1997年12月7日(日) ナニワフリーファイト2 尼崎記念公園総合体育館・柔道場 「見たぜ! 浪速のド根性 初めてのアマチュア修斗観戦記」
レポート宮竹末広 <yihara@mud.biglobe.ne.jp>
http://www2s.biglobe.ne.jp/~yihara/index.html
生で見たものが全て、生で感じたことが全て。初めての修斗生観戦。それもいきなりアマチュア。参加選手、主催者、関係者たちの熱気が相乗効果をもたらすかのように会場を充満し、予備知識のほとんど無いまま見たにも関らず、非常に満腹感を感じて会場を出ることができた。12月だというのに、9月ごろを思わせるような暖かい日和だったことが、この大会の独特のムードを作り上げたのかも、と書いてみたりもする。
私はプロレスファンである。私にとってこれまで「修斗」というのは、いわゆるプロレスが格闘技としての要素を追及した結果産まれた落とし子であるとか、タイガーキングという「しょっぱいレスラー」がなんとなく運営している団体とか、あくまで「プロレス」という座標軸からの位置づけ、それも偏見混じりのものとしてしか存在していなかった。リングス、パンクラスといった団体、あるいはバーリトゥードの世界もほぼ同じ。力道山以降の日本プロレス界の歴史とその中での位置づけについて考えることが、当然のように私のプロレスの見方になっていた。バウトレビューの編集長、無頼庵氏に「見に行って観戦記を書いてみないか?」と誘われた時も、どうしていきなりアマチュア?、果たして私が見に行っても何が書けるんだろうと思っていたが、会場である柔道場に1歩踏み込んだ瞬間から、私の気分は変わった。高校時代、体育の授業でクラス一でかい奴に技術など関係なしに投げられてはヒーヒー言っていたあの頃の記憶がよみがえって来たのである。
私は根っからの文化系人間。つかみあってのケンカというのは、中学1年のころから記憶に無い。「格闘」はその柔道の授業以降一度も経験していない。ケンカから授業での試合まで、私この方全戦無勝、ヒクソンもびっくりの連敗記録を積み重ねている。イジメられっ子というわけではなかったが、その、二十歳を超えてからの日常でほとんど感じることの無かった「弱い」という自分を、何年かぶりにはっきり過ぎるくらい認識させられたのである。会場の中には、そんなに大型の選手や関係者ばかりいたわけではない。むしろ大半の選手達は私とさほど背丈も変わらないし、試合前の服を着ている姿だけなら体格も大差ない。だが、人でごった返して狭くなった会場内で、柔軟体操をしている、蹴りの動作を確認している、目の前でブリッジの練習をしている彼らを何人も見ているだけで、その恐怖感が増幅されていくのである。天の向こうにいるような超人/プロレスラーたちのウォームアップを生で見ても、そういうことを感じなかったかもしれない。だが、その辺によく居そうなあんちゃん達のそういう姿を見たからこそ、逆に身近に、よりリアルに恐怖を感じたのではないかと思う。その時私の中では「修斗−プロレス」の関係性についての思考は全く起こらなかった。目の前で行われる「格闘」そのものだけを感じるという姿勢の下地が、既に試合前から私の中にできあがっていたのである。
(試合は全てアマチュア修斗ルール、3分2ラウンド制)
第1試合 / ウェルター級 (-68kg)
小野明洋(大阪経法大宇留野道場) VS 山田昌男(非公開)
試合前ルール説明を聞いてはいたが、実際試合を見ないことにはルールをしっかり把握できない。そう構えて見始めたが、それも関係ないぐらい、攻防自体に理由があるかのような「格闘」が目の前でいきなり繰り広げられた。
