COMLの語り合うバッジ
リハビリ医からみたCOML

 患者さんと医療者が共に歩むために

リハビリテーション医 道免和久

COML会報誌に第119回患者塾のときのインタビューが掲載されました。(低解像度高解像度


COMLは、Consumer Organization for Medicine & Law(医療と法の消費者組織)の略で、『ささえあい医療人権センター』とも呼ばれています。コムルCOMLのホームページに書かれている通り、患者さんと医療者が、対話と交流のなかから互いに気づき合い、歩み寄ることのできる関係づくりをめざしています。
私が2002年にインターネットでCOMLに出会ったとき、これだ!と思いました。すぐにCOMLの会員になりました。COMLはときに医療側にとって厳しい指摘をします。しかしそれはあくまでも、より良い医療者・患者関係を築くことが、結局はより良い医療を受ける患者側の利益になるという、建設的な考えに基づいています。

COMLの主張は、リハビリテーションにおける医療者・患者関係について以前から私が考えていた構造とぴったり一致します。つまり、リハビリテーション医療では、患者さんと医者が病気を真ん中に置いて、対峙する治療構造では絶対に成功しません。対峙する関係では、特に治らない病気のときに不幸な敵対関係になります。敵対関係は何も生み出しません。そうではなくて、医療者と患者さんが一緒になって、ともに病気を克服する姿勢が大切です。たとえ、障害が残っても、ともに歩む構造から答えが見つかります。医療者とは、医者だけでなく、各療法士、看護師、ケースワーカーなどのチームを含みます。これだけのチームを味方につけ、ときにはうまく利用することが、最も患者さんの利益になると思います。
2004年9月にCOMLの『患者塾』にリハビリテーション医療に関する話題提供者として招かれています。光栄なことと思います。リハビリテーション医療の不確実性と限界の中で、どうすれば(COMLの言う)『賢い患者』になって、良い医療を受けることができるか、ということを患者さんやご家族と一緒に考えてみたいと思います。結果はまたこのページの中で御紹介します。

2004年5月27日兵庫医科大学において、辻本好子さん(COML代表)の医療講演会『医療に対する患者・家族の思い』が開催されました。電話相談のご経験を踏まえながら、COMLの考えるあるべき医療の姿をわかりやすく示して頂きました。安易に「患者様の立場に立つ」というのではなく、立場と役割の違いを認めて向き合うこと、お互いに思いやりと興味を示すことから、心を開いて話し合う真のコミュニケーションが成り立つというお話は印象的でした。医療者は患者さんの背中に回って支える「自立支援」者であり、補完し合う協力関係であるという意味で「協働」という言葉を使っておられました。本当にそうですね。医療者も患者も双方ともに成熟することが、より良い医療を作り出すという考えは、拙稿総合リハビリテーション巻頭言に書いた「何よりも患者とともにQOLを考えながら、リハビリ医自身が多様な価値観を認め、共に成長することが重要である。」と共通するものがあって、嬉しかったです。自ら乳癌の治療経験を公にしながら、全国の医療機関・団体等の招きで、年に二百数十回ものご講演をこなされている辻本さんのファイトに感銘を受けるとともに、この絶妙なバランスの上に立った活動が国民全体に広まることを確信することができました。私はCOMLの一会員ですが、今後も会の活動を縁の下で支えることができれば幸いです。

毎年恒例の集中電話相談“COML110番”(7月10日〜12日)が実施されました。プロジェクトの道免は個人の立場で、ボランティアとして半日参加しました。今後とも地道な活動を応援したいと思います。

2004年9月4日アピオ大阪(大阪市立労働会館)でCOML患者塾の話題提供者として講演させて頂きました。

COML第119回患者塾 知っておきたい医療の限界・不確実性(16)
失われた機能はどこまで回復するの?
−リハビリテーションの可能性と限界−

朝日新聞に案内が掲載されていたこともあって、初参加の患者さんやご家族も多数来られました。講演では、リハビリテーション医療、脳卒中を中心に回復の可能性と限界、そして、リハビリテーション医療の現状の問題点について、お話させて頂きました。内容的にはかなり高度な医学知識も含まれていましたが、皆さん深く理解して頂けました。会場からの声で印象的だったのは、「病気が治ることが重要なのではない、障害を広く受け止めて一緒に対処してくれるリハビリ医療が重要だということがよくわかった」という御意見でした。そして、「どんな地域にもリハビリ科医がいて、いろいろ相談できるようになると良いのに・・・」という声は、当プロジェクトへの激励の言葉と受け止めた次第です。患者さん・ご家族に勉強して頂くために講演しながら、いつもながら自分自身の勉強になりました。お話しする機会を与えて頂いたことに感謝致します。

 


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