Anchorage - Valdez

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9 月 4 日 (水曜日)

[Glenn HWY]昼食を食べたドライブインの横の Glenn Highway で寝転がる あおやま。

かくの如く道路に寝転がって写真に写ることが流行っている ? そうですが、車は結構頻繁に行き交っています。類似のことをする際には、写真撮影者以外に見張り人を立てて行うべし。

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出発, Palmer

0825。Anchorage 出発。 Grayline の motor coach (観光バス、ね) は downtown をぐるぐる回って各ホテルで客を拾った後、ようやく市内を後にしました。Mt. McKinley を今日も望みつつ、Glenn Highway を北上。道路両側に高いフェンスが張られているのは、moose 等の動物が道路上に迷い出てくるのを防ぐ最終手段だそうです。フェンス設置以前の動物交通事故防止策は効果がなかったんだって。

0914。Palmer 郊外の Alaska State Fair の会場横を過ぎます。お祭りそのものは 9月 2日に終わっていて、会場は「祭りの痕」ですが、遊園地の乗り物, キャンピングカーを利用した出店等がそのままになっているので、だいぶ賑わっただろうことはわかります。ずーっと右窓に会場が続いています。
このあたりには 1935 年夏、アメリカ本土〜主に Minnesota, Wisconsin, Michigan 〜で食い詰めた203 家族の農民が入植してきました。New Deal 政策 の一環。夏の日照時間は長いものの、厳しい気候のため、生活は苦しく、離散が相次いで、残ったのは 21家族だけだった由。
現在は Alaska の農産物の70% はこの地域で作られています。Alaska 州立大学実験農場もあり、巨大なキャベツ, 大根等の写真をよく見かけます。ここでも農場に高いフェンスが張り巡らされているのは moose 対策だそうですが、 moose が農作物を食い荒らすのを防ぐため、という対人間関係がさきほどの Highway のものとは逆です。Moose の好物はキャベツ, ブロッコリ, エンドウマメ, ビート等、ここで栽培されているものばかり。

0915。Palmer Visitor Center。 地下に金の採掘道具が並べられていました。昨日 Anchorage で「金の採掘法」という本を買ったこともあって、掘削道具に見入ってしまいました。熱心に (?) 見ていると、ガイドが「日本人で金を掘り当てた人もいるわょ」と あおやま をからかいました。見れば、金の採掘道具を見ているのは あおやま も含めて男ばかり。女性は、向かい側に展示されている、昔の農家のキッチンに興味があるようでした。

0937。出発。すぐに鉄道駅のそばを通りました。しまった〜、こんな場面があるとは思わなかったので、カメラを取り出す余裕さえありません (これでは「鉄」とは呼べまい ^^;)。
駅舎はスカイブルーの小屋で、そばには機関車が置かれていましたが、これは Alaska 鉄道 2号機です。Palmer への鉄道はまだ使われており、砂利運搬が主です。ただ、先週は特別だったようで、「Alaska State Fair へは鉄道で。くつろげて、楽しく、渋滞も避けられる」と Alaska 鉄道の ride guide に載っていました。

バスは地理の教科書に出してもいいくらい典型的な U字の形をした谷を流れる Matanuska 川を右窓にずっと見ながら進んで行きます。道に沿って畑が広がっているのは、確かに Anchorage - Denali 往復の間では見かけなかった光景です。道端には fireweed の枯れたのが列をなしています (この花が枯れた後に白い綿毛を飛ばす)。
右手の山はピクニックに毛の生えた程度で登れるようですが、「登山道はあるんですかぁ?」「ないんじゃないですかぁ?」
Long Lake という湖にさしかかりました。キャンピングカーが何台も止まっています。湖の名前の由来は、湖沿いに峠を登るにつれてよくわかりましたが、魚は釣れない由。山の木々の多くは黄色に染まっています。 2週間前は紅葉は全くなかったそうで、秋が急速にやってきたようです。

1056。Matanuska Glacier Recreation Site。この氷河は Anchorage 近郊で氷河上を歩くことが出来、氷河登りもできるので人気があるそうですが、立ち寄る暇はなく、氷河と谷を挟んで対岸の展望台に入っただけ。
この氷河は崩壊が遅くて、氷河登り (! やってみたい!) に適するそうです。ただ、冬は、氷が固く、かなり勢いを付けたつもりでも、金具が食い込まなくて往生し、夏は、自分が崩した氷が下方の人に当たったりするので大変だって。