サンビスト小野がバックマウント、胴締めと攻める。バックマウント時にレフェリーが5点の加点ポイントを指示したときに、そこに修斗ルールがあるということを初めて認識した。2Rも1R同様の攻防になり、フロントネックロックになったところで場外に出たため、レフェリーが両選手を場内に引き戻す。これが「ストップ・ドント・ムーブ」か、と、ルールの書いた紙を見直して認識する。以降、マウント、バックマウントの取り合いになる攻防が続く。面白い... 。「なんだ、リングスとかと変わらないじゃん」、小さな会場の第1試合とは言え、同じ「格闘」であるという、あまりにも当然なことをようやく実感したのである。
結果は組技のポイントで大差を付けた小野が判定で勝利。
第2試合 / ヘビー級 (+82kg)
日下紀和(TSDシューティング友の会) VS 丸山孝幸(格闘サークル アームズ)
本日唯一のヘビー級戦。それも両選手ともエンセンのようなスマートな体型でなく、これから相撲でも始めるんかいなと思わすようなおでぶちゃん。日下(WARの嵐似)は110キロ、丸山(みちプロのディック東郷似)は95キロという、むしろスーパーヘビー級とでもいうべき取り組み(^_^;)になった。
1Rいきなり日下のパワフルな前蹴りが入り場内歓声が起こる。丸山も負けじと突進するが、日下がパンチ中心の打撃で圧倒する。修斗らしからぬ大味な試合といえば確かにそうだが、どちらも修斗初戦だし、私も修斗初観戦、こういうのもありではないかと単純な面白さを目の前にすると説き伏せられたかのように思い込まされてしまう。いきなりこんな迫力のある攻防を前半戦で見られるとは思ってもみなかった。試合は、2R1:30に丸山を倒した日下がセコンドのアドバイスに引っ張られるように決めた腕ひしぎで勝利。
第3試合 / ウェルター級 (-68kg)
若山太一郎(無名塾) VS 椎木 努(直心会)
椎木がローキック、「直心会」の名にふさわしいかのようなスピードのあるタックルで、若山を圧倒する。マウント、アームバー、バックマウントと次々と攻める。2R1:50で椎木が腕ひしぎで決めたが、椎木のヒクソンを思わせるような終始余裕ある表情と、細いなりにもしっかり付いた背中の筋肉が特に印象的だった。強い選手と当たったときどういう表情になるのか、見てみたいものである。
第4試合 / ウェルター級 (-68kg)
荒木拓也(フリー) VS 坊 正樹(睦事務)
荒木がマウントを取るが、坊は返して逆にマウントになる。1R1:07腕ひしぎで坊の勝利。
第5試合 / ミドル級 (-74kg)
内川高行(TSDシューティング友の会) VS 井上 崇(クラブJ)
二人とも30歳かぁ、と思って見始めたら、1R20秒ほどで突然井上が胴回し蹴りを出しビックリ。1分ごろから内川が井上をヘッドロックしたままの体勢が続き、1R終了。井上、既にかなり疲れている。2R序盤蹴りの相打ちで井上が倒れるも、内川はセコンドのアドバイスもあり、グラウンドに行かず相手にせず。スタンドになると井上が起死回生とばかり再度胴回し蹴りを繰り出したがかわされる。その後内川の容赦ない顔面への膝蹴りで井上が鼻血を出し、ドクターチェックに。内川に歓声がかかり、内川その方向へ余裕の会釈。試合再開するが時間つぶしに終わり、判定の結果内川の勝利。試合後畳の上に付いた鼻血を処理するレフェリーの姿が印象的だった。
第6試合 / ライト級 (-62kg)
松下泰樹(無所属) VS 小松 晃(正武会館)
小松が上になるが下の松下にフロントネックロックを取られる。この体勢がこれまでの試合でもよく見られた。結果は...「1R1:08腕ひしぎ」と取材ノートに書いてあるが、どっちが決めたか不明。今、ひよっこ取材記者である自分を再認識 (-_-)。
第7試合 / ウェルター級 (-68kg)
中西茂文(クラブJ) VS 三浦生人(関西大学シュートボクシング同好会)
