痛みの神経科学的メカニズムに迫る
小山哲男(紹介:道免和久)

NewYorkTimes紙
Forbers紙

NewYorkTimesおよびForbes紙にも掲載されました!

いつも当プロジェクトで、メンバーの研究相談、研究指導を実践しておられる小山哲男先生のアメリカ留学中の仕事が、この度、アメリカ科学アカデミー紀要に掲載されました。このニュースについて、産経新聞、読売新聞、朝日新聞の3紙、および、ABCラジオなどが取り上げました。研究内容は各紙記事をお読み頂くのが最もわかりやすいと思いますので、左記をクリックして下さい。

痛みの問題は、リハビリ医学でも主要な研究テーマです。急性の疼痛だけでなく、慢性疼痛、心因性疼痛なども、治療の対象になります。しかし、リハビリ治療の基本姿勢は、ブロック注射や薬物療法がメインではなく、疼痛を外在化させて客観的に観察しながら、日常の活動(ADL)や運動は別にしっかりと継続していく、という全人的なアプローチです。痛みさえなければ、と思う患者さんの気持ちはよくわかりますが、痛みだけにとらわれているうちに、筋肉が衰え、歩けなくなり、仕事も生活も大変な状況になる方々を目にします。私達に痛みを消し去ることはできませんが、痛みとうまくつきあいながら、身体機能を維持するようなアプローチを行います。ですから、痛みをリハビリで取って欲しい、と思われる方には全くの期待外れになる場合もあります。

今回の小山先生の仕事は、痛みと心理が密接に関連していることを、客観的な脳画像で証明したものです。痛みというとらえどころのない症状を機能的MRIという脳画像で証明した点も特筆に値しますが、記事の通り、治療者の声かけ、あるいはそれにともなう患者さんの心構え一つで、疼痛の感じ方が異なるという結果が本当に臨床における実感と一致します。疼痛に関する神経科学の分野での仕事ですので、当プロジェクト(Neuro-reha)のコンセプトにぴったりの仕事ということになります。

リハビリに関連する基礎分野は極めて広範です。どんな分野でも、やる気になれば今回のような立派な研究成果をあげることができます。あくまでも、リハビリは臨床が最も重要ですが、臨床での疑問点を先端科学の研究によって裏付けたり、新しい治療を開拓するようなテーマも、リハビリ医療の中には数多くあります。

私が、どんなバックグラウンドの診療科であろうと、リハビリマインドさえあれば、プロジェクトに参加できる、と申し上げている理由はそういうところにもあります。

(道免和久)


トップへ