1215。MP150 の標識の手前で、右前方に Wrangell Mountains が見えてきました。このあたりから見えるのはかなり珍しいそうで、ガイドが「見て、見て!」と声を上げました。

昼食

1233 - 1315。KROA KAMP GROUND なるドライブインで昼食 (「CAMP」でなく「KAMP」でした。ログキャビン風の建物)。
私たちのお昼は、 これでもう十分にお腹いっぱいでしたが、他の客が注文した厚さ 10cm はあろうかというハンバーガーが次々と私たちの横を運ばれていきます。あれぢゃぁ、私なら半分も食べられまい…
食べ終えて外に出、出発まで周囲をお散歩。ドライブインの前の highway で寝転がって写真に収まったり (このページ最初の写真)。横の小川は静かなせせらぎですが、こんなところで一日ぼんやりと釣りでもしてみたい、そう思いました。

1358。AT&T の鉄塔, 銀行の 24時間稼働の ATM, ホテル 等、いずれも小振りではあるが揃っていて、久しぶりの「町 (Glennallen) 」にさしかかったと実感します。
1406。Visitor Center 横を通り、 Highway の 3叉路にかかりました。Glenn HWY は左に曲がって Fairbanks を目指し、私たちは右に曲がってRichardson HWYで Valdez を目指します。道端の標識は「 Valdez まで 115miles」。

Mt. Wrangell

1410。目前の Copper River 越しに Mt. Wrangell を見る展望台 (さっき右前方に見えていた山々)。私たちのバスの運転手(兼ガイド) が「今日は天気がいいから、カメラを持ってきたんだ」と山の写真を頻りに撮っていました (我々の幸運さがこれでわかりました)。
中央の Mt. Drum が左右の Mt. Sanford, Mt. Wrangell を従えて最も堂々と見えますが、標高は 3,660m で一番低い。「でも、一番大きく見えるね。」「一番近いからね (40km くらい)。」山一帯は国連の世界文化遺産に指定されています (日本の姫路城や白川郷, 最近の日光同様の)。道路を南下する暫くの間、3山をよく望める箇所が続きます。
[Mt. Sanford, Mt. Drum, and Mt. Wrangell]左から Mt. Sanford, Mt. Drum, Mt. Wrangell。直前にちょっと雲が出てきて、山頂の雪とはっきり区別できるようには写せませんでした。展望台の左右に木々が迫っていて、良い画角を得るには、かなり前まで進まなくてはなりませんでしたが、そこにはビデオカメラを回し続けて動かない別の客が…。手前の川が Copper River。

Copper River のこの付近は 1900 年代の銅鉱山に由来するそうですが、今は 鮭がおいしいことで有名です。Anchorage の海産物店でも特に「Copper River で捕れた」という産地表示をして売られている由。

石油パイプライン見物

1448。Alyeska Pipeline 見学。
[at Alyeska pipelinr]片手を挙げてパイプラインに触れつつ写真を撮ってもらいます。
「片手でパイプラインを支えているつもりか」
「そう」
「Mighty Atlas !」
「パイプラインの外筒がペコペコしていてこれで大丈夫か不安だなぁ」
「本当の油が通っているところはずっと内側にちゃんと保護されていて、その外側にどっさり保護材が巻かれているんじゃないですか?」
「あ、そ〜だ、この説明板にそう書いてある。」
説明板を読み下してみると、
  1. パイプラインはジグザグに敷設されており、決して直線的でない。
  2. 地中深く打ち込まれた 2本の柱の地上部分の低い部分に桁が渡されている。
  3. その桁の上に緩衝装置が載せられている。
  4. パイプラインはその上に設置されている。
  5. パイプラインの構成は、石油の通るパイプの外側に保温材, 緩衝材等を幾重にも巻き付けた、その外側を金属板で巻いてある。
の 最初の 4項目が、地震対策。
この他に、ところどころ高い位置に敷設されているのは、caribou たちの移動を妨げないため。Pipeline は 1966年に $10億以下の予算で計画されましたが、自然保護団体の「動物の移動の障害になる」との反対で着工が遅れました。設計を変更し、1975 〜 77 で建設されたときには $80億要したそうです。
石油は北極海沿岸の Prudhoe Bay → Valdez の約 1300km を 5日間かかって送られます。途中に 12箇所の pump station がありますが、今では運転に必要十分な 10箇所のみが稼働しています。この先、Valdez への道の途中、12番目の pump station が見えました。このポンプで Chugach 山脈を越えると、後は重力で Valdez へ下るだけ。