三浦のいいローも入るが、2分経過後、中西がテイクダウン→マウント→腕ひしぎで勝利。「1回押し込んで重心かけて引く腕ひしぎが定番になっている」と無頼庵氏が言っていたが、そういう技術論的な話は人に聞かないと僕は全くといっていいほど気付かない。勉強不足を痛感。
第8試合 / ウェルター級 (-68kg)
藤本健太(非公開) VS 寺坂優一(非公開)
パンフの解説を引用。「前半戦の大一番と言える試合がコレ。藤本は柔道とボクシングを習得したバランスのとれた選手。キング・オブ・ストロングスタイルやアマチュアリングスなど、総合ルールの大会への参加経験も豊富であり、総合という点では藤本に分があるか。対する寺坂はばりばりのアマチュアレスラー。幼少時代から大会での入賞経験があるようで、試合経験ではこちらが上。藤本のパンチか、それとも寺坂のタックルか。激戦に期待」。藤本はパンチをほとんど出さず、寝技中心の試合になったが、まさしくこの文章通りの激戦となった。判定で藤本が勝利したが、2Rで終わるのはもったいないほど、まだ見たいと思わせるような素晴らしい攻防だった。
第9試合 / フェザー級 (-57kg)
糸川英樹(クラブJ) VS 大原信康(格闘サークル アームズ)
面白かったなぁーさっきの試合、と余韻に浸っているうちにすぐ次の試合に進むのがアマ修斗ならではの光景。どっちのコーナーが何選手か名前を確認しているうちに、糸川が1:29にスピードのある腕ひしぎで勝利してしまい、あっけにとられる。糸川はなんとこの日の「KO&一本賞」を受賞。きっちり見ていなかったことを大後悔(-_-;)。
−休憩−
さっきまでレフェリーを務めていた桜田直樹氏が、最前列中央で取材をしていた我々に近づいてきて、無頼庵氏に「資料用の試合写真を撮ってくれないか」と依頼。試合中桜田氏が写真頼もっかなぁ〜と考えながらレフェリングしていたのかなと思うと何だかおかしかった。
無頼庵氏に前半の感想として「理屈抜きに面白いっすよ!」と伝えると、バウトレビューでアマ修斗観戦ツアーを組もうかという話で盛り上がる。次回関西大会は来年3月。実現すれば絶対行きます!
第10試合 / ライト級 (-62kg)
福谷陽一(CLUTCH) VS 坂井俊介(平安道場)
福谷のスピード感ある打撃技が光った。1R54秒で福谷がフロントスリーパーで勝利。休憩の余韻が冷めやまぬまま終わった試合だった。
第11試合 / ライトヘビー級 (-82kg)
西田昌英(截空道) VS 広瀬 穣(龍生塾)
全試合前にバウトレビューML参加者である金沢氏が、我々を発見して話し掛けてこられた。その金沢氏と同じ道場であるという西田の登場ということで、私は姿勢を整えた。
互いに激しい打撃戦。蹴りの撃ち合いでいい音が道場に響き渡る。しかし徐々にパワーの差が出てきて、西田の右ストレートのカウンターが入った辺りから、広瀬の顔はボロボロになり始める。西田の蹴りで広瀬1ダウン。さらに西田の右ストレートが駄目押しで入り1:25レフェリーストップ。
バウトレビューMLでの金沢氏のレポートによると、西田は試合前フルスパーを30R以上こなし、また100キロを超える外人ともスパーリングをしていたが、決して打ち負けなかったという。もちろん広瀬も彼なりに練習を積み重ねてきたのだろうが、このエピソードを聞くと、西田の圧勝もうなずける気がする。なにより、きっと西田選手に限らず、どの選手もそれと近い内容の練習をこの大会に向けて積んできたことであろう。試合を観ているときはそういうところまで考えが及ばなかったが、当然といえば当然のことである。高校時代、柔道部の友人が、試合前猛練習を積んでいた。それのある意味延長線上に、修斗の選手達の練習もある。そう思うと、私とそんなに遠くないところに、修斗というのは存在しているのかもしれない。これまた当然といえば当然のことなのだが、何故これまで気づかなかったのだろう?
