プロローグより

 「ウシにモーツァルトを聞かせると乳がよく出るようになる」
 「植物にクラシックを聞かせると成長が早まる。でも、ロックだとうまくいかない」
 こんな話をきっとどこかで耳にしたことがあるだろう。
 あるいは、「モーツァルトを聞かせておいしい日本酒ができた」という記事を目にしたことのある人がいるかもしれない。
 最近一般的になってきたインターネットで音楽と動植物の関係について調べてみても、かなり多くのサイトを見つけることができる。
 私たち人間の場合も、ストレスの多い現代社会にあって、『リラックスする音楽』と称してある傾向を持ったメロディを集めたCDが人気を呼んだりする。効果があると思うからだろう。
 このように人間が音楽で気持ちよくなるのだから、音楽が他の生物に対して効果をもたらすことがあっても不思議はない。でも、なぜ音楽には効果があるのか、疑問には思わなかっただろうか。
 もし疑問に思ったとして、果たしてこれまでに納得のゆく説明を目にしたことがあるだろうか。
 実は、その「なぜ」に答えてくれるカギ(の少なくとも一端)を握っているのが、《タンパク質の音楽》なのである。



『タンパク質の音楽』 目次

     プロローグ

第1章  あるシンクロニシティ

第2章  《タンパク質の音楽》への道
      1.運命の女神のいたずら
      2.音階の物理学
      3.物質は粒子であり、波動でもある
      4.「素粒子の音楽」
      5.「DNAの音楽」
      6.スケーリング波動

第3章  潜在能力を発揮する生き物たち
      1.音楽トマト
      2.パンの「ミミ」
      3.ヴィヴァルディ味噌
      4.酸素製造工場、ラン藻
      5.眠るアボカド

第4章  音楽の解剖学
      1.禁断の木の実が熟するとき
         ─ 『リンゴの唄』 ─
      2.ヒマワリは歌う、「おお、私の太陽よ!」
         ─ 『オ・ソレ・ミオ』 ─
      3.ミクロ国から「シャル・ウイ・ワルツ?」
         ─ 『美しく青きドナウ』 ─
      4.盗作? 創作?
         ─ 『記念樹』と『どこまでも行こう』 ─

第5章  音楽から色彩へ
      1.《タンパク質の色模様》
      2.ポケモン事件の原因

     エピローグ