『簡単なのに安全な生徒実習用サーバーの設定と利用の方法』

 「情報」の授業を行う生徒実習室には業者が設定したサーバーが設置してあります。そして、
サーバーには配付物を入れておく「配付用フォルダ」と生徒が作成した実習課題を保存する
「提出用フォルダ」があると思います。ただ、業者の設定だけでは「提出用フォルダ」内の生徒の
提出課題が他の生徒から丸見えになってしまい、いたずらの対象になることがあります。これを防
ぐためには通常は、すべてのユーザーIDとパスワードをサーバーに登録し、ログインスクリプトや
ホ−ムディレクトリの設定そしてデスクトップ環境を同じにするために固定ユーザープロファイル
の作成などの作業を行いますが、かなりの労力を要します。そこで、このページでは簡単なのに
安全なサーバーの設定と利用の方法を紹介したいと思います。
 なお、ここで説明する「簡単」と「安全」の意味は次の通りです。

〔簡単〕 設定するユーザーは教員ユーザー(teacher)と生徒ユーザー(student)の二つだけ。
      そのため、生徒用PCのデスクトップ環境のメンテナンスが楽になる。
〔安全〕 バッチファイルを利用してネットワークドライブを割り当て、自分の提出物だけを見せる。
     生徒自身が設定したパスワードでサーバー接続するため、いたずらされにくい。

 以下の作業を行うとデスクトップの「PC」にネットワークドライブが割り当てられます。
 (サーバー内の配付用はAドライブ、各生徒の提出用はBドライブと表示されます)




【設定に使用するフォルダ・バッチファイル・マクロの説明】

 設定に使用するすべてのフォルダ・バッチファイル・マクロはここからダウンロードできます

「教科情報」フォルダ内 
・ 「提出用」フォルダ 生徒全員分の提出用フォルダが含まれています
・ 「配付用」フォルダ
 
パスワード送信.xlsmが含まれてます
(パスワード送信.xlsmで生徒にパスワードを送信させます)
・ 「評価用」フォルダ
 
生徒全員分の「パスワード受信」フォルダが含まれています
(「パスワード受信」フォルダに送信したパスワードを保存します)
・ 「設定用」フォルダ
 
生徒全員分の初期パスワードのバッチファイルが含まれています
(初期パスワードはユーザーID4桁と同じにしてあります)
・ 「情報課題」フォルダ
 
 
 
開始・終了・シャットダウンの各バッチファイルが含まれています
(開始.batは上図の赤枠内をPCに表示するバッチファイルです)
(終了.batはPCからログオフするバッチファイルです)
(シャットダウン.batはPCの電源を切るバッチファイルです)
「実習課題フォルダ・ファイルのコピーと削除」フォルダ内
・ 指定ファイルコピー.xlsm
・ 指定フォルダコピー.xlsm
・ 指定ファイル削除.xlsm
・ 指定フォルダ削除.xlsm
「配付用」フォルダ内の指定ファイルを一斉に配信できます
「配付用」フォルダ内の指定フォルダを一斉に配信できます
「提出用」フォルダ内の指定ファイルを一斉に削除できます
「提出用」フォルダ内の指定フォルダを一斉に削除できます
「生徒用PCのCドライブにコピー」フォルダ内
・ ad_rename.vbs Aのドライブ名「配付用」にサーバー名を表示させないためのスクリプト
・ bd_rename.vbs Bのドライブ名「提出用」にサーバー名を表示させないためのスクリプト
パスワード受信.xlsm
・ 各生徒が「パスワード送信.xlsm」で送信し(評価用」フォルダ内の)「パスワード受信」フォルダに保存された
 パスワードを読み取り、シートに表示します
・ また、読み取ったパスワードからバッチファイルを作成し「設定用」フォルダに送信します
・ パスワードを忘れてしまった生徒に、設定したパスワードを教えてあげる際にも利用します

【事前準備】

1 エクセルがインストールしてあるPC(設定用PC)で以下の作業をします。

 @ パスワード送信.xlsmとパスワード受信.xlsmのシート「参照」にサーバー名を入力して
  下さい。入力欄が二つありますが両方ともサーバー名を入力して下さい。なお、ここでは、
  サーバー名を「server」として説明していきます。



 A パスワード送信.xlsmのシート「氏名」に実習を行う学年の生徒氏名を入力して下さい。
  入力しなくてもマクロは実行できますが、生徒が誤ったユーザーID(出席番号)を入力した
  場合の確認用に氏名があったほうがよいと思います。
 B 「情報課題」フォルダ内の開始.batに書かれているサーバー名を変更します。
  バッチファイルはテキストファイルですのでメモ帳で編集できますが、ダブルクリックしても0
  ファイルを見ることはできません。メモ帳を起動し、画面内に開始.batをドラッグ&ドロップ
  して下さい。変更箇所が多いのでメモ帳の置換機能を使うと便利です。



