斬新かつ正確な脳卒中片麻痺の機能予後予測方法

当プロジェクトの研究がClinical Rehabilitation誌に掲載されました。

A new method for predicting functional recovery of stroke patients with hemiplegia: Logarithmic modeling.
Clin Rehabil. 2005 Oct;19(7):779-89.
Koyama T, Matsumoto K, Okuno T, Domen K.

従来の予後予測法は、ある時点(発症後1か月など)から、将来(退院時、発症後6か月など)の予後を予測する方法でした。ほとんどが多変量解析などの統計手法によるもので、臨床的にはエクセルや電卓がなければ使い物にならなかったのです。今回、そのような欠点がない誰にでも簡単に使える予後予測方法を開発しました。筆頭著者は、疼痛の研究でお馴染みの小山哲男先生です。今後も臨床に役立つ研究を次々に発表する予定ですので、御期待下さい。(週に1回は大学で夜遅くまで、小山先生が直接メンバーに研究指導をしています。本当に頭が下がります。)

さて、この予後予測法については、原著をお読み頂くか、このページ末の学会発表時のポスターをお読み下さい。(図については著作権が存在します)。

脳卒中片麻痺のADL(日常生活動作)の回復曲線が対数曲線に近似できることを利用した予後予測法です。左図のように黒丸の2ポイントのデータがあれば、対数曲線にフィットさせることができますので、任意の時点(Day X)のADLを予測できます。実測値と予測値は、見事に高い相関となっています(右図)。寄与率94.5%は、これまでのどの研究よりも高い精度です。世界的にも注目されることでしょう。

利点をまとめますと、

 1)入院後の任意の時点のデータを利用できる。
 2)複雑な計算は不要。
 3)精度が高い。
 4)予測する時点も任意の時期。
 5)世界中どの施設でも応用できる。

この画期的な予測方法が広く利用され、正確な予後予測とゴール設定に基づくリハビリテーション医療が実践されることを期待します。


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