第55回 ASH CON AT SEA!!

 さて、今回は「ASH CON AT SEA」の話です。何で今頃??って思う人もいるかも知れませんね。だって、このクルージング・コンサートは、9月の1日に行われたものなのですからね。でも、それにはちゃんと理由があるのです。

先月、日本でCD化された「ナンバー・ザ・ブレイヴ」のCDを、オフィシャル・サイトのレオンに頼まれて送ったのです。すると、レオンがお礼にって、この時の録音テープをCDRに焼いてくれたのです。(ありがとう、レオン。) 全部の曲名(当然、新曲もね)も記されていたので、これでようやく当日の様子を伺い知ることができるということとなりました。何よりも、初めて聴くことになるベンの入ったアッシュの音です。はやる気持ちを抑えて、トレーを開きました。

1曲目は「REAL GUITARS HAVE WINGS」。オープニングではおなじみの曲ですね。ベンは、ちょっと押さえ気味の演奏をしています。

続いて、印象的なイントロに導かれて「MOUNTAINSIDE」が始まります。リード・ヴォーカルはアンディーでしょう。着実なツボを押さえた演奏です。ギター・ソロもアンディーのほうが中心に弾いているようですね。

3曲目は「RUNAWAY」です。ここでもリード・ヴォーカルはアンディーですね。ギター・ソロはおそらくベンだと思います。ベンのフレーズは、ローリーのフレーズをなぞっているように聞こえますね。

そして「YOU SEE RED」。おそらく、アンディーとベンのツイン・ヴォーカルでしょう。サビのソロ・ヴォーカルは、(音程の不安定さもあるし、)ベンでしょうね。ハーモニー・ツインをきっちり決めてからのギター・ソロは、ベンでしょうか。はじめのフレーズはアンディーっぽい飾りが入るのですが、途中から感じが変わって、ライヴでのローリーの音に近くなりました。ミドル8を唄っているのはやっぱりベンでしょうか?ちょっと不安定な部分もあり、唄に関して言えばやはりちょっと弱くなったかな?というのが正直なところですけどね。

5曲目は、アンディーの手癖のフレーズに続いて、ミュートしたギターが流れてきます。そう、名曲「THE KING WILL COME」です。イントロのギターの響きは、今までよりも少しハードになっています。ミドル8では、アンディーの声が大きくて、ちょっとバランスが悪いですね。肝心のギター・ソロですが、ベンがワウワウ・ペダルを駆使して、スリリングに聴かせてくれます。やはり名曲ですよ、これは。

引き続き、「THROW DOWN THE SWORD」です。イントロのハーモニー・ツインは、途中で1オクターヴあがるという、マーク以来のアレンジとなっています。マークの頃はマークが唄っていたリード・ヴォーカルですが、ここではアンディーですね。ベンのエコーを効かせたバッキングが印象的です。ギター・ソロはアンディーですね。いつもの流れるような煌びやかさには欠けるかもしれませんが、相変わらずのツボを得たソロですね。ソロの後半では、ベンもリード・ギターに加わり、まるでスタジオ盤のような雰囲気を醸し出してくれます。これもなかなかいいできですね。

7曲目からは新曲が続きます。まずは、1月にリリースされるというニュー・アルバム「BONA FIDE」のタイトル・チューンですね。ブギーのリズムを取り入れた、インスト・ナンバーです。ゴキゲンなハーモニー・ツインですね。

次は「SHOULDA, WOULDA, COULDA」です。しゃくるようなリズムが印象的です。唄は、アンディーがぶっきらぼうな感じで唄っています。メロディーがあるタイプの曲ではないので、全体のサウンドで聴かせる感じですね。ギター・ソロはアンディーです。終わり方が中途半端なので、CDではフェイド・アウトすることになるのかな?

9曲目は「FAITH, HOPE, AND LOVE」です。イントロのハーモニー・ツインが美しい、マイナー調のバラードですね。アンディーが唄っています。ハーモニー・ツインの時に、ベンの音がワンテンポ遅く入ってくるのは、わざと狙ってるのかな?アンディーの哀愁味溢れるソロが聴き物ですし、後半のベンのスリリングなソロもいいですよ。アルバムでもハイライト的な曲になるんじゃないかなと思います。この曲だけでも、次のアルバムは買いですよ、はい。(^^)

続いて、ブギー・ナンバーの「ALMIGHTY BLUES」です。(あっ、ブルースだったぁ。(^^;)唄はアンディーです。感じとしては、ジェイルベイト+バッド・ウエザー・ブルースってところでしょうか。ギターソロの途中でのギター・コンビネーションは、なかなかカッコ良くキマっています。

11曲目も、往年の名曲「SOMETIME WORLD」です。リード・ヴォーカルはアンディーには聞こえないのでベンでしょうか?ちょっと幅の狭いヴォーカルですになっています。唄自体はちょっと短めにアレンジして、アグレッシヴなパートに移ります。録音の具合もあるのでしょうが、ボブのベースはいまいち迫力に欠けますね。丁寧に弾いているのはわかるのですが、ずいぶん線が細く感じます。アンディーのソロは、さすがに安心して聴けますね。(^^)