第12試合 / ライト級 (-62kg)
大原義次(格闘サークル アームズ) VS 佐治三津弘(総合格闘技CLUB "es")
1R35秒で、ギロチンチョークとでも言おうか、よくわからない技で佐治勝利。大原は何となく不完全燃焼で終わった試合だった。
第13試合 / ライトヘビー級 (-82kg)
竹内竜太(フリー) VS 大西昌尚(空手道剛志会)
竹内のヘッドギアのあごひも(ゴム?)が緩いのか、グラウンドになるとすぐに取れてしまう。大西のマウントを取ったりアームバーを決めたりといった動きが良かった。立ったときも、ヒクソンの周りを回る高田のように(ヒクソン×高田カンケーしか例えがないのか俺は... )、大西の周りを竹内が回る。試合は判定で大西の勝利。
第14試合 / フェザー級 (-57kg)
豊後拓也(龍生塾) VS 梶田佳秀(直心会)
梶田は、今年の全日本アマ修斗選手権ライトヘビー級を制した川勝三朗と近大付属高校の同期で、柔道部のレギュラーだった選手。そんな梶田のしぶといグラウンドが光った試合だった。2R序盤、豊後が蹴り足を上げたところにすっと入ったタックルも絶妙であった。結果は組技の加点を積み重ねた梶田の判定勝ち。
第15試合 / ウェルター級 (-68kg)
石原大介(龍生塾) VS 西川建治(フリー)
石原は身長175cm、西川は163cmと差はあったが、柔道3段の西川の技術が石原を圧倒していた。パワーもあり、西川を持ち上げては倒し、寝技になっても捕まえたら離さない。2R序盤には石原にフロントスリーパーを取られるが、次第に西川が有利なポジションに移行していく。1:54にチョークスリーパーが決まり西川の勝利。この試合辺りからカメラマン無頼庵氏の動きがますます慌ただしくなり、私一人で取材メモに集中しなくてはならなくなってきた。
第16試合 / ライトヘビー級 (-82kg)
喜多将士(龍生塾) VS 網岡 学(正武会館)
喜多は96年に全日本アマ修斗ライトヘビー級準優勝、SAW体重別-80kg級優勝の、いわばレスラー体型の選手。網岡は関西少年レスリング選手権大会準優勝の19歳。この辺りのカードの選手になると、単純な大きさだけでなく、体の充実度や風格などが前半の選手達と全く違うことがはっきりわかる。いきなり網岡がレスリング仕込みの強力なタックルで喜多を倒し、両者客席まで突っ込むが、冷静にさっと返した喜多が思わず「ぅんまい!」と叫びたくなるような腕ひしぎで勝利。試合時間わずか16秒。前半の試合だけで凄いと思っていた私に、「そんなもんじゃないよ修斗は」と冷水を浴びせてくれたかのような素晴らしい試合だった。無頼庵氏は、この一瞬の試合をカメラに収めることはできたのだろうか??
第17試合 / ウェルター級 (-68kg)
三島睦智(闘魂クラブ) VS 宇佐美文雄(宇佐美格闘技道場)
さらに私に冷水を浴びせてくれた試合。三島についてはパンフに「関西のアマシューターの中では、最もプロに近い選手の一人」と書かれていたが、まさしくセミプロといえる試合が、目の前で、それもこれまで以上のド迫力で体感できた。序盤いきなり片方のタックルでからみあった両選手が、私の座っている方向に猛進してきたのだ。見事私のカバンを踏み付けて場外はもみくちゃになる。目の前で行われた光景にしばし呆然。その後も物凄いスピードのある寝技の攻防が続いたが、何があったか覚えていないような状態。だが、この攻防を見たときほど、できれば今日はお客さんとしてのんびり酒でも飲んで楽しみたかったなあと思ったことはない。柔道場で飲酒はいくらなんでもマズイんだろうが。1Rはあっという間に終了し、試合は2R24秒ヒールホールドで三島の勝利。勝利直後三島は喜びのあまりバック転するもレフェリーに当たり、その後も場外のビデオカメラにもぶつかっていた。試合中の豪放さといい、試合後のこのはじけっぷり。自然児とでも言おうか、こういう人というのは、ナチュラルに、入るべくして格闘の世界に入っていったんだろうなあと思った。三島はこの日ベストシューター賞も獲得。桜田氏からは「東京にも上がって下さい」と健闘を讚えられていた。もちろん負けた宇佐美も讚えられていた。
第18試合 / ミドル級 (-74kg)
池本誠知(ライルーツコナン) VS 宮崎裕二(TSDシューティング友の会)
