第18回 続・リマスターCD

 

 今回は、前回に続いてリマスター盤CDの話です。今回の目玉は、「NEW ENGLAND」「FRONT PAGE NEWS」の2 in 1のCD化ということで、オフィシャルページのウェブ・マスターのレオンが解説を書いているとのことでした。けど、届いたCDは2枚組なのです。イギリス版レコードコレクター誌の広告でも2 in 1の扱いでしたし、レオンの解説もそうなっていますから、2枚組になったのは、発売間近のことのようです。(メジャーな会社ならちょっと考えられないことですけどね。(^^;)38:17と42:56ということで、合わせて81:13ですから、そのままのCD化はちょっと難しいところですね。(個人的には「プレリュード」あたりをカットして1枚にしてくれても良かったけどね。もともとの制作意図からはずれるので、許さない人もいるとは思うけど。(^^;)

 で、肝心の音質ですが、ベースやヴォーカルが自然に響くようになっています。(「NEW ENGLAND」はドイツ盤CD、「FRONT PAGE NEWS」はアメリカ盤CDとの比較。)まあ、「LIVE DATES」で感じたような、「驚くほどの衝撃」は感じられませんけどね。最も、これは作品のクオリティー(というか、自分の中の思い入れ)の関係かもしれませんけれど。(「NEW ENGLAND」の作品群なら、当時のライヴ・テイクのほうが絶対にいいものね。)あと、「FRONT PAGE NEWS」のほうは、リマスタ−だけでなく、リミックスもされているのかな?アメリカ盤CDとは、音の定位も若干違います。(アメリカとイギリスのマスター自体の違いかもしれませんけれど。)でも、「NEW ENGLAND」のほうには、ふたつの大きな問題があります。

 まずは、BBSで水嶋さんのご指摘がありました「レスキュー・ミー」での音飛びの件です。3分半あたりですが、聴いてみるとちょっと酷いですね。この音飛びは、マスター・テープが原因だそうで、イギリスの82年の再発盤LPで、すでに同じ現象がみられたとのことです。おそらくBGOレコードは英MCAからマスターテープの使用権を買っていると思われますが、MCAじゃないので、他の国にあるマスター・テープまでは使用できなかったんじゃないでしょうか?もしかしたら、(可能性は低そうだけど)「オリジナル・マスター・テープからのリマスタリング」にこだわったのかもしれません。(10年ほど前に山下達郎さんがベンチャーズのアンソロジーCDを監修する時に、マスタリング・レベルにこだわって、アメリカ製の薄っぺらいデジタル・マスタリングのテープを使わずに日本にあるマスター・テープからリマスタリングしてみたのですが、日本のマスター・テープ自体がセカンド・ジェネレーションなので、思ったほどの効果が得られず、悔しいと書いていました。)ただ、マスター・テープが何種類かあれば、最良のテイクを集めてCDを作れる(先述の山下達郎ベンチャーズのCDは、そうしています。)のでしょうが、マスターが1本だけではいたしかたなかったのでしょうか?

 で、もうひとつ。これは個体差かもしれませんが、デジタル信号の書き込みがちょっとおかしい(低い?)ようなのです。僕の古い型のCDプレーヤーでは読み込めませんでしたし、途中で音が飛ぶこともありました。(他のアッシュのリマスターCDでは、どれも問題なかったのですが。)むろん、CDRプレーヤーならば、全然問題なく聴けますけどね。

 ということで、この2枚組CDですが、評価が難しいところです。「FRONT PAGE NEWS」だけなら、いいリマスター盤なんですけどね。(^^;(個人的には、再発イギリス盤のエラー入りのテイクが入手できたという意味では、面白いかなと思ってますけどね。まあ、これを最初に買う人にとっては、たまったもんじゃありませんが。(^^;)どっちにしても、珍盤に分類されるべき1枚かもしれません。

 あと、ファーストのリマスター盤も聴きましたが、印象は、この2枚組CDと同様のものでした。音質は向上していますが、僕にとっては「LIVE DATES」の時ほどの付加価値は見つけられませんでした。

 ということで、前に書いた「LIVE DATES」は絶対に買いですが、この2枚は、「ファンなら買ってくださいね。」と言う程度にしておくことにしましょう。