内容です。(CDRにはこの後に74年のKBFH音源が3曲入っていましたが。)

M1〜M2はメドレーで続きます。合計して5分半ということで、どちらもフル・コーラスではなくて短縮した演奏ですね。気がつけば、オープニングの2曲は71年のライヴと同じなんですね。(笑)

M3では、マーティンのベースの音がかなり大きく入っています。凄い迫力ですね。続くM4は、イントロのリフが1クールで終わってしまうという短縮ヴァージョンでの演奏です。歌も1コーラス目は普通なのですが、2コーラス目はギター・ソロで、サビだけ歌ってまたギターソロという恐るべき(笑)ヴァージョンです。ギターソロもいつもよりも短くて、結局、曲全体でも3分20秒という短さです。(^^;
どうしてこんな短縮ヴァージョンの演奏をしたのかはわかりませんが、どうせなら1曲削ってでも普通の長さで演奏してほしかったなと思いました。まあ、凄く珍しいヴァージョンではありますけどね。(^^;

続くM5ですが、マーティンのベースが唸っている関係で、スタジオ盤などよりも遙かに迫力のある演奏ですね。今まで僕が聴いた中でのこの曲のベスト・テイクかもしれません。

続くM6です。出ました!ローリー!(笑)マーティンのベースに支えられて、いつものヘナヘナ・ヴォーカルもどことなく力強く聞こえます。ローリーががんばった後は、「フロント・ページ・ニュース」のアルバムのベスト・トラック(だと僕は思っていますが)のM7です。これも最高にカッコいい演奏ですね。(^^)

M8ですが、今回は11分程度の演奏です。ここでもマーティンのベースの迫力が凄いですよ。ギター・ソロも熱気が入りまくっています。ラストのM9も、パワフルに迫っていますね。

全体としては、マーティンのベースが凄い迫力で入っているので、聴き応えがありますね。聴き慣れた曲も、いつもとは違う迫力で聞こえます。(もしかしたら、サンダーバードは使わずに全部ハマーで弾いているのかな?)でも、たとえば、「険を棄てろ」が恐るべきヴァージョンで繊細さを欠いたりするので、好みの分かれるところでしょう。このライヴは(マーヴィンのいた頃ほどではありませんが、)アッシュのパワフルな側面をプッシュしたライヴと言えるかもしれません。

では、また次回に。