この日のメインともなると、客席も盛り上がる。ふっと後方を見てみると、私のすぐ後ろから壁際にいるお客さんまでみんな総立ちだったので驚いた。池本はSAW、アマチュアリングス等でも戦績を残している選手。前回の浪速フリーファイトでも、「打・投・極がスムーズに回転するパーフェクトな試合(パンフより引用)」を見せたという。対する宮崎も柔道3段の「猛者」だという。そういうことを知ってか知らずか、客席の歓声が凄まじかった。試合は序盤宮崎がその猛者ぶりを発揮、池本からポジションを奪う。結果は1R2:38で池本がチョークスリーパーで勝利した。これまたこの試合の攻防も私は覚えていないから困ったものである。とにかく凄かったという、下手くそな料理評論家のような論評しかできないことが実に辛い。なお宮崎は、負けたにも関らずこの日のミスターガッツマン賞を奪取。前半からの気迫を思えば皆納得の結果であろう。
全試合終了後、各賞の発表、須田匡昇・桜田直樹両氏のコメントがあった。
須田「打撃と組技がばらばらの人が多いので、もっと総合的に、そつなくできるようになって欲しい。足関節で決まった試合が少なかった。逆に取られる可能性もあるだろうが、もっと足を狙って欲しい。」
桜田「前半の選手達は、もっと積極的な試合をして欲しかった。後半の試合は、気持ちが入っていて、正直感動した。初めて参加した選手は、修斗とはこういうものというのが今回わかったと思うので、それを知ったうえで次回来てくれると良い。」
印象的なのは、桜田氏の「後半の試合は、気持ちが入っていて、正直感動した。」というコメントだ。これは、語気からも桜田氏の極めて率直な感想だったことがうかがい知れた。桜田氏は、大会パンフレットの挨拶においても、「斗いを修める」ということについて少し堅く論じた後、最後に「まあ、なんだかんだといっても、とどのつまりが、『浪速のド根性に期待します。パート2』というのが私の純粋な希望です」という言葉で締めていた。まさに桜田氏にとって期待通りの内容だったことが、上記のコメントとこの挨拶文を比べればよくわかる。ルールの把握や技術面では、プロ修斗の足下に及ばないものだろうが、ある意味「斗いを修める」種子の段階が、特に後半の選手達においては達成されていたと桜田氏の目に映ったのではと思う。率直な人である。試合を観たことはないが、桜田"選手" というのはきっと尊敬に値する格闘家なのであろう。
この日私は、「格闘」そのものだけを感じていた。最初述べた柔道場に1歩踏み込んだ瞬間から最後まで、その感情は全く変わらなかった。臭い演技に彩られた闘志は必要無い。私は普段はプロレスばかりを見ている。もちろん嫌いなタイプのプロレスもあるが、プロレスの世界は、今やお約束の、役者じみた闘志に満ちあふれている。それがお約束ということにすら気づかない、あるいは暗黙の了解としてお約束であることを忘れてしまっている自分が、正直恥ずかしくなるほど、非常にレア(rare)な闘志をこの大会では見ることができた。無表情であろうが、闘志は紛れもなく闘志である。タックル、蹴り、ポジションの取り合い。練習を積み重ねてきた一つ一つの技術を試合で最大限に発揮するためだけに全精神を集中し、その結果体を動かすことでおのずと表出してしまう闘志。あるいは、自分の出した技術に対し、敵はそれを読んだかのように返してきたときに「なにくそ!」と発奮する瞬間にわき出る闘志。それらが、このアマ修斗の大会のマット(畳)上では、ごく当り前の景色として存在していたことに、私は新鮮な驚きを感じたのである。
「修斗といえば佐山と前田の確執 ...」うんぬんの考えはついぞ試合終了まで浮かぶことはなかった。それほど私は斗いに熱中していた。そして今もその興奮の余韻は私の中に残っている。大げさに思われるかもしれないが、今回の大会は、私の中のプロレスと格闘についての座標軸を塗り変えるほどの斬新な体験となったのである。
また桜田氏からは、来年3月に「浪速フリーファイト3」、6月には「西日本トーナメント」が開催されることも発表された。絶対これらも見なくてはと思っている。また、もし機会があればプロ修斗の試合も見てみたい。先日「SRS」で「バーリトゥードジャパンオープン'97」を見た。明らかにこれまでの視点と違うところで格闘を見ることができたのも、このアマ修斗の観戦のおかげであることは間違いない。それと、プロや上のレベルの試合を見込んでから、この日の前半戦のような試合をもう1回見ると、前半レベルではどのあたりの攻防が甘いとか新鮮な発見ができることだろうと思う。
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