Kangerlussuaq で見る northern light の総合的印象

  1. オーロラは、雲よりもはるかに高空での発光現象で (下記 3)、月明かりほど明るくはないので、お天気の良い夜にしか見えません。
  2. オーロラ・カーテンは地球の地磁気極を取り巻く半径約 2,500km の円に沿って環状に現われます。
  3. その下端は地上約 100 〜105km にあって、それを地表から見上げているわけです。

天候

上記、1) の条件は、「晴天率が高い」という点で、Kangerlussuaq は文句ありません。
Kangerlussuaq の冬季気候
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|             | Nov.  | Dec.  | Jan.  | Feb.  | Mar.  | Apr.  |
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| 降水量 (mm) |  18   |   3   |   4   |   4   |   7   |   4   |
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| 気温 (℃)   | -15.7 | -13.6 | -24.3 | -16.9 | -13.9 | -11.4 |
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降水量が少ない点は注目に値します。また、細長い fjord の最奥にあるためか、寒いことも特徴です。オーロラが見えることと気温との間に直接の因果関係はありませんが、「寒い」ことは、地表や大気が放出する赤外線が雲によって跳ね返されたりせず、宇宙空間に逃げていくことによる結果で、「夜も晴れている」ということです。日本の冬の天気予報でも晴れた夜には「放射冷却現象」で翌朝は冷え込むでしょう、とやっているのと同じです。
Iceland 上空は冬季のかなりの期間 960 〜970HPa の低気圧が停滞し、天候が不安定で、オーロラが見える確率は悪くなります。天気予報を見ていると、Scandinavia 半島北部はいつも曇になっているので、Tromso (「o」に斜め棒) など、いろいろ宣伝しているけれど、見える確率は低そうです。「天候が良ければ 90% 見えます」の「天候」の条件が厳しそう、というわけです。
冬至の頃の東 Greenland では、地理的緯度が高い (極夜になる) のに、地磁気極の緯度は低いので、真昼側のオーロラの環の部分を見ることが出来るらしいのですが、Tasiilaq など、冬季が雨期のようで、これも数日の滞在で見物するには向かないかもしれません。

オーロラ環の内側ではオーロラは南の空に見える

現在の地磁気極は、Greenland 北西端の Siorapaluk 付近にあります。Kangerlussuaq は Siorapaluk から約 1,340km 離れているだけなので、オーロラ環の北側にあります。だから、通常のオーロラは、当然、南の空に見えます。
地元で暮らしている Jesper さんたちは、オーロラの図鑑を広げながら、「こういうピンクがかったものは見たことがないねぇ。白か緑だけだ」と言ってました。初めての時は、白や緑でもカーテンがゆらゆらすると、感動もので、それは「見て良かった〜」ではあるわけですが、「やっぱり、ピンクがかったのが天頂からシャワーみたいに降り注いでこないと…」と、などと贅沢な望みを抱いて行くと、なかなか、夢は叶えられないかもしれません。
ただ、袴田さんの オーロラ見物 では、赤っぽいものも現われた (珍しいらしい) そうですから、夢をあきらめてはいけないでしょうけれど。
私の場合、結局、白〜緑にしか遭遇できませんでした。
Ilulissat, Uummannaq と西岸を北上するにつれて、地磁気極に接近するので、オーロラ見物には不向きになるし、Nuuk, Qaqortoq など南 Greenland は冬も降水量が多いので、Greenland でオーロラ見物に好適なのは、Kangerlussuaq だけになるのでしょうか。


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Last Modified : Nov. 14, 1999