 C 「教科情報」フォルダと「生徒用PCのCドライブにコピー」フォルダをUSBにコピーします。
 D 設定用PCをサーバーのドメインに参加させます。
 E 「実習課題フォルダ・ファイルのコピーと削除」フォルダ内の指定ファイルコピー.xlsm、
  指定フォルダコピー.xlsm、指定ファイル削除.xlsm、指定フォルダ削除.xlsmの各マクロの
  シート「参照」のサーバー名を入力して下さい。
2 すべての生徒実習用PCと教員用PCの電源をONにします。
3 すべての生徒実習用PCと教員用PCの環境復元を解除しておきます。


【サーバーの設定】

1 ユーザー「teacher」と「student」を作成します。
・ teacherは管理者(Domain Admins)でパスワードも設定します。
・ studentもとりあえず管理者(Domain Admins)でパスワードは「なし」にします。
2 USBにコピーした「教科情報」フォルダと「生徒用PCのCドライブにコピー」フォルダを
 サーバーのDドライブにコピーします。
3 「教科情報」フォルダ内の各フォルダに共有設定を行います。
  (共有名に$が付いているフォルダは「隠しフォルダ」になります
  (Everyoneは削除しておいて下さい)

フォルダ 配付用 提出用 設定用 情報課題 評価用
共有名 配付用 提出用$ 設定用$ 情報課題$ 評価用$
teacher フル フル フル フル フル
student
 
読み取り
 と実行
フル  読み取り
  と実行 
読み取り
  と実行 
フル 

4 「配付用」フォルダを開き、「情報課題」フォルダのショートカット(\\server\情報課題$)を作成
  します。ショートカットの名前を「情報課題」に変更しておいて下さい。
5 「配付用」フォルダの中に「生徒用PCのCドライブにコピー」フォルダ内の二つのスクリプト
  (ad_rename.vbs と bd_rename.vbs)をコピーします。

【生徒用PCと教員用PCの設定】 以下の作業をすべてのPCで行って下さい。

1 生徒用PCと教員用PCにユーザーstudentでドメインにログインします。
2 コンピュータの検索機能を利用してサーバーの「配付用」フォルダを検索(\\server\配付用)
  します。
3 「配付用」フォルダ内のショートカット「情報課題」をデスクトップにコピーします。
4 「配付用」フォルダ内の ad_rename.vbs と bd_rename.vbs をCドライブにコピーします。
5 デスクトップの「情報課題」を開き、開始.batを実行し、適当なユーザー(例:IDが2201
  パスワードも初期パスワードの2201)で接続できるか確認してみて下さい)



【設定終了後の作業】

1 ドメインユーザーstudentを管理者から一般ユーザーにして下さい。
2 サーバーの「配付用」内のad_rename.vbs と bd_rename.vbsを削除して下さい。
3 サーバーの「配付用」内のショートカット「情報課題」は生徒がデスクトップから削除した時の
  用心に残しておいたほうが良いと思います。
4 環境復元ソフトを起動し、生徒用PCに保護をかけておいて下さい。
5 サーバーの「配付用」フォルダ内に実習用教材をコピーしておいて下さい。
6 設定用PCで「指定ファイルコピー.xlsm」を実行して、全組全生徒の提出用フォルダに
  「パスワード送信.xlsm」をコピーします。方法は次図を参照して下さい。


@ 学年を入力します

A コピーする組に1を
  入力します

B ファイル名を入力
  します

C 「コピー」をクリック
  します
 

【授業の進め方】

1 設定用PCをユーザー名(teacher)で立ち上げておきます。
2 教員は教員用PCにユーザー(student)、パスワード(なし)でログインします。
3 生徒も生徒用PCにユーザー(student)、パスワード(なし)でログインします。
4 @ 初回の授業では生徒に使用するパスワードを送信させます。
   デスクトップの情報課題フォルダを開き、開始.batを実行します。
   ユーザー名と初期パスワード(IDと同じ)を入力し、サーバーに接続します。
   (なお、教員は各組と出席番号45番(〇〇45)のIDを利用します)
 A 生徒は提出用フォルダに予め転送してあったパスワード送信.xlsmを開き、
   パスワードを送信します。



 B 送信後はそのまま、実習を行います。
 C 初回の授業後、教員は設定用PCで、パスワード受信.xlsmを開き、該当クラスの番号を
   入力した後、「受信」ボタンをクリックします。エクセルのシートに生徒が送信したパスワード
   が集約されます。



 D 集約を確認した後、「バッチファイル作成」ボタンをクリックするとサーバーの
   「設定用」フォルダにパスワード用のバッチファイルが転送されます
   (「設定用」フォルダに〇〇○○.batファイルが作成されます)
 E サーバーの「設定用」フォルダの各組内のバッチファイルをメモ帳で開いて
   確認しておいて下さい。
5 次回の授業からは、生徒は各自が送信したパスワードでサーバーに接続します。
6 生徒がパスワードを忘れてしまった場合は「パスワード受信.xlsm」のシート「表示」を開き、
 ユーザーID(4桁)を入力すれば、パスワードが表示されます。
7 授業の終了時には「終了.bat」または「シャットダウン.bat」をダブルクリックします。
8 すべてのクラスのパスワード送信が終了したら、ファイル削除.xlsmを利用して、
 各生徒の提出用フォルダ内のパスワード送信.xlsmを削除しておいて下さい。