「試みられた起爆空間」


 今年(2000年)の1月、建築設計をお仕事とされている方から百窓についての情報をメールでいただきました。
 地元の人が「百窓(の家)」、又は「百目」とよんでいるこの建物の正式な名称は「起爆空間」あるいは「試みられた起爆空間」と言い、更にこの情報を掲載していた雑誌を教えていただき、探してきましたので紹介したいと思います。
 「起爆空間」が掲載されていたのは、彰国社刊「建築文化」の1967年2月号で、16ページに渡り百窓が紹介されており、うち6ページは、この起爆空間を設計された中の一人である林氏の「起爆空間の論理」という論文で占められています。残り10ページが建物の設計図や百窓の外観、内部の写真で、この建物内部が三階建て構造である事を初めて知り、恐らく当時の地元の人もそれほど知らないであろう百窓内部を写真で(カラー含む)初めて拝見する事ができました。

 構造としては、「一辺10.8mの正立方体。四つの垂直面に直径1mの孔、25個ずつを正確に配置し、そのうち8個に、2本1組の梁の端部をさし込む。スラブは梁にかけられる。2組の梁を空間的に直交させ、これを垂直に貫通して中央円筒が装着される。主階段がこれにもうけられる。全体は、基壇から突出する4本の脚部のピンに載せられ、宙に浮くこととなる。」となっています。(掲載記事より)

 設計図を見ると、中央にある螺旋階段は玄関入口よりそのまま3階まで続いており、更にこの階段とは別に1階と2階を結ぶ階段があったり、1階から3階までの吹き抜けあり、各階に洗面・浴室ありで、この本を読んだ後は、最初に百窓を見て抱いていたイメージとは全く違ったものになっていました。
 工期は1965年7月から1966年5月で、セブン12話の撮影が1967年の9月頃ですから、12話に登場している百窓は築後より1年4ヶ月経った姿という事になります。また、劇中では建物内部が真っ暗なスペル星人の隠れ家として登場していますが、実際には4面の大部分及び上面の一部が窓であり、普通の住宅よりよほど明るく開放的な空間を持った建物であっただろうと思います。(逆にプライベートな生活の場としての居住性はどうだったのか気になりますが・・・)

 この「建築文化」には、「起爆空間」以外にも当時の様々なデザインの建築物が紹介されており、そのままセブンのエピソードに登場してもおかしくなさそうな建築物も幾つかありました。スペル星人が写っている横方向の5円ブロマイドの左側にもそれらしき建物がありますが、今回のこの情報をいただきました方のお話によりますと、「'60年代に流行った巨大都市計画の模型をモチーフとしているのではないか」との事です。

 またこの本には「建物を見た人びとの起爆的発言集」なるものが載ってました。以下がその中の一部です。
  全ての孔にサーチライトをつけて光を放射すべきだ。
  007のロケ地に推薦したが、崩の下に海がないので取りやめになったんだって。
  市街戦のトーチカだ。
  あれを見てから一週間不眠症になった。受験勉強がはかどらない。



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