第54回 ピカサのセカンド・アルバム

 さて、今回はピカサのセカンド・アルバムの紹介です。彼らにとっても本当に久しぶりのアルバムになるのですが、我々ファンにとっても嬉しいニュースですね。(ちなみに、このコーナーも、ずいぶん更新していませんでした。生活が変わり、これまでのように全国に飛び回ることができなくなったとはいえ、まことに申し訳ありません。)
 「サマー・オブ・ラヴ」と題された今回のアルバムは、ファーストからは4年ぶりになるのですが、「正社員」の6名を中心に、またまたポップな楽曲を詰め込んでくれています。ジャケットもサイケなデザインのポスターを折り畳んでいて、広げると12倍の大きさになります。(できればアナログ盤でやってくれたらいいのになって思ってしまいますけどね。(^^;)
 では、前置きはそれくらいにして、音の方を聴いていくことにしましょうね。

1.King of the World
 久々のご挨拶代わりの1曲ですね。リード・ヴォーカルも4人に割り振られています。サウンド的には、クイーン風というか、このところの松尾さんのソロ・アルバムの音が一番近い感じでしょう。曲自体は、ブリティッシュ・ポップのいいとこ取りの素晴らしいものです。伸びのある伊豆田さんの歌と独特の唄い廻しの松尾さんの歌(ここのメロディーはムーディー・ブルースの「永遠の昼下がり」を彷彿させますが)との対比も見事ですね。

2.Wedding Bells
 曲は、松尾さんのリリカルなメロディーからファンタスティックなサビへと展開していきます。松尾節全開って感じですね。60年代のアメリカン・ロックの香りもしてくる曲です。メリハリの利いたアレンジも、短いですがトゥワンギー・ギター(哲ちゃんかな?)と逆回転風ギター(圭右さんかな?)の対比も耳に残ります。

3.僕の好きな本
 これは、いかにも杉さんらしいほのぼのとした歌ですね。サウンド的には、T・レックス・ミーツ・ジャック・ブルースというところかな。グラム風味を醸し出すロック・ナンバーでした。間奏のオルガンの音も似合っています。

4.夏のフィルム達
 伊豆田さんの瑞々しいヴォーカルが光るバラード・ナンバーです。(Aメロのアレンジではタートルズ、ミドル8ではビーチボーイズを彷彿させる部分もあるものの、)せつないメロディーといい、サビのサウンドといい、伊豆田さんの節回しといい、全体を統一しているカラーは、完全にエリック・カルメンです。伊豆田さん版「恋にノー・タッチ」というところでしょうか。本当にいい曲ですね。

5.Strangers in your eyes
 松尾さんの遊び心に溢れる曲ですね。バンガロー・ビル風のイントロをかき消すように、風祭クンの60年代風のベース・ラインが曲をぐいぐいひっぱって行きます。彼的には「サ・イ・ク」のノリなのかもしれませんが、ほとんど(ギター・ソロは完全に)「ほおづえをつく女」になっているのは、きっと偶然の産物でしょうね。サビは完全な70年代ディスコ・サウンドになっている(風祭クンも「ソフティスケイティッド硬派」以来のディスコ・ベースを聴かせてくれてます)のですが、ギター・リフはサッド・カフェみたいだし、面白い曲ですね。

6.B列車で行こう
 いかにもピカサ的なロカビリー風ブギー・チューンを、ジャジーなコーラスワークで彩っていますね。曲名のもじりはストレート過ぎるかもしれませんが、アルバム中のいいアクセントになっています。ラストのジェフ・ベック風フレーズに、笑い声、baby, it's alrightのイントロと続くアレンジが小粋ですね。

7.Trouble man
 風祭クンが歌う曲ですが、アルバム中で一番ビートルズ色の強い曲です。「ヒア・カムズ・サン」と「トゥー・オブ・アス」をモチーフに料理していますね。途中でジョージ風の訛の声が入るのは確信犯ですね、きっと。(^^;

8.とびこめFreddy
 ピカサ風サザン・ロック+ピカサ風ファンキーR&B÷2というところでしょうか。(イントロはジョージだけど。)サビのアレンジとチープなオルガンの音がやけに耳に残る曲です。でも、何でフレディーなのかな?

9.僕がシチューをつくる理由
 イントロ(だけ)はグッド・デイ・サンシャインだけど、フレンチ・ジャズ風味の小粋な曲ですね。CMでも有名な曲です。でも、途中で逆回転を入れたり、ラストが6thだったり、さり気ない自己主張は忘れていません。やっぱ、一筋縄ではいかないよね。(笑)

10.Dry Season
 僕の大好きなニック先生の「raining raining」を彷彿させるギターのイントロを聴いてすぐにわかりました。ピカサのファースト発表ライヴの時にもやっていた「(当時は)新曲」ですね。仮題は確か「いもむしけむし」だったような...((^^;)。昔、ライヴレポの時にも書いたのですが、やっぱりいい曲ですね。70年代GS崩れ風のメロディーに、ビートルズ風のコーラスのコンビネーションが素敵です。

11.Boy From Tokyo
 ジャズっぽいピアノがテンポ・アップして、ノリノリのロックン・ロール・ナンバーが始まります。コーラスは50年代風ではありますが、リズムもギターの絡み方も、完全に(ヘンリーかジミーの頃=全盛期の)ウイングスですね。できれば暴れ回るスライド・ギターをフィーチャーしてほしかったと思いましたけどね。(笑)

12.(Everybody nees) True Love
 アルバムの最後を飾るのは、じっくりと聴かせてくれるバラード・ナンバーです。曲自体はシンプルなのですが、アレンジもコーラス・ワークもなかなか拘っていて、ビートルズからイーグルスからバッドフィンガーから10CCからいろいろ出てきますね。ラストにふさわしい力作になっています。

一通り聴き終えて最初に思ったことは、「ビートルズ色が薄くなったなあ」ということでした。もちろん(正社員6人中の5人までが一番好きなバンドはビートルズと答えるバンドですから)、モロにビートルズという曲もありますが、ファーストに比べると、ストレートに出てきている部分が少ないなと感じたのです。それよりも、自分たちの好きだった様々なサウンドをストレートに出しましたというとことなんでしょう。

とにもかくにも、ポップ・フリークなら聴くしかないアルバムであることは間違いありません。

では、また次回に。