EBMのための医学情報検索実習
担当 道免和久 


【開講科目名】EBMのための医学情報検索実習

【担当者】リハビリテーション医学 道免和久

(1)履修学生の心構え
 21世紀は情報の時代である。医学も例外ではなく、情報を制することは医師としての必要条件と言っても良い。
本講義では、医師として最小限の医学情報の検索ができるように、1学期の間、パソコン実習を中心に学習する。学生1人に1題ずつ臨床上のテーマを与えるので、インターネットやデータベースの情報から、テーマの解決に必要な情報を検索する。検索結果からレポートを作成し、最終的にはhtml文書の形式にしてホームページ上に公開する。パソコンの基本操作等を含めて初心者でも構わないが、より積極的な態度を評価したい。

(2)授業概要
 医学は不確実性の科学("science of uncertainty")であり、確率の技術("art of probability" )と呼ばれている。臨床上の判断には多くの因子が複雑に絡んでいるため、100%確実な治療法は存在せず、一つの方針に決定することは容易ではない。このような不確実性の条件下において治療方針を決定するためには、できるだけ合理的かつ論理的に考える必要がある。これが、今日のEBM(Evidence Based Medicine)の基礎となる考え方である。
 昨年度、EBMの方法論の一つである医学判断学についての講義を行ったが、その中で、基礎となる文献検索の段階の学習が必須であることなどが明らかとなった。そのため今年度は、医学情報検索に目標を絞って学習することとした。
 授業はパソコンルームで行うが、2号館1階のカンファレンスルームを指定する場合もある。最初の数時間では、ごく簡単なテーマでの検索実習を行う。インターネットの各検索エンジン、医学中央雑誌、Medline、Cochrane Library(www.cochranelibrary.com)により検索を行う。英語のデータベースについては、基本用語を学びながら実施する。後半の授業では、2人1組で臨床上の重要なテーマを与えるので、相談しながら検索を進めてもらう。網羅的に検索を行うだけでなく、情報の質を吟味し、取捨選択して質によって情報にランクをつけてまとめる。レポートをメールで教官に提出し、ホームページ上で添削を進める。最終的に完成したレポートは、ホームページ(www.neuro-reha.org)上に成果として公開する。

(3)現代医療と医学情報
 医学情報の量は爆発的に増加しており、情報を取捨選択しなければ、情報の洪水の中で溺れてしまうだろう。本講義の最終目的は氾濫する情報の吟味と取捨選択であるが、その前にはまず、自ら網羅的に検索し、情報の出所を確かめ、情報源による信頼性の相違を実感するところから始めなければならない。
 また情報化社会では、一般人も全く同じ条件で医学情報を検索を行うことができるため、医学的知識は専門家だけのものではなくなった。臨床上も、患者・家族が得た高度な医学情報についての説明を求められることが増えている。従って、現代医療では、医師である以上、教科書や文献上の知識を頻繁に最新のものに更新し続ける必要がある。本講義がその一助ないし出発点になることができれば幸いである。

学生用

兵庫医科大学リハビリテーション医学 道免和久
〒663-8501 兵庫県西宮市武庫川町1-1
Tel0798-45-6881
Fax0798-45-6948


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