2004年日本リハビリテーション医学会抄録


リハビリテーション医によるデス・エデュケーション

兵庫医科大学リハビリテーション医学教室  道免和久

【目的】患者のために最善の医療の実践は、患者にとってのQOLをどこまで真剣に考慮できるかにかかっている。リハビリ医療は、QOLを最も重視すべき医療であるが、医学教育の中で学生にQOLの理解を促すことは容易ではない。今回「生と死を考える」というデス・エデュケーションの視点から、医学生への教育の機会を得た。1学期にわたる講義の中で、命の価値を学び、限られた時間のQOLを考慮する意義を学んでもらった。

【方法】講義は「生と死を考える〜QOL重視の医療のために」と題して、希望した学生のみが受講した。定員5人に対して4人(2年生2人、3、4年生各1人)が集まった。主に「兵庫・生と死を考える会」の教材を参考にして、生と死の問題、医療における死の問題、癌告知等について議論した。また、デーケン、日野原、キューブラーロスらの著作を抄読し、最後に近隣のホスピス病棟担当医を訪ねて議論した。11時限の講義終了後、学生にアンケート調査を行った。

【結果と考察】アンケートの結果、全員がさらに長期にわたる講義を望んだ。感想として「生と死の問題は医学教育で欠如した部分だった」「死を知ることによって生はさらに有意義になることがわかった」「QOLの重さがわかった」「死の受容のプロセスがためになった」「医療従事者が死の問題を避けてきたのはおかしい」など、講義に対して肯定的な意見が目立った。今後、QOLに対する考え方の変化、リハビリ医療がQOLを重視する意義の理解、医学生へのデス・エデュケーションの方法論などについて検討したい。


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