第63回 LOCKED IN EUROPE

 

さて、今回はごく最近リリースされたブートCDRの紹介です。LOCKED IN EUROPE というタイトルの75年のヨーロッパでのライヴです。当然、ロックト・インのツアーからのもので、モノラルのオーディエンス録音です。

音は今の録音と比較するのはかわいそうすぎますが、当時のオーディエンス録音ということを考えるとまずまずではないでしょうか。ともかく、貴重な録音であることは間違いありません。

曲目は、次の通りです。

1.INTORODUCTION / 2.REST IN PEACE / 3.THE KING WILL COME / 4.WARRIOR / 5.PERSEPHONE / 6.HALF PAST LOVING / 7.TIME WAS / 8.BLOWIN' FREE / 9.BAD WEATHER BLUES / 10.PHOENIX

またまた「HOME TOWN」のライヴ音源はおあずけになってしまいましたが、選曲は、初期の曲も含めて面白そうな組み合わせになっています。

チューニング、そしてオープニングのコールに続いて、フェニックスのイントロのギター・フレーズが流れててきますが、そのままM2のイントロへとつながっていきます。まだローリーがフェニックスを覚えていないから78年まではライヴではやらなかったというのが通説なのですが、部分的には演っていたということなのですね。

M2は、きっちりとしたタイトな演奏だと思います。感想のギター・ソロもカッコよく弾きまくっていますし、かなりの好演と言えるでしょう。

M3ですが、ここではオーソドックスなアレンジでの演奏を聴くことができます。「THE KING WILL COME」で聴かれたロックト・イン・ツアーの音源ではファンキーなリフになっていたのですが、この頃のツアーでは、まだ昔のままのアレンジだったということでしょうね。

続くM4もM5も、オーソドックスな演奏ですが、バンドも観客も気合が入っているのがわかります。特に、後者は聴き所のひとつだと言えるでしょう。

M6は、(当然と言えば当然でしょうけれども)この頃にしかセット・リストに入らなかった曲です。さすがにこの曲はファンキーな演奏になっていますね。マーティンのハイ・トーン・ヴォーカルもキマっていますし、間奏のハーモニー・ツインも、ギター・ソロも格好いいし、正直言ってこの曲を見直してしまいました。名演だと思います。

M7も、M8も、オーソドックスな演奏です。こうしてみると、先述した「THE KING WILL COME LIVE」のツアーでのファンキーな演奏は、あの時期だけのものだったんですね。

M9の前にもコールが入ります。そして、ちょっと長目のカッコいいギターソロに続いて、M9が始まります。みんなノリノリで熱のこもった演奏です。 アルバム中でもベストの演奏ではないでしょうか。(^^)

演奏はそのまま「フェニックス」の後半のリフへと繋がっていきます。ラストのフレーズはアンディー一人で弾いていましたが、ちゃんと最後の歌のパートも出てきて、そのままフェニックスのエンディングで曲は終わります。こうしてここまでできるのだったら、もっと早くからセット・リストに「フェニックス」を入れることもできたのでしょうけどね。(まあ、僕にとってはどっちでもいいことですけれど、大半のアッシュ・ファンには重大なことだと思いますので。)

ということで、あっという間にCDは終わってしましました。音質的にはともかく、演奏的には本当に素晴らしいライヴだと思います。特に、ローリー時代のアッシュが好きな人には、ナミダもののアルバムですね。

では、また次回に。

< LOCKED IN EUROPE / WISHBONE ASH / BOOT / BREAKEDOWN-12>