12曲目は「STRANGE AFFAIR」です。アッシュの十八番のブギー・調のロックン・ロールだけに、バンドのノリも違いますね。ハーモーニー・ツインもキマっています。

続いては「LIVING PROOF」です。ハーモニー・ツイン(ベンが1音間違えたかな?)から続くベンのギター・ソロは、ちょっと押さえ気味に弾いているようですね。音の処理の仕方とかは、今までのギタリストにはなかった雰囲気を持っているだけに惜しいところです。もっと自分のやり方で思い切って弾いてほしいと感じました。

13曲目は「BLOWIN FREE」。アンディーのギターが唸りまくっています。特筆すべきは、ソロの最後のハーモニー・ツインです。フレーズを変えることによって、ずいぶんと煌びやかな雰囲気が出てきています。このあたりは、インストが得意なベンのアイデアなのでしょうけどね。

14曲目は「HARD TIMES」です。スライドギターを弾いているのはベンのほうかな?どっちにしても、ギター・ソロもハーモニー・ツインも掛け合いのソロも、ゴキゲンな演奏になっています。(^^)ここで、ステージはいったん終了ということになります。

で、ここからはアンコールになりますね。1曲目は「WAY OF THE WORLD」です。ローリーが唄っていた曲ですが、ここではベンが唄ってるのかな?サビのところでは、会場全体で唄っています。で、凄いのがパート2です。アンディーの熱の籠もったソロもいいのですが、ここでは(まだ多少の遠慮が感じられるものの)かなり思いっきり弾いているベンのソロがとても印象的です。なんか、もしその場にいたなら「もっと弾いて〜!」って叫んじゃいたくなるようなソロですよ。(^^)

で、余韻を残す間もないまま、切れ目なしで「JAILBAIT」に突入します。「これぞブギー」という曲ですので、アッシュのメンバーもノリノリですね。ハーモニー・ツインからのギター・ソロもいい感じですね。従来のアッシュの音を押し出すアンディー、従来のカラーを踏襲しながらも自分のカラーを散りばめるベンと、面白い展開です。まあ、アンディーのベテランながらの味わいが素晴らしいですけどね。まだまだ若いモンには負けられないというところでしょうね。(^^;

次は、この日最後の新曲になりますね。「LULLABY AT SEA」と名付けられたインストゥルメンタル・ナンバーです。トロピカル風味のゆったりとしたフレーズを、伸び伸びとしたナチュラルなトーンで弾いてくれてます。これが、先日の情報の段階では曲名が決まっていなかった1曲ということになるのだと考えられます。

そして、ここからラストまでの3曲は、THE (FLYING) RYAN BROTHERS(たぶん、オープニング・アクトだったのでしょうね。ちなみに、彼らもアッシュ・ファミリーの一員です。)をゲストに迎えての演奏です。まずは懐かしの「BLIND EYES」です。アッシュのハーモニー・ツインに、ライアン・ブラザーズのハーモニー・ツインも被さってきて、ギターの聞き分けが困難な状況です。(しょうがないよね、ライン録音じゃないんだもん。)

続いて「BABY, WHAT YOU WANT ME TO DO」です。バリバリのブルース・ナンバーですね。ギター・ソロもオーソドックスに攻めている感じですが、時折絡んでくる早引きのフレーズは、いったい誰のものでしょうか?ベンと、もうひとりいるように聞こえるんですけどね。(^^;

コンサートのラスト・ナンバーは、ZZトップのカバーで「SHE LOVES MY AUTOMOBILE」です。カバーとはいえ、この曲もアッシュの得意なブギー調のナンバーですから、ゴキゲンな演奏なのです、うん。間奏のソロのリードギターのソロは、凄まじいというか、ごった煮状態でわけがわからんというか....。(^^;でも、早引きでのハモリは見事ですね。(いったい、誰と誰が弾いているんだい!??)

ということで、当日の演奏のだいたいの雰囲気は伝わったでしょうか?ヴォーカルに関しては、マークの頃よりも弱くなったものの、ベンのカラフルなギター・フレーズはなかなかの雰囲気を持っています。ただ、昔のフレーズを踏襲している曲ではイマイチ思いきりの悪さが感じられるので、昔からのファンには評価が別れるところかもしれません。個人的に言えば、僕には面白かったですけどね。(^^)

ただ、僕もその場にいたわけではないし、音だけで判断するのはなかなか難しいものがあります。ギターの音は、アンディーとベンだけの時は、ディレイのかけ方や弾き方でなんとなくわかるのですが、フライング・ライアン・ブラザーズの二人が入って4本のリード・ギターになると、もうお手上げです。ライアン・ブラザーズのギターは、判別ができません。また、唄も、本当にベンが唄っているのかどうかはわかりません。(もしかしたら、前はコーラスだけだったボブが唄っている可能性もあるのかもしれませんしね。)ただ、アンディーじゃないところは、ベンが唄うのが自然かな?と思ってはいますけどね。では、ライヴに関してはこれくらいにしましょう。

本文中にもちょっと書いたのですが、アッシュのニュー・アルバムのリリースは来年1月になるようです。まずはオフィシャル・ページ上での販売になるようですが、今から楽しみです。なんせ、「FAITH, HOPE, AND LOVE」という、絶対オススメの曲がありますからね〜。(^^)

それじゃ、今日はこのあたりで。