第58回 ロジャーのニュー・バンド

 さて、今日は、ロジャーのニュー・バンドのCDの紹介です。えっ、「ロジャーって誰だい」って?いやだなあ、ほら、あの「ILLMINATIONS」や「LIVEIN GENEVA」の時のギタリストだったロジャー・フィルゲイトですよ。(^^) 彼が、ニュー・バンドを組んだんです。

バンドの名前はシネマ(CINEMA)と言います。(このバンド名で思い浮かぶのは、松尾清憲のいたバンドか、(ロンリー・ハートの)イエスではないかと思いますけどね。)アルバムのタイトルは「ユニバーサル・ランゲージ」で、詳細は次のようになります。

< CINEMA / UNIVERSAL LANGUAGE / CANADA / TUNNEL RECORD / TR-001 >

1.TELL ME / 2.INEXPRESSIVE VIRTUALITY / 3.YOU CAN GET THERE / 4.IN THE WIND / 5.TURNSTILE TOWN / 6.RAPID FIRE / 7.NOW YOU'RE GONE / 8.DON'T WANNA FAVE TOMORROW / 9.RUN / 10.THE EFFECTUAL GROOVE

メンバーですが、次の5人です。おそらく、ジムはロジャーの兄弟でしょうね。

Corky Ballard: Lead vocal, bass guitar

John Clancy: Drums, percussion, vocals

Jim Filgate: Electric & acoustic guitar, vocals

Roger Filgate: Electric & acoustic guitar, lap steel, guitar, & vocals

Steve Negri: Keyboards, electric violin, vocals

シネマには公式HPがありまして、そこではシネマの音楽性を語るのに、イエス、EL&P、ラッシュ、レッド・ツェッペリン、ビートルズ、CSN&Yが引き合いに出されています。実際、シネマのアルバムを聴いていると、(ロンリー・ハートの頃の)イエスのイメージを強く感じます。(キーボードとかは、もう少しハード・ロックっぽいんですけどね。)

オープニングのM1は、ギターのアルペジオから始まるロック・ナンバーです。ポップなメロディーとハーモニーといい、ホントにイエスみたいですね。ラストのキーボードのオーケストレーションが印象的です。M2は、ハード・ロックっぽい曲です。キーボード(オルガン)も、どことなくパープルっぽいですしね。

M3は、ギターのリフの刻みがちょっとツェッペリンしてますが、ゆったりとしたメロディーのバラードです。展開部のアレンジはイエスの感じに近いですね。最後のギター・ソロはどっちが弾いているのかな?M4は、アコギのアルペジオが美しいバラード・ナンバーです。トラッドな雰囲気もありますね。メロディーもコーラスも美しくてドラマティックで、なかなかの雰囲気を持っています。ブリティッシュ・プログレ(クラシカル風味)が好きな人にはオススメですよ。ギター・ソロにはアッシュの面影も垣間見えますし、イチオシのいい曲ですよ。(^^)

M5も、イエスっぽい曲です。ファンタジックで、ちょっとハードで、って感じです。アッシュを彷彿させる(アッシュほど美しくないけど)ハーモニー・ツインも出てきて、楽しめます。ギター・ソロにもアッシュの面影がありますが、それよりもキーボードのソロが印象的な曲です。M6は、ギターのリフが印象的なハード・ロック・ナンバーです。インスト曲ですが、これもちょっとパープルっぽいかな?

M7のイントロのギターを聴くと、おもわずにやりとするほどアッシュみたいな(近いのは「戦士」かな?)雰囲気があります。まあ、全体的にはシンフォニックでメロディックなプログレ風の音ですから、アッシュ云々という聴き方をするほうが穿っているのかもしれませんけどね。それにしても、このバンドのコーラス・ワークは見事ですね。M8は、またまたちょっとハードなナンバーです。アルバムの中では、イマイチ印象が薄いかもしれませんけどね。

M9は、ギターとキーボードが絡むイントロが印象的です。パープルやラッシュみたいな感じの曲ですね。後半のギター・ソロは、まるでローリーのいた頃のアッシュみたいです。(^^)ラストのM10は、ツェッペリンやパープルを彷彿させるリフにコーラスを絡めるという構成の曲です。でも、なによりも聴き所になっているのは、ラストのソロでしょうね。2本のギターとエレクトリック・ヴァイオリンの掛け合いはスリリングです。

全体を通して、ロジャーがアッシュにいた間に培ってきたものがちらちらと窺えるのが、僕みたいなアッシュのファンにとっては一番嬉しいところかもしれません。(^^)

ということで、アッシュのファンというよりは、70年代のブリティッシュ・ロックのファンの人全般に聴いてもらいたいようなアルバムですけどね。決して飛び抜けたできのアルバムではないけれど、標準以上のできだと思います。個人的には、オーソドックスなハード・ロックだったトニーのアルバムよりも遙かに楽しめました。(^^)

ちなみに、このアルバムはHPから購入したのですが、プロモCDとの2枚セットを購入したら、結局のところ、盤自体は2枚とも同じものでした。

では、また次回に。