Physiatrists Group リハビリテーション診療科グループ 

メンバー数 
伸び率 
日本一
リハビリ科医になるための道を示す

since 2000
4年半で25名
  に達しました!

(内定含む)
2010年までに
約70名を目標


 回復期リハビリテーション病棟と医師の人材育成について

リハビリテーション科専門医 道免和久     

 リハビリテーション医療は2000年の回復期リハビリテーション病棟制度の発足以後、(誤解を恐れずに申しますと)ある意味で「バブル」の状況にあります。回復期リハビリテーション病棟の開設経緯をみますと、以下の3つに分けられます。
(1)回復期リハビリ病棟は、急性期病院における平均在院日数の計算から除外されることから、大規模総合病院における空床対策や在院日数対策として利用されています。現在、全国的に推進されている平均在院日数の短縮により、多くの病院で空床が出ていますが、空床を作ってでも日数を短縮しなければこれからの急性期病院は生き残れません。そんな病院にとって、回復期リハビリ病棟を開設することは、病院全体の在院日数を短縮できるだけでなく、リハビリ中にもかかわらず退院を迫られる患者さんが入院を継続でき、満足度を高める効果もあります。また、その分もともとの空床が埋まるわけですから、病院側に経営的なメリットがあります。まさに一石三鳥の効果というわけです。
(2)療養型病棟が、基準最低線のスタッフ数(PT2、OT1、医師1と看護職)だけ揃えて、回復期リハビリ病棟に変更している所もあるようです。リハビリ医療が充実していれば良いですが、基本が療養型病棟の考え方で運営され、中味をそのままにして診療報酬が高いために誘導されているとすれば、問題があろうと思われます。
(3)もともとリハビリに力を入れている病院で、十分なスタッフ数を確保して、効果のあるリハビリ医療を展開している良心的な病院もあります。

回復期リハビリテーションのニーズは大きく、超高齢化社会においては絶対的に不足しておりますので、増床は必要です。必要病床数については諸説あるようですが、少なくとも10万床〜15万床は必要であろうと思われます。各地域に回復期リハビリテーション病棟が開設されることは、全国どの地域にいてもリハビリ医療を受けられるわけですから、充分に国民の利益になると思います。しかし、一般の方が上記をお読みになると、かくも『経済誘導』に従って医療が動くのか、あるいは、リハビリ医療の理念がどこにもないではないか、動機が不純ではないか、と思われるのではないでしょうか?

 やはり、本来あるべきリハビリ医療として(3)のような病院が回復期リハビリ病棟を担うべきだと思います。また(1)のような病院であっても、単なる採算合わせではなく、しっかりとしたリハビリ医療の質の確保が大切ではないでしょうか。

 ところが、質の保証という点で大きな問題があります。それがリハビリテーション科医の確保の問題です。回復期リハビリテーション病棟で主治医となり、十分なリハビリ医療の知識をもって、システムを動かす医者がいなければ真のリハビリ医療にはなりえません。回復期リハビリテーションにおいて、制度と人材は車の両輪です。制度を整えること、病棟を開設することは必要ですが、同時に、リハビリ科医の確保が絶対条件だと私は考えています。リハビリ医の確保なしにバブルを膨らませるばかりでは、本当に効果的な患者さんのQOLに根ざした医療は実現できないばかりか、機械的に「90日滞在コース」のような滞在医療になりかねないと思います。バブルをバブルでなくするためには、魂を注ぎ込む必要があります。その役割を担うのがリハビリテーション科医です。

では、人材育成はどこでなされているのでしょうか?ほとんどは大学の医局ということになりますが、他科から独立したリハビリテーション科で人材育成をしているところは全国で数えるほどしかありません。人材育成の目的を地域における回復期リハビリ病棟をはじめとするリハビリ専任医の確保としている大学はさらに少なくなります。

以下はリハビリテーション専門医会のホームページで、人材育成に協力することを表明した施設のリハビリ部門です。地域毎にかなりばらつきがあることがおわかり頂けると思います。特に近畿地方は2大学しかなく、人口比では全国一人材育成の施設が少ない地域です。人材育成によって純粋なリハビリ科専門医を送り出し、地域の回復期リハビリ病棟を支えることの効果は絶大なものがあります。詳細は当ホームページの随所にちりばめてありますので、ご一読下さい。今後は、回復期リハビリテーション病棟について、国民にわかりやすい形での質の評価がなされることが望まれます。

リハビリテーション科専門医の人材育成に協力する施設
(リハビリテーション専門医会調べ)
近畿 兵庫医科大学附属病院リハビリテーション医学教室
大阪医科大学附属病院リハビリテーション科
関東
杏林大学医学部附属病院リハビリテーションセンター
慶応義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
埼玉医科大学リハビリテーション医学教室
昭和大学病院リハビリテーション医学診療科
千葉大学医学部附属病院リハビリテーション部
帝京大学医学部附属病院リハビリテーション部
東海大学医学部リハビリテーション学教室
東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学講座
東京大学医学部附属病院リハビリテーション科
獨協医科大学リハビリテーション科学教室
日本医科大学付属第ニ病院リハビリテーションセンター・付属千葉北総病院リハビリテーション科
防衛医科大学校リハビリテーション部
横浜市立大学医学部附属病院リハビリテーション科

中部
東海

浜松医科大学附属病院リハビリテーション部
藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学講座

北陸 金沢医科大学病院リハビリテーション部
中国
四国
川崎医科大学リハビリテーション医学教室 九州 鹿児島大学医学部リハビリテーション医学講座
久留米大学リハビリテーションセンター
産業医科大学リハビリテーション医学講座
北海道 北海道大学医学部リハビリテーション科 東北 東北大学大学院医学系研究科
 ●運動障害学講座 肢体不自由学分野 / 運動機能再建学分野
 ●内部・高次機能障害学講座 内部障害学分野 / 高次機能障害学分野
弘前大学医学部脳研 機能回復部門
病院等 リハビリテーション関西プロジェクト(project Domen)
倉敷中央病院リハビリテーション科
国立国際医療センター
合計 私立大学 17校
国公立大学 7校
病院 2
(診療科グループプロジェクト 1)

www.neuro-reha.org

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