第82回 LOST PEARLS

 さて、前回書いた「LOST PEARLS」ですが、とうとうリリースされました。プレオーダーかと思ってオフィシャルサイトに申し込んでいたのですが、早々と現物が届いてしまいました。オフィシャル・サイトの特典として、アンディーのサイン入りですよ。(^^)レーベルは、最近のアッシュではおなじみのTALKING ELEPHANTです。

< LOST PEARLS / WISHBONE ASH / UK / TALKING ELEPHANT / TECD064 >

 曲目ですが、当初の予定よりも少し増えたんですね。

1. Is Justice Done / 2. The Bells Chime / 3. Hard on You / 4. Out on a Limb / 5. Where you Been / 6. Halfway House(Martin vocal) / 7.Halfway House(Claire vocal) / 8. Football and Boxing / 9. John Sherry Jam / 10. Too much Monkey Business (live) / 11. Nighthawker / 12.Sheriff of Sherwood(demo)

ということですから、M6かM7のどちらかとM12が増えたぶんになりますね。ほとんどの曲(M11以外)が70年代後半の未発表曲だそうですが、「因果律」や「ジャスト・テスティング」の頃のものかな?クレアー・ハミルの歌っているテイクもあるので面白いですけどね。

では、聴いていきましょう。

オープニングのM1は、アップ・テンポのロックン・ロール・ナンバーです。やっぱり、マーティンのヴォーカルはアッシュにはよく似合います。ハーモニー・ツインもキマっていて、ロックン・ロールとしては文句なしの1曲ですね。当時のアルバムに入っていても悪くはないと思える仕上がりです。

M2も、続いてロックン・ロール・ナンバーですね。M1よりもメロディーが重視されていて、楽曲としてはまとまっているでしょうか。ツイン・リードもいい感じですね。この曲が未発表になった理由を推測すると、Aメロがあまりにもオーソドックスなロックン・ロールのメロディー(ほとんどジョニーBグッド)だったから..かな?って思いました。

続いてM3です。いきなりローリーの「腰砕け」ヴォーカルで始まります。((^^;)メロディーもものすごくアメリカンで、まるでイーグルスみたいなのです。ツイン・リードも渋くまとめているのですが、この曲想では、当時のアルバムから漏れたのも頷けますね。(「限りなき束縛」あたりに入っていたなら、しっくりと溶け込むとは思いますけど。)楽曲的には、アメリカン・バラードとしては標準以上のできだとは思います。

M4は、ミッド・テンポのブギー調のナンバーです。このヴォーカルは誰かな?歌い廻しはアンディーなのですが、声のトーンが少し高い気もします。(でも、クレアーにしたらトーンが低すぎるので、やっぱアンディーかな?)アッシュの18番の曲想だけに、演奏もソロも文句はありません。ただ、ハーモニー・ツインがないのが致命的な欠点かもしれません。

M5は、ポップなコード進行のギター・カッティングに一瞬「おやっ?としますが、曲になると、しっかりミッドテンポのロックン・ロール・ナンバーでした。マーティンのヴォーカルも彼らしくていいですね。ただ、ポップ路線が未消化のままになっているかなとは感じました。

M6とM7は、同じ曲を違うヴォーカルで聴き比べてみましょうという趣向でしょうか。曲想的には、ミッド・テンポのロックン・ロール・ナンバーで、たとえるとミック・テイラーのいた時のストーンズのホンキートンク・ウイメンみたいな曲想と言えばニュアンスが近いでしょうか。スライド・ギターも入っているので、本当にそんな感じなんですよ。肝心の(?)マーティンとクレアーのヴォーカル合戦(笑)ですが、(クレアーのほうがマーティンよりも上手く唄っているのですが、)僕にはやはりマーティンのなじんだ声の方がしっくりときますね。ところで、最初に入る予定だったのはどっちのテイク??

M8は、ミッド・テンポのヘヴィーなロック・チューンで、若干、ゼップとかのハード・ロックの影響も感じられます。これもメロディーよりもノリの良さというタイプの曲ですね。

M9は、タイトル通りのジャム・セッションですね。アンディーとローリーがアドリブで絡んでいく様子は面白いですが、ギター弾き以外には、何度も繰り返して聴きたいタイプの曲ではありません。

M10はライヴ・テイクです。有名な曲なので、みんなノリノリで楽しそうに演っています。やっぱり、アッシュのライヴは最高だなと思わせてくれる曲です。

M11は、再びブギー調の曲です。ギターのオクターヴ・ユニゾンのリフが印象的ですね。楽曲的には可もなく不可もなくというところでしょうが、アンディーのギターは、いつも通り素晴らしいの一言に尽きます。

M12は、「因果律」の「STAND AND DELIVER」の原曲ですね。イントロのハーモニー・ツインの部分も単音になっていますし、歌もまだできていなくてアドリブのギター・ソロになっています。でも、ギター・ソロ自体は面白いですよ。

全体としては、オーソドックスなロックン・ロール調やブギー調の曲が多いですね。メロディックな曲はアルバムに使ってしまっていたのでしょうか。「DISTILLATION」や「因果律」の再発盤で「TIME AND SPACE」を聴いたときのような衝撃は、残念ながらありませんでした。

結果的に、楽曲よりも演奏を聴くタイプのアルバムになると思いますね。アッシュ・ファン以外には、これよりも他のアルバムを聴いてくださいねと言ったほうがいいかもしれませんが、アッシュ・フリークならば文句なしに楽しめる1枚だと思います。

話は変わりますが、「PHOENIX RISING」 のDVDの内容が決まったようです。曲目等は次の通りです。

1. Vas Dis - Old Grey Whistle Test - 1972
2. The King Will Come - London - 2003
3. Blowin' Free - Australian TV - 1972 - B&W
4. Phoenix - London -2003
5. Warrior - Don Kirshner's Rock Concert - 1973
6. Cosmic Jazz - Bristol - 1989
7. Living Proof - London - 2003
8. Jail Bait - Old Grey Whistle Test - 1972
9. Wings of Desire - London - 2003
10. Why Don't We - Bristol - 1989
11. Ballad of the Beacon - London - 2003
12. Real Guitars Have Wing - Bristol - 1989
13. Blowin Free/Bad Weather Blues - London - 2004
14. Where Where You Tomorow - Don Kirshner's Rock Concert - 19

1と8は、ブート・ビデオにもなっているTVでのクチパクの映像でしょう。マーティンのリッケンバッカーがカッコいいやつですね。(^^)5と14も、有名なTV番組からの映像ですね。2はオーストラリアのTVからということで、一番レアな映像ではないでしょうか。6,10,12は、おなじみの再結成ライヴの時の映像ですね。別テイクなら嬉しいんですけど。
2003年と2004年の映像は、オフィシャルサイトによるとこの前出たDVDとは別ヴァージョンの映像らしいので、ちょっと興味が湧きます。とりあえず、もうすぐリリースされるはずですので、期待しながら待つことにしましょう。

では、また次回に。

2004.5.6補足:マーティン系のファンサイトで、マーティンのサイン入りの「LOST PEARLS」を入手しました。(^^)画像をアップしたので、アンディー・ヴァージョンと比べてみてね。