糖尿病網膜症の手術

 
 
 

糖尿病網膜症が進行すると、網膜内層を栄養する血管が詰まり酸素供給が減少します。この刺激により、血管からの漏れや、出血しやすい血管を作らせる因子(血管内皮細胞増殖因子)が大量に作られます。この状態で、網膜光凝固治療(レーザー治療)が適切に行われないまま放置されると、網膜と水晶体(レンズ)の間の空間(硝子体腔)にもろい血管をともなった増殖膜(傷のひきつれのようなもの)が出てきて、出血や網膜剥離を引き起こします。放置すれば、失明する危険な状態なのですが、現在ではかなり進行した場合でも、手術により生活に支障ない程度まで視力が改善する確率が高くなってきています。とはいっても、網膜を栄養する細い血管が一度詰まると正常に回復することは無く、普通運転免許の更新が可能な視力に回復することは難しい状態です。全く症状の出ない時から、糖尿病のコントロールをしっかり行うことで、網膜症の発症や進行が予防できることが研究により証明されています。網膜症が発症しても、適切な経過観察(少なくとも年2回の眼底検査)とレーザー治療で良好な視力を保つことが出来るようになって来ました。

2009年3月28日土曜日

増殖糖尿病網膜症の治療(硝子体手術)