1512。Tonsina の市街地にかかります。

「左手の赤い屋根の長屋が『チャーリーのお化け屋敷』って呼ばれてて、本当にお化けが出るんだって
「えーっ」
「カナダで殺人を犯したという嫌疑のチャーリーをここの 2階で警官が撃ち殺したんだけど (結局は無実の罪だった由)、その部屋が『チャーリーの部屋』。机があるだけで、何にもないけど。」(ガイドは中に入ったことがあるんだって) 「1階にはちゃんと管理のおばさんがいるのに、お化けは出るみたい。」
「Anchorage の新聞記者が何晩も泊まり込んでお化けが出るかどうか検証しようとしたけど、その時はお化けは出なかったんだって (^_^;)。」

1528。Alyeska Pipeline の 12番目の pump station。どんどん山間へ入っていきます。
1603。Tsina Pass にある Lodge で休憩。背後には頂上に氷を頂く峰、道路の向こうには氷河。 lodge 入口のブランコへと走っていって写真を撮っている人達もいました。

Worthington Glacier

1642。氷河到着。まず展望台上から氷河を見下ろします。末端からお馴染み灰色の水が流れになって、今来た方向へ流れていっています。先客たちの中には下方の氷河末端へと降りていって氷河の上に立っている人もいます。
「冒険行く者寄っといで〜!」
「は〜い!」
小径を下って氷河末端へと降りて行きます。
[at Worthington Glacier] 足下の泥の塊と見えるのも氷の塊だったりしますが、もっと大きい氷へ寄っていきました。氷の上が庇のように張り出しているのですが、その下部が青い。まだ空気に触れて間もない証拠です。純粋な氷の結晶は長波長の光を吸収し、青い光だけが反射されるので青く見えるが、結晶が溶け始めた氷表面は全光線を反射するので白く見えるからです。
「氷が張り出している下に潜り込んで写真を撮るといいょ」とガイドがオススメの写り方を教えてくれました。皆思い思いの箇所で写真やビデオを撮っています。

1716。Thompson Pass 頂上。正面には視線の高さにして同じような標高にに氷河を頂く山がみえます。毎年 4月上旬 ('97 年は Apr. 3 〜8) に開かれる World Extream Skiing Championships の会場です。急斜面を滑降する冒険的なもので、ビデオで Valdez で撮影とあるのは、ここです。
それだって荒々しくて十分異様な眺めですが、眼下に目を転じると、今バスが停まっている広場から急な崖があって、そのはるか下方の谷底に川が光っており、これから行く道も見えている。地図で見ると、今立っているところの標高は 2500ft くらい、谷底は 800ft くらい。
道は下りに転じ、ぐるりと向きを変えて、U字谷の底に降りて、さっき通った Thompson Pass を仰ぎ見つつ、川に沿って下っていきます。谷狭く、両岸高く、谷底の道には陽は差し込んで来ません。Valdez まで鉄道を引こうとの地元提案は却下されたそうですが、こんなところに鉄道を建設するのも、運行するのも大変だろう (乗ったら面白そうだけど)。
[Fall of Bridal Veil] 1738。Bridal veil の滝。花嫁のドレスのベールに似ているからこの名前。滝の左下には彩りを添えるかのように虹が架かっていました。冬は ice climbing に好適だそうだ。形が似ているという点では少し後には「horse tail fall」という滝もありました。
1808。Valdez のホテル着。市内の川では、鮭が、それこそ折り重なるようにして遡上中でした。


本文中で紹介できなかった有益な情報はこちら。


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Last Modified : May 30, 2000