Fairbanks にて

簡単な目次

フロントガラスにひびの入った車

私が乗った車のうちのひとつでは、フロントガラスにひびが入っていました。合わせガラスではあるようですが。
「どうしてか?」
「Fairbanks では冬は寒い (1月の最低気温の平均は -35℃)。車の中は暖かいので、内外気温差が大きい。そこへ石でも当たると、簡単にひびが入る。」
Alaska の産物の 1位は石油, 2位は石炭なのは当然として、3位が砂利であったことを思い出しました。道路のスリップ防止には砂利を撒くからで、跳ね飛ばされた石がフロントガラスに当たる確率は確かに高そうです。
ガラス管を切断するときのやり方に、ほんのわずかヤスリで傷を付け、その近傍にガラスの焼き玉を押し付けるという (便利な) 方法があります。それは熱の伝わり方が傷の周囲で異なるので、「ピシッ」とひびが入るからですが、今、割れているフロントガラスを見て、学生時代のガラス細工でしょっちゅうこの手を使っていたことを思い出しました。
ただ、きれいに割る (ひびを入れる) には、焼き玉とするガラスを白くなるまで (〜 1500℃?) 高温に熱することが肝要で、初心者はガラスがまだ赤いうち (〜 1000℃) くらいの時に焼き玉を押し付けて失敗します。(充分な温度差が成功の秘訣)
それから考えると、いくら、Fairbanks の冬で車の内外の温度差が大きいとはいえ、そんな簡単に合わせガラスにひびが入るかしら、とも思いました。(そこが自然の凄いところ??)

車のエンジン

車のエンジンの上等 / 安物 は冬にエンジンが一発でかかるかどうか、にあるようです。運転手の一人に、「このエンジンは-40℃でも一発で始動するが、あっちの車のエンジンは駄目だ」と、自分の車の自慢を聞かされました。エンジンはよく分かりませんが、現地の方々にとっては重要なことのようです。
それでなくても、車のバッテリから、電源コードを出している車を多く見かけます。Chena では、駐車場に電源コンセントがあり、どの車もそのバッテリからの電源コードをコンセントに差し込んでいました。これでバッテリが上がるのを極力防ごう、とのことのようです。
「その電気代は?」
「タダですょ」
うむむ、考え方が違うな。

Anchorage では暖かいので事情は少し異なるようですが、寒い夜には 2時間毎に起きて車のエンジンをかけることもあるそうです。車無しでは過ごせないわけだし、大変な生活のようです。
後に Greenland へ行ってみると、やはり同様に、ボンネットから電源コードをだらしなく垂らしたように見える車を多数見かけました。

