音楽を超えた音楽:《タンパク質の音楽》

 最近モーツァルトがブームである。クラシック・ファンが増えたからではなく、健康にいいという極めて実用的な理由かららしい。実際、一般向けの健康雑誌を見るとモーツァルトがしばしば特集され、減量できた、高血圧が改善した、耳鳴りが消えたなど、多数の体験談が掲載されている。

 そこで質問だが、「音楽は病気を治せるか?」と尋ねられたとき、皆さんならどう答えるだろうか。

 おそらく、「心地よい音楽は何となく身体にはよさそうだけど、病気を治せるとまでは断定できない」といったところが大多数の人の答えであろう。誰も効果をもたらす理由を医学的に明確には説明できていないのだから。そもそも説明できるなら、モーツァルト以上に効果的な曲が作られているはずだが、そんな話は耳にしたことがない。

 実は病気を治せる音楽がある、と断言したら驚かれるだろうか。ただしそれは人間が作曲した音楽ではなく、《タンパク質の音楽》と呼ばれるものだが。フランスの物理学者ステルンナイメール博士が理論的な研究を行なう中で発見した。それぞれのタンパク質にはメロディが伴っていて、そのメロディが身体に作用を及ぼすというのである。

 博士がそんな効果をまだ知らずにヘモグロビンのメロディを解読しているとき、ある女性から電話があった。手術後ずっと貧血で、ヘモグロビンの数値が非常に低いというのである。何という偶然。博士はふと思いついて、電話の相手に向かって尋ねた。

 「『君の』メロディを聞いてみる気があるかい?」

 「ええ、いいわ」

 そこで、そのメロディを電話を通じて流し、彼女に聞かせることになった。その直後。

 「ねえ、からだの中で何か起こってるわ。もう1回聴かせてもらえる?」

 こんな言葉が返ってきたのだ。博士は、もう一度そのメロディを流した。曲が終わると、彼女は再び口を開いた。

 「元気が出てきたわ。何かとても力強いものを感じる。調子がいいわ。聴く前と比べ物にならないくらい」

 後に彼女が語っていることだが、そのメロディを聴いた瞬間、「治った」とまで感じたそうである。実際、4日後にあった検査の結果、ヘモグロビンは完全に正常値に戻ったことがわかり、再び貧血になることはなかった。40秒ほどのメロディをたった2回聴いただけなのに。《タンパク質の音楽》の治療効果が初めて明らかになった記念すべき事件である。

 その後、症状に合わせたいろいろな《タンパク質の音楽》を利用することで大きな成果が見られている。花粉症の症状が一週間ほどで消えたケース、がんこな便秘に苦しんでいた女性が下剤に別れを告げたケース、不眠が解消して睡眠薬が不要になったケース、3期まで進んだ子宮頸がんが4ヶ月で消えたケースなどがある。また、ひどいカゼをひいた人が、ある《タンパク質の音楽》を聴いた直後に鼻水が止まったという例もある。

 いくつか例を挙げただけだが、《タンパク質の音楽》の適用範囲がどれほど広いかわかっていただけたことだろう。しかし《タンパク質の音楽》はこのように効果をもたらすだけに、使い方を誤ると副作用の危険性がある。だから私は、普通の音楽が栄養のある食品だとすれば、《タンパク質の音楽》はそのエッセンス抽出物であると説明することにしている。《タンパク質の音楽》は強力ゆえ、医師の管理下で注意して使用するタイプの「薬」なのである。

 《タンパク質の音楽》は従来の薬とは原理がまったく異なるため、医学の世界ではまだ正式に認められていない。正規の医療機関としては、東京女子医大の自然医療クリニックが世界で初めて、1月から《タンパク質の音楽》による病気治療に取り組み始めたばかりである。