第一話;
一つの音は
一つの音だけでできている訳ではない?
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人の声にしても楽器の音にしても、それぞれに特徴があります。同じ弦楽器なのにヴァイオリンとギターでは音が違います。
さらに、一つのギターで同じ音程の音を出しても、弦によって音色が違います。例えば、6弦の12フレットと4弦の2フレットは同じ音程なのに(*注:レギュラーチューニングの場合)、6弦のほうが太い音、低い音に聞こえます。
何故じゃ? 何故なのじゃ?
今回は、その原因の一つの"基音"と"倍音"のお話です。
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"基音"と"倍音"
基音と倍音、と聞いただけで察しの良い方は何となく判ったかもしれませんが、ご説明申し上げます。
最初に言ってしまうと、音は、基音と倍音が合成されたものなのです。
まず、基音というのはその音を構成する音の中で一番低い音です。この音の周波数がその音の音程を決めます。周波数とは、1秒間に音の波が何回あるか、という数です。
[図1]
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右の図1はギザギザしていますが、なめらかな曲線だと思ってください(このような波を"サイン波"と言う)。この図の横幅を一秒とすると、波が二回なので周波数は 2Hz(にへるつ、と読む)となります。 人間の耳には聞こえません。
聞こえないとどうしようもないので、図の横幅を 1/200秒として、この音は 100Hzということにします。ギターの6弦で鳴らすGとG#の中間くらいの音程です。
このサイン波というのは、音の基本形で、実に素朴な音です。オカリナの音がこんな感じかな?
この図1を"基音"とします。
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[図2]
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続いて登場の図2。やはりギザギザしていますが、なめらかな曲線だと思ってください。こちらも横幅を 1/200秒とすると、周波数は200Hzとなります。図1の2倍の周波数、つまり1オクターブ上の音です。この音が図1の倍音成分とすると、基音の2倍なので"2倍音"と呼ばれます。
音程感のある音(パーカッション以外の和音や旋律を奏でる楽器の音等)というのは、主に"2倍音""3倍音""4倍音""5倍音"......といった"基音の整数倍"の周波数の音を倍音成分として含んでいます。
これに対し、ガラスの割れる音、ギターのボディーを叩く音などは、この他の様々な音が倍音として含まれているのです。ギターやピアノも、弦を弾いた瞬間はこのような音が出ていると思われます。(若干自信なし)
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[図3]
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で、図1と図2を合成すると図3のようになる訳です。ただのサイン波よりも、複雑な形になりましたが、まだまだシンプルな形です。
これに更に3次や4次などの倍音が合成されて一つの音ができ上がっているのです。そして、それぞれの倍音が基音に対してどれくらいの割合で混ざっているかで、音色の違いが出てくるのです。
ここでは簡単に、偶数倍音(2次、4次、6次等)が強いと柔らかい音、奇数倍音(3次、5次、7次等)が強いと刺激的な音、と思ってください。
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ちなみに図4は図2と同じ音ですが、波の上下が逆になってます。この音を図1と合成すると、図5の様になります。
[図4] [図5]
このように同じ倍音でも波の向き(位相という)が違うと音が変わります。
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波の基本型
サイン波はそれ自体に倍音成分を含まない基本型中の基本ですが、他にも基本型と呼べる形があります。
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図6が三角波、図7が矩形波(くけいは)。
[図6] [図7]
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図8、図9がのこぎり波。
[図8] [図9]
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これらの波形は、サイン波が倍音の影響で変形したとみなせます。しかも、放物線を描いていたサイン波が直線になってしまったのですから、相当複雑な倍音構成なのでしょう。
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