犬そりレースにもお国自慢

私が訪れたときはちょうどIditarod Trail Sled Dog Race の真っ最中でした。Alaska で一番賞金の高いこのレース、今年 ('97) は 25周年でもあったので、盛り上がり方もひとしおでした。Seattle から Anchorage へと乗ってきた Alaska Airlines の機内誌も特集を組んでいましたし、「Alaska」という、州内どこでも売っている月刊誌がありますが、その特集記事もこれでした。
私が Chena から Fairbanks に戻ってきた前日に 1位が Nome に着いたので、その日、Fairbanks の新聞の一面もこのニュースでした。私も新聞を買おうとすると、犬そりレースの記事を見るなら、Anchorage で新聞を買った方がいいょ。扱いがもっと大きいと思うから、と教えられました。Iditarod は形式上 Anchorage が出発点なので、特に扱いが大きい、ということのようです。(そのとおりでした)
Fairbanks では、それよりも地元のレースである Yukon Quest の方が人気があるようです。何といっても、Downtown 中心部の visitor center 横の Chena River にかかる橋 (各州の旗が両側に並んでいる橋) がゴールだそうです。真っ白な川を進んできて橋をくぐるというのはさぞ気分のいいゴールでしょう。
Fairbanks の人に言わせれば、Yukon Quest の方が、Iditarod trail よりも距離は長く、途中のチェックポイントは少ないので、レース運びがより重要なので面白い、ということのようです。最近は大きなスポンサーが Yukon Quest にも付くようになったので、賞金が高くなり、Iditarod からこちらに参加するようになったmusher も増えているとのこと (ひとつのチームで、Iditarod trail と Yukon Quest を掛け持ちすることは人間、犬ともに体力的に不可能)。日本人の舟津さんは今年、Yukon Quest で 5位に入り、Iditarod と共に rookie を獲得(これは難しい)。関連記事
有力な musher は自分のところで手塩にかけて育て、調教した犬で犬そりレースに出場し、その賞金で生計を立てている (賞金はそんなに高くないから、生計は立てられないょ、と佐竹さんから指摘を受けています) ので、賞金とレベルの高さは、やはり関係があります。Chena Hot Springs Road 沿いにはそうした musher たちの農場 (犬を訓練する) がいくつもあります。それほどでもない musher は、レース出場に当たって、有力 musher から犬を借りることもあるみたいです。
趣味に徹した参加者もいるようです。私など、「犬そりレース用の犬」というと、シベリアンハスキーなんて、寒さに強そうで、大型で力強いから好適かな、と思っていましたが、シベリアンハスキーは犬そりレースには向かないそうです。 それがまた世間は広く、Fairbanks 近郊にシベリアンハスキーに執着している人がいるそうです。レースではいつも最下位で、新聞で「(その team は) いつもの通りの順位」と書かれるようです。本人も十分それは知っており、この人は参加したレースで、レースコースの標識を全部引き抜いて (自分より後ろにはチームはいないから、もう標識は不要)、途中の check point でそれを差し出し、「標識を回収する手間を省いてきてあげたょ」

鮭にもお国自慢

Fairbanks 空港の近くに鮭専門店があり、Chena から戻ってきた日にそこに連れていって貰いました。Yukon 川で捕れた鮭だけを使っているお店で、スモークサーモン各種 (日本よりもずっと種類が多い)、フレーク、ジャーキー、イクラの缶詰 他、店内が鮭で埋まっていました。これまた、地元の説では、Yukon の鮭は一番美味しい。鮭は、よく知られているように、自分の生まれ故郷の川に帰ってくるわけですが、その川が大河であると、遡ってくる時に脂がのった状態であるわけで、それも Yukon のような大きな川では、格別だ。そして、Fairbanks は Yukon に近い (あるいは、その支流に位置している)。鮭は川に帰ってきたら食事を取らないので、痩せる一方のはずだから、河口で採取されたものはともかく、大河の上流で捕れた鮭は美味しくないのでは? などとはとても言えませんでした。で、pepper 処理した smoked salmon とイクラの缶詰を買ってきましたが、私の説をあざ笑うかのようにそれらは美味でした。この店で、大きな鮭を抱えて写真を撮ってもらったのですが、カメラの巻き上げ機構の故障のため、そのコマはうまく写っていませんでした。
余談ながら、鮭が美味しいとして知られている川は Alaska にいくつかあります。

春を感じるのは日照時間?

新聞のお天気予報のページを見ると、日照時間の項が大きく載っています。今日の「日の出時刻」「日の入時刻」は日本の新聞でも載っていますが、その下に「日照時間」、さらに「今日は日照時間がどの程度伸びるか」という項目があります。Fairbanks でのこの時期は、7分 / 日程度伸びるようです。現地の人々の春の到来の感じ方を見たような気がしました。
低緯度の Anchorage では、この伸びは Fairbanks 程ではありませんが、Anchorage Daily News の Mar. 13, 1997 の A-2 面から。
Daylight Hours
For Today :
右隣が 5日先までの天気予報欄。さらにその隣の欄はAurora Forecast
Auroral activity moderate through weekend and most of the week. Weather permitting, moderate displays will be visible low on the northern horizon from as far south as Anchorage, Juneau and Whitehorse, Canada.
Web Page : http://www.gi.alaska.edu

当たり前だが、homepage などというどこかの国で大流行しているが、何を指すのやら分からない語は使われていない。
ずっと下の方にAnchorage tides という項もあって、この日の月齢は約 4 であるが、
これでは、大潮になったら、Turnagain Arm で溺れる人が出るのも無理はないな。

本文で紹介できなかった面白いページ

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Last Modified : June 22, 2000