第6回 BBCの悪夢

 前回書いたように、先週の木曜日の「BBCロック・アワー(NHKFM)」は、WISHBONE ASHのライヴでした。日ごろWISHBONE ASHを聴いたことのない人にとっては、WISHBONE ASHを聴くいい機会ではあったのですが、正直言って、あまり出来のいいライヴではなかったのですよね、これって。DJのピーター・バラカンさんは、ひとりで盛り上がっておりまして、「いいですねえ」と言っていましたけど、僕にとっては「う〜ん、ちょっとねえ....」というような内容なのです。とにかく、演奏が荒いのです。(本来は、もっと緻密なアンサンブルができたバンドなのにね。)

 72年のライヴなので、おそらく、アーガスの曲もまだステージでの演奏回数が少なくてなじんでいなかった頃じゃないでしょうか?オープニングの「TIME WAS」や、シングルになった「BLOWING FREE」はともかく、名曲「THROW DOWN THE SWORD」なんて、悲しいくらいのできですよ。(^^; 後のオフィシャル盤の「ライヴ・デイト」と聴き比べてみると、演奏のできは一目(一耳?)瞭然です。「ライヴ・デイト」ではテッドのひどいミスタッチがそのまま収録されているのですが、それでも、演奏は素晴らしいものでした。また、再結成後の日本公演(91年だったかな)での「THROW DOWN THE SWORD」(ブートCDで聴くことができます)も素晴らしいできでした。それに比べると、この日の演奏は、言及したくないほどですよ。ホント。(歌詞も1番を歌わずに2番を2回丸ごと歌っていますしね。)

 この放送は、昔、ブートCDになっておりまして、それが写真の「FIGHTERS AND WARRIORS」です。曲目は、FMで放送されたものと同じです。 TIME WAS / BLOWIN' FREE / WARRIOR / THROW DOWN THE SWORD / THE KING WILL COME / PHOENIXの全6曲ということですね。当時、自分にとって初めてのアッシュのブートCDでしたし、アーガスの頃のライヴということで、期待度200%で聴いただけに、僕の落胆の度合いも普通ではありませんでした。(松田雄作ばりに「なんじゃこりゃ〜!!」と叫びたくなりましたから。)僕はアッシュのブートCDをかなり持っているのですが、このCDは1,2回しか聴いていません。(正規盤の「BBC IN CONCERT」も似たようなものですけどね。)

 最後の19分を越える大作「PHOENIX」は、昔からファンの人気も高く、コンサートでもメインになっていました。(さすがに、今は19分もの長さで演奏されることはなく、メドレーの中に編入されていますけれど。)バラカンさんは、この曲のあとで「名曲じゃ」と唸ったのですが、僕はそうは思いません。もっと構成を整理されるべき曲だったと思っています。(せめてスタジオ盤くらいの長さにしてほしいですよ。)まあ、あの時代の曲だということを考えると、仕方のないことなんでしょうけれど。

 同じ放送音源でも、76年のライヴは素晴らしいできです。「ニュー・イングランド」ツアーの時のものですし、もうテッドは抜けてローリーに変わっていたんですけどね。でも、ローリーになってからは、ライヴでももっと緻密なアンサンブルやコンビネーションが可能になっていました。(昔からのファンの中には、ローリーになってからのアッシュはアッシュじゃないと思っている人も少なくないですけれども。まあ、商業的には売れなくなっていましたけどね。)それでも、この時のブートCDは、何回も繰り返して聴いています。(それだけの演奏が収められていますよ。)この音源は、比較的手に入れやすい(日本のバッタ品CDにもある)ので、聴いてみてくださいね。特に「OUTWARD BOUND」。ライヴでは、この時期だけのものでしたが、スタジオ盤の100倍はカッコいいテイクです。(^^)(注:僕はドイツかどこかでの放送と思っていたのですが、直接サウンドボードから録音したものではないかという噂もあるようです。)

 ということで、なんか、今回はエクスキューズみたいになっちゃいましたね。(^^;

 でも、あの番組だけでアッシュを判断されては困るなと、ファンとして思っただけのことなのです。

「2003.1.22追補」久々に大音量で聴いてみると、後半はともかくとして、最初の「time was」は名演の範疇に入るかも知れないと、認識を新たにしました。他の曲の印象は、あまり変わりませんでしたけどね。 

FIGHTERS AND WARRIORS